大キレット長谷川ピーク 比較的大きな岩で安定しているものが多い
昨日は”滑落”について解説しましたが、一般的に滑落が起きる前には”転倒”が起きていることが多いのではないかと...
勿論急峻な岩場で足場の確保に失敗してそのまま滑り落ちてしまう事もあるし、その失敗は、足場のクラックが小さすぎて靴が固定できなかったとか、足場の岩が浮石でそのまま崩れるのに乗っていった...などもあるでしょうが。
大キレットや奥壁バンドと言われるようなところは、急峻な斜面に狭い道が付いていることも多く、その道もざれた小岩が転がっているようなところも少なくないです。
この斜めの面を下りたところに小道が続いているがその足元はざれた小石
さて、何で転ぶのでしょう?
それはなんで立っていられるのかを思い出してみましょう。前回の図です。
右側の図の通り重心にかかる重力と脚にかかる反力が正反対の方向で釣り合っているからです。
赤ちゃんは転びやすいですね。何故でしょう?
これも、考えることはないですね。重心が高いからです。頭が身体に対して大きく重心が高いからです。左の図を使って説明した重心に対して手や足などの作用点が離れれば離れるほど不安定になると解説しました。
上の図は転倒が起きる際の力学的な図です。普段歩いているときは軸足が身体を前に送る力と重力と合力で前方向の力が起きて重心が前方に動こうとするわけです。
ところがそれに対し、次の軸になる足が踏みそこなって予定より前に行ってしまうと本来は進んできた身体を押さえる力がさらに加算されて③の方向に力が生じてしりもちをつきます。
逆に石につまづいた場合です。本来前に進もうとしていた身体に対し、後ろに力がかかることで前側に止まれない上半身が前に倒れようとする運動がおきます。
まあ、当たり前ですが...
前ブログでも解説しました通り...
①前傾姿勢 懐を少し深くして。あまりにも前傾しすぎると前を見なくなるのでこれも危ない。
②足は小幅で これは上記の2パターンでも歩幅が小さいほどリカバリーしやすいですね。
加えて、
③左右の足の幅は自然な幅 肩幅くらいが良いでしょう。
関節は最大限に...
足首 膝 股関節の3つの関節を有効につかいましょう。
特に股関節を意識してますか?
よく、足をぴーんと延ばしたままドンドンと行く人もいますが(下りで)転倒のリスクも高くなるし関節に対するダメージも大きくなります。
もう高い山は雪ですね。滑り止めは持って行きましょう。山小屋の情報を参考に。特に記載はなくても突然の雪にもチェーンスパイクくらいは持っていると安心です。
滑り止めはただ出して持って行くのではなく、点検をしてからもっていきましょう。チェーンスパイクは結構鎖が外れやすいですので、ペンチで絞めておくとか、アイゼンは予め登山靴に合わせて調節しておくなど。