1964年に行われた東京オリンピック。敗戦国日本が復興したことを大いにアピールした。その55年後の東京オリンピックではあとからあとから癒着 利益誘導 裏金 賄賂ということばが出てきた。もう東京でオリンピックがというより日本でオリンピックが開催されることはないだろう。
前ブログで働き方改革を成功するためには”KAIZEN”が必要ということを述べました。
そして、日本には”KAIZEN”を知らずに育ってきた人が社会の中枢を担っているという現実がある、ということも述べました。
”KAIZEN”
そんなのやってるよ。AI ITの導入で昔から比べたら業務はかなり減っているよ...
そんな声が聞こえてきます...まあ、私も”KAIZEN”世代ですから多少空耳もお許しくださいね。
問題はそこなんです。機械化による業務改善。これを検証で来てない企業のいかに多いことか。
AI IT 自動化機械の導入...それぞれメーカー公表のスペックがありそれを人的パワーに換算してこれだけの作業が改善されたという数字。これをもってマネージメントしているマネージャーがいかに多いことか。
ここで”KAIZEN”がどのように発祥し行われてきたかをお話したいと思います。
1945年に日本は太平洋戦争で負けて食べるものさえない状態になりました。名古屋で育ち1946年に東京の大学に入学した父は、実家からの仕送りはあるものの食べるものがなく繁華街で出る残飯(今はフードロスといいますね)を有償で譲ってもらって食べてました。そのころの写真を見ると痩せてましたね。
そして1950年代に入ると復興の槌音もあちこちで聞こえてきて工業も復興してきました。
なにより、その時代 円ードル 為替レートは固定レートだったのです。
なんと.. 1ドル=360円だったのです。
今、円安 円安と大騒ぎしていますが、それでも
1ドル=145円くらいでしょうか。
その時代を知らない世代には想像つきませんね。
日本の自動車会社の作った車がアメリカに大量に輸出される。そして売れる。
1人1台が当たり前のアメリカではメインはアメ車ですが2代目は日本車だったのです。
このチープカー(安物車)は品質の部分でバカにされました。これは、鉄板が薄くてアメ車とぶつかったら命はない...とか、馬力が無いのでフリーウエイでは邪魔...などでした。
そんな中で、日産自動車の労働組合員が組合員のサークル活動で品質向上を取り上げたのです。
定年を過ぎた以上の方であればご存じの言葉”小集団活動”とか”QC(クオリティコントロール)サークル活動”
労組がこの活動を経営側に提案した時、経営者は、
”QC?それは儲かるのか?”と返してきました。
さて、経営側の困惑もよそにQCサークルは取り組みを進めていきました。
かつての日産座間工場 外国要人がよく視察に訪れてその無駄のない生産活動に目を見張ったものでした。
彼らの両手にはメモと電卓(はじめは電卓というものも存在しませんでした。電卓がはじめて登場したのは1964年=東京オリンピックの年です)
彼らは一つ一つの工程を細分化して無駄を見つけそれを”KAIZEN”することで得られる短縮時間を足していきました。
それは、ある複数行程でA B 2種類のサイズのスパナを必要とするのに対しネジを統一して1種類にすることでスパナを持ち帰るほんの数秒を節約するとか、A-B-Aで作業していたのをA-A-B にすることでスパナの持ち替え回数を1回減らす...という積み重ねでした。
結果としてアメリカ フォード社で世界初導入された流れ作業は日本で熟成されていったのでした。
電機業界白物家電 これも素晴らしいスピードで高品質な製品が作られるようになりました。
ここで自動車業界での話を書きましたが、現在の時短はどうでしょうか?
機械化するときにメーカーが機械を売り込みに来る。AI ITを導入する際に管理側が試験的に使ってみる。
メーカーのスペック表通りに動く機械ってありません。
私ももう10年以上前になりますが、大きな機械の導入を上から打診されましたが、それこそ電卓の世界で導入により業務の手間 所要時間が変わらない以上に、新たに増える作業 デメリットを計算し上申して中止させたことがあります。
競争がある業界 ない業界...ありますね。
私が奉職してきた医療業界は競争がありそうでない世界です。
医療業界・・・厚生労働省による統制経済の世界。
たとえば、薬局の数はコンビニより多い。コンビニが閉店するのはよく目にしますが、薬局がつぶれたのは見かけませんね。(まあ家族経営の小さな薬局が薬剤師の高齢で閉店するのはありますが)
本来、これだけ強大なドラッグストアやチェーン薬局が出てきても町の小さな薬局はつぶれません。それは薬剤師会という圧力団体が存在しそれは主に小規模薬局の代表なのです。
コンビニよりも店舗数が多い薬局業界で年間の倒産件数が一桁ってありえません。
そうなるとそのような業界では”KAIZEN”は不要となってしまいます。
これも死語ですが”親方日の丸”というわけです。
医療業を例に挙げましたが、多くの企業でそのような状況におちいっているのではないかと推察されます。
コンプライアンス厳守・・・これはよくパワハラだセクハラだに始まって、マニュアルと異なる作業をしていたというような事案は山のように見聞きします。
ところが、コンプライアンス・・・これゆえに”考えない”つまりは自らで考えずともマニュアルにあることを過不足なくやればよいという社会が出来上がってしまいました。
いかがでしたでしょうか?
- ”KAIZEN"は現場の創意工夫から
- ”KAIZEN"が自然発生するような社会構造、社内風土
この二つが前ブログからの”働き方改革”を上手に実現し、労働者を育成保護する方策と思えて仕方ありません。
いつのまにか日本を抜いて中国が世界第2位のGDPをたたき出す国になった背景には上記のような努力があったのは事実です。それを日本人が指導したとしても。実際私が使用している中国製ドローンですがハードソフト両面において品質が良い。
来年には、トラックドライバーや勤務医の働き方改革が実施されます(個人開業医は相変わらず過重労働が続くでしょう)
先に実施された業界での失敗を繰り返さないようにしたいものだと思います。
国立病院 30年以上前に土日休みとなったが、その際にも休むことにより患者への悪影響が問題になりました。