雪山シーズンが終わった(一部はまだ残雪ありますが)と思ったら夏日連続...いやはやどうなってるんですかね?
さて、先月ぐらいから今シーズン(2023冬~2024春)の雪山遭難のリストと傾向を分析しなくては...と思っていたところですが、GWの楽しい登山も終わり漸くできました。
1.まずは昨年末から5月GWまでに起きた雪の上での事故一覧です...
まあなんというか...多いですね~...
Yahoo Japan 各県警の発表などを少しずつ集めて表にしました。
黄色はスキー スノーボードの事故で主にバックカントリーと言われる、スキー場の管理区域外で起きたものですが、ニュースにアップされた場内での事故も数件取り上げています。
上記が集計ですが、BCスキースノボと登山では起きた行動が異なる傾向なのがわかります。
これを、少しわかりやすく見ていきましょう。スキー スノボと登山は態様の異なる行動なので、スキー スノボで見ていきます。
BCスキー・スノボで特徴なのは”道迷い”が多いことです。そして”雪崩”も多いです。
このことから何が想像できるでしょうか。
次の2点が想像できます。
- 自分の行動する場所の把握が出来ていない。
自位置はどうやって知るべきか・・・これは、最近は登山アプリやスキー滑走アプリで容易に知ることができます。また、紙地図とコンパスでも知ることができます。
さて、それだけで良いのでしょうか?
そうです、スキーやスノボで移動するんですよね!
移動する場所の情報がわからないと奈落の底へ転落するかもです。ということで...
- 地図を読めていない。
地図を呼んで自分が行動するところ...つまりは滑走コースを確認していない。なんとなく滑り始めるという行動になっている。
急斜面、立ち木が多いか面ツルの斜面か谷か稜線か?北向きか南向きか?
最低限それくらいの把握は必要なはずですがそれをせず、SNSなどの情報や先に滑った人のシュプールをたどっていけば大丈夫と思っている。
- 雪の状態を読めていない。
やった~”The Dayだ~”とバックカントリーに繰り出す...もしくは晴れでなくても新雪が深々と積もっているからコース外へ行ってしまう。
それって、大丈夫ですか?
要は数日前まで天気が良く、それが急に冷えてガリガリに凍ったところへ新雪が降り積もる。非常に雪の層が不安定です。
2で地図を読めていない...つまりは、雪崩が起きたらどこに流れるか予測なんて程遠いレベルでスタートしたら...
BCスキースノボで雪崩の遭難が10件に対し登山では2件 この差はなんなのかを考えないといけません。
少なくとも、登山をする人の方がレベル(状況を読む)が上です。
なぜ、そんなことになるのか?
それは、情報の偏りからくるものと考えています。
Youtube動画やWebでのBC用品に関する情報などが優先されて、スキー場内コースを少し上手に滑れる人がコース外に気軽に出て行っているという状況の現れと思います。というか、それ以外に考えられません。
話がそれますが、私がホームにしているかぐらスキー場からのバックカントリー。昨シーズンまでは山頂BC 登山ゲートにパトロール(スキー場パトロールの方です)が常駐。ゲートを通る人の登山届、ビーコンチェックなどをしていました。
ことしから、無人になり、下山後の電話(スキー場へ電話連絡を入れていた)も廃止されました。
実際見ると、上記に該当するような人が多くゲートを通過しています。尤も、昨シーズンまではそのゲートのある山頂から少し下ったところからコース外へ繰り出していたのでしょうからあまり変わらないかもしれません。かぐらスキー場の運営でうまいと思うのは、遭難が起きそうな日は早々に山頂リフトを運休にして人が入らないようにしているところ。
これは現状を見るに的確な判断といえるでしょう。
さて、スキースノボの話が長くなったので
登山の数字を見ていきましょう。
なんといっても”滑落”これです。
冬山でしかもアルプスのような急峻なエリアを歩く場合には一番注意しなくてはならないことでしょう。
これも、登山の場合はアイゼン ピッケルといった基本装備は持参してのことで、ニュースの文面だけでは、なぜ起きたのかは図り知れません。
- 凍ったところでアイゼンが効かなかった。
- 降ったばかりの雪が崩れてそれに乗った。
- 雪庇を踏み抜いた。
などでしょう。いずれにしても難しい事例ではありますが、これもBCスキースノボの項で書きました、数日前からの天候の把握でかなり防げるのかもしれません。
数日前気温が低く風が強かった、とあれば、風上側の風にさらされたところは凍っているでしょうし、雪を伴っていれば雪庇が成長していることは容易に想像できます。さらに、昨日まで雪が降っていたとなれば、雪が沈んでいないで踏んだだけ崩れてしまうような弱い層になっていることは想像に難くない。
そのほかは転倒も多いですね。特にアイゼンを履いた登山では雪以外のところでひっかけやすいですし...道迷い?
YAMAPは?
最近YAMAPの軌跡が飛ぶ現象が結構報告されていまして、自分の前回の槍ヶ岳でも飛んだのでYAMAPに調査をお願いしていますが時間がかかりそうです。
しかし、GoogleMapなど自位置を知る方法は多いです。
ただ、行動中のスマホの電池切れは結構多いみたい。遭難したら...と考えて最低限48時間分の電源(予備電池など)は持って行きたいものです。これはBCでも同じこと。
さて、今回も長い文章に膨大なデータとお読みになる方にはストレスなブログとなりましたが、最後に一つ...山にかかわる商売をされている方、スキー場関係 警察 スキースノボ用品販売等に係る仕事の方 ガイドさん等々...
今年の山岳遭難のうちバックカントリーの分野だけは、従来と大きく内容が変わっています。
なぜ、こんなにみんな先を競ってスキー場の外に行きたがるようになったのかはホント上記の推論くらいしかないのですが、大変危険な状況ではあります。それは、この遭難事例の記録の多さが証明しています。
スキー スノボ文化...このゆっくりとですが確実に変わりつつある変化を見逃さないようにしないといけません。
登山では急峻な岩場でヘルメットの着用率が高いのですがスキースノボでは低いですね。滑走スピードが上がっているのとズレを伴った滑りからカービングという足元がしっかりした滑りになっているぶんぶつかった際の衝撃は大きくなります。自分もゲレンデではメットしてない人には近寄らないようにしています。