マクナマラの誤謬(ごびゅう)Ⅳ マイナ保険証 是か非か誤謬報道に惑わされるな 山には持っていこう | 情熱山脈(passion mountains)のブログ

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ともかく山が好き...春~秋はトレッキングを...冬~春はバックカントリースキーを通して雪山の魅力を...

マイナンバーカードの個人情報紐づけミスのニュースがテレビなどマスコミ報道をにぎわしています。

 

 皆さんはそのような報道をご覧になってどうお感じになっているでしょう...

たとえば...

 このニュース...読んでみてどう感じるでしょうか?

医療機関の連合会が調査したところ65%でトラブルがあった。これを見るとちょっと退いてしまいますね。

 

 しかし...別の報道では...

調査母数を公表しています。つまりは、1万26か所の保険医療機関のデータであることがわかります。

 さて、この全国保険医団体連合会(保団連)という団体は...

会員数が10万7千人を超え、開業医の63%が加入するとともに勤務医約2万人が加入する団体 とHPに紹介されています。

 

 この時点で上記のニュース報道にはかなりのバイアスが含まれているということを感じる方が多いでしょう。

 

 任意のアンケートです。皆さんがアンケートに答えてくださいと言われて答えますか?

この時点で答えない人は...そのアンケートが問うてる内容に無関係...例えば、マイナ保険証が円滑に導入出来ていて何も問題を感じていないとか...そんなもの(マイナ保険証)正常に機能して当然じゃないか...と思っている人が多いのではという想像が出来ます。残念ながら確証はとれません。

 

 さらに...

日本の医療機関で働く医師は32万人余り(2020年厚労省統計)ということを加えるとどうでしょう?

 

上記の65% 5493か所(65%)は上記の母数であらためて計算すると、17.1%...まあ、6件に1件...でもこれも誤謬です。なぜならトラブルが起きた件数の単位が”か所”に対してこちらは”人”ですので。一つの医療機関において複数の医師が上記保団連に入っている場合もあるからですし、医師も一つの医療機関に留まらず複数の医療機関を掛けもつことが多いのです。

 

 というわけで、まるで、マイナ保険証を持って行くと半分以上の確率でトラブルに遭い、医療費全額請求されたり他人の保険番号 負担割で請求されたりするというイメージを埋め込まれてしまった方が如何に多い事か。

 

 ここで少し話を変えまして、紙の保険証...

こちらをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000681120.pdf

厚労省の資料ですが、これの15ページからを見ると、全国で年間21億件の保険請求があります。要は、風邪で病院罹ったり、腰痛で整形外科に罹ったりという...保険証を出して医療を受けたものは自己負担一般的には3割を払って、残りは医療機関が社保や国保に保険請求します。

 

 しかし...

上記21億件のうち55万件くらいが返戻されているという事実。

その理由の大きな部分が、紙の保険証に基づく不具合であることも確かです。

  1. 保険証番号の記載(入力)誤り
  2. 保険者本人・家族の誤り
  3. 負担割の誤り
  4. 有効期限切れ保険証での受診
  5. 公費負担の請求誤り

などなど。これは、医療機関事務員の誤りの他、受診者に起因する場合もあります(期限が切れた保険証を提示した、というより新しい保険証を忘れたため医療機関は保険証が変わっていないと認識した)。

 

 そうです、言い換えれば保険証のトラブルってこんなに多いのです。

55万件と上述の5493か所...どうですか?

 

 紙の保険証のトラブル...これはマイナ保険証が一度(正しく)紐づくと無くなります。少なくとも激減します。

 

 受診する側としては、診てもらってお薬をもらって終わりですが、実はそうではないのです。それから2か月後にようやくすべてが終わるのです。そして、残りの7割請求分って...そうです、毎月払っている健康保険料から払われていますが、そこにトラブルがあるのはいけませんよね。

 

 しかも忘れてはいけないのが、その再請求そしてその審査確認にも税金が使われているということです。

 

また、話題を変えます...

高齢者、障害者...この人たちは紙の保険証だと医療を受けられるけどマイナ保険証だと受けられない...これは訳の分からない理屈です。

 

 私が高齢者施設を担当する薬剤師という仕事をしてるということから現場では入居者が紙だろうがマイナだろうが保険証を自ら提示できない場合が半数以上です。

 高齢者施設では必ず契約医療機関があって、定期臨時に往診があるのが一般的です。

その他の医療機関にかかるときは、家族や施設職員が付き添います。また、介護度が低い方はもちろん町の高齢者同様自分で医療機関に歩いて行ってきます。

 

 それがマイナ保険証になると何が悪いのか...特に問題は無いと思われますが。施設で保険証(マイナンバーカード)は貴重品として保管しています(そうしないと認知症のお年寄りの場合なくしたりする。もちろん、家族等に断って)が、往診医が来た時にポータブルの読み取り機を持ってくるか、往診医の医療機関のレセプト(保険請求)コンピューターで紐づけをするだけです。

 

 今回も長くなりましたが、要は全体を見て報道をできないマスコミが卑近な例を大々的に報道するものだから、それが全体像であるようなイメージを国民が持ってしまう。

 一方ではほかの目的(与党を国会で追及して支持率を下げてやる)を持っている議員が大々的に連日取り上げる。

 

 でも、ここまで読まれたみなさんはどう感じるでしょう。

私の場合...

 なにごとも初めはトラブルがある。その原因を追究対策して進めて行けばよい

じゃないでしょうか。

 

 そしてなにより、皆さんは健康保険制度の赤字がどれくらいあるかご存知でしょうか?

最近の発表で...

  1. 社保・・・5600億円(23年度見込み)
  2. 国保・・・67億(21年度)

なんですよ...その原因の一つに上記の正しくない故に返戻再請求になってしまった件にかかる人件費も含まれるしそのために人員も確保しなくてはなりません。

 そして、この保険請求 審査 支払いは遅れが許されない作業なのです。

 

今月受診して3割は一部負担金として医療機関に払いました。残りの7割は来月10くらいまでに請求内容が正しいか確認し請求データを作成して支払基金というところに送信します。

 そこでかなりコンピューターによる自動審査は進んでいるものの人の目で審査しなくてはならないものもあり、結果を翌月にかけて医療機関に返します。

 そして、請求翌月の月末に漸く医療機関に支払いが行われます。

これは決して遅れてはならないのです。なぜなら、医療機関は薬、材料などを翌々月払いの契約で仕入れているからです。しかも、従業員給与は翌月払いがほとんどですから。少なくとも翌々月払いなんてところは存在しないでしょう。

 

 いかがでしたか...

マクナマラの誤謬=不正確な数字で間違った判断をする このマクナマラにあなた自身もなっている可能性が大きい事がおわかりいただけたと思います。

 

 マスコミの報道は有難い反面、そのソースに居る人の志向が反映されやすいということ。

まさに”最初に結論ありき”である場合が殆どです。

 その結論は得てしてエゴに満ちたものであることが多い...

少なくとも、視聴率を取りたい、購読者を増やして売り上げをあげたい、政府を批判して国民の支持を受けたい...などなど...

 

 そんな流れに騙されずマイナ保険証は持ちましょう。そして、登山には必ず持って行ってくださいね。怪我をしたときに保険診療を受けられるか否か。

 自宅から遠く離れたところで医者にかかって、保険証が無いから自費になって...後日保険証を持って行って返金してもらうのも大変ですし、保険証の組合や国保だったら市町村窓口へ自費領収書を持って行って返金してもらうのも手間ですよ。

 しかも、自費じゃいくらかかるかわからない。

打撲で湿布くらいだったら数千円で済みますけど、骨折の疑いでレントゲンなどになれば桁は一つ大きくなること確実です!

 

 

 

 

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