息子夫妻から中国のGちゃんの実家に急遽駆けつけることになったという連絡がありました。
LINEで送ってきた以下の写真はセントルイス空港で飛行機を待っている時に撮ったものです。
 
 

末期癌を患っている息子の嫁のGちゃんの祖父が急に危篤状態に陥り、急遽北京の病院に駆けつけることになったのです。

それまで容態は安定していたらしいですが。

2日前にGちゃんの実家から連絡があったらしいです。

 

大学で授業を受け持っている息子がそんな急に自分の都合で北京に行ってもいいのか❓と思ったのですが、丁度アメリカの大学では夏休み期間だったので行けるのです。

大学の助教授にとって夏休み期間は自分の研究を本腰を入れてする期間なのですが、息子の研究室の院生に指示をするだけで大丈夫だったようです。

 

FDAの職員であるGちゃんの勤務はリモートなので、学会やセミナーに出席する以外は自宅で仕事をしており、ネットが繋がっていれば世界の何処へ行っても仕事は出来るのです。

ワシントンDC郊外にあるFDA本部には定期的に出張しているのですが、先日にその出張から帰ってきたばかりでした。

 

このブログに何度も書いていますが、中国人は血の繋がりを凄く大切にし、特に一族の長老は家の宝物として扱われています。

その長老が病院で亡くなりかけているので中国各地やアメリカなどの外国に住んでいる一族一同が急遽北京の病院に駆けつけて来ているのです。

 

その話を聞いた私は高校時代に観た映画「犬神家の一族」をイメージしましたよ。

一族の長老が亡くなる時は親族一同に看取られるのです。

冗談で息子にそんな話をしたら、中国では実際にそんな感じだと言ってました。

 

何しろ、Gちゃんは一族を引き継ぐ本家の跡取り娘であり、私の息子はその娘の夫ですので、一族の一大事には中心になる役目があるようです。

Gちゃんの実家近くにある古代遺跡の様な広いお墓群もGちゃんの三階建ての大きな実家や実家周りの広い敷地も将来はGちゃんが全て引き継ぐことになります。

一族の長老が住む屋敷もGちゃんの父親が引継ぎ、やがてはGちゃんが引き継ぐことになります。

それはGちゃんの夫である私の息子が引き継ぐことと同じです。

 

息子よ、お前は中国版の犬神家の一族になったんじゃないか❕

 

息子達は中国の実家から連絡があった直後にニュージャージーに住むGちゃんの叔母さんからも直ぐに連絡があり、翌朝一番の飛行機で北京に迎えという指示があったようです。

エコノミークラスのチケットが取れなかったら、ファーストクラスでもビジネスクラスでもいいから翌朝一番の飛行機で一刻も早く北京の病院に駆けつけることが大切だと言われました。

ニュージャージーに住んでいるGちゃんの叔母さん夫妻は既に翌朝一番の飛行機を手配したらしいです。

 

数時間後の翌朝一番の飛行機のファーストクラスやビジネスクラスなら一人100万円近くすると思います。

30代前半の若者夫婦に100万円近くするチケットを買えというのは無茶な指示であることを叔母さんはよく判っているので、チケット代はニュージャージーの叔母さんが払うのです。

ニュージャージーの叔母さんは大金持ちです。

叔母さんにとって100万円や200万円は大したお金ではありません。

 

前述した様に中国人は血の繋がりをとても大切にしており、何かあれば一族一同が協力して対処します。

そしてGちゃん一族の中でアメリカを任されているのはニュージャージーのGちゃんの叔母さん夫妻であり、Gちゃんはアメリカの大学に留学した時から結婚して今に至るまでずっとお世話になっています。

 

叔母さんの中国人の夫はリーマンブラザースの幹部社員でした。

2008年にリーマンブラザースが倒産するまでは叔母さんの夫の年収は憶を超えていました。

リーマンブラザースの倒産後はマンハッタンの大手保険会社で研究員をしており、滋賀の中堅企業の社長の年収レベルよりも遥かに高い給料を貰って働いています。

北京大学卒業後にニューヨークのコロンビア大学で経済学の博士号を取得し、リーマンブラザースに入社するという超エリートコースを歩んできた人です。

 

リーマンブラザース社で叔母さんの夫のようなエリート社員が開発した金融商品のお陰で世界中の人達が多くのお金を失い、世界中を混乱させた張本人の一人ですが、現在彼はリーマンブラザース社とさほど遠くない会社で高給を貰って自分達は裕福な生活をしているのです。

知らない人であったなら私は社会の害虫だと批難したと思いますが、私の親戚になると凄く頼りになる人になってしまうのです。笑

 

私がニューヨークに遊びに来た時は何時でもゲストルームを幾らでも使ってくれと言ってくれました。

マンハッタンまで1時間もかからない場所に部屋が沢山ある豪邸に住んでいると息子が言ってました。

 

息子がGちゃんと結婚し、ワシントンDC郊外で働き出してからはニュージャージーの叔母さん夫妻に色んな面でお世話してもらっています。

Gちゃんなんかは留学で渡米した時に叔母さんに買ってもらったiPhoneの料金を今だに一回も払ったことがありません。

 

iPhone自体はGちゃんが何回も買い替えていますが、叔母さん夫妻は携帯代ぐらいは一生払ってやる積りです。

お金持ちの留学祝いのプレゼントってiPhoneを買ってやるだけじゃなかったのです。笑

 
息子が映画「犬神家の一族」の冒頭シーンのように一族の長老を親族達が看取る末席に座っていることを想像すると父親の私は何だか不思議な気分になります。

息子が婚約する前に中国のGちゃんの実家の両親に挨拶に行った時の記念写真のイメージが印象深く残っているのです。

 

その写真はまるで国会で新内閣発表の記念写真のようでした。
一族の長老夫妻が中央でどっしり座っており、前列だけは椅子に座り、後列の残りの者達は立ってました。
息子を除いて全員が正装でした。
だから私は息子にスーツを持参しておけと何度も言ったのに...

 

アメリカに留学させていた本家の娘が彼氏を連れて帰ってくるというので親戚一同が私の息子の歓迎会をしたのです。

 

跡取娘が彼氏を連れてアメリカから帰ってきたことがそんなにも一族の大きなものであったとは息子自身も私も夢にも思っていなかったことでした。

息子はGちゃんの実家に二週間滞在したのですが、毎晩違う親戚の家の夕食に招待されたのです。

息子は毎晩凄いご馳走を食べ、一緒に酒を飲み、滞在中に3㎏ぐらい太ったらしいです。

 

実はこれは本家を引き継ぐ娘の夫として相応しいかどうかの親戚一同の面接試験だったようです。
中国人は強かな民族であり、学歴などの肩書で人を判断する人達ではありません。
一緒に飯を食い、一緒に酒を飲んで、相手が食が細いかどうかも自分の目で判断するのです。
 
魚の食べ方や箸の使い方でその人の人柄を読み取るみたいですね。
一番大切なのは食欲らしいです。
食が細いと長生きできないとされており、大事な娘を早く未亡人にしてしまうのです。
 
息子がGちゃんの実家を去る前日にGちゃんのお父さんは息子に小遣いを渡し、娘に上海を案内させるから、2、3日は上海を楽しんで欲しいと言われました。
息子を沢山の親戚の家に行かせたことのお礼だったようです。
実はGちゃんの父親が上海で遊ぶ小遣いを息子に渡すことが親戚一同が息子を本家を継ぐ娘の夫として認められたということだったことを息子はアメリカに帰国してからGちゃんに聞きました。
 
映画「犬神家の一族」では跡目争いで次々に殺人事件が起こるのですが、Gちゃんの家では起こりません。
あの時に撮られた写真の中央に座っていたGちゃんの祖母も2年前に亡くなったし、祖父も亡くなろうとしています。
次回に大きな長老の家で記念写真を撮る時は中央の椅子にGちゃんの両親が座ることになります。
そしてその次は私の息子とGちゃんが中央の椅子に座ることになるらしいのです。
 
息子達は勤務先であるワシントン大学近くの一軒家を購入する予定でいますので、若い内は中国にも日本にも帰ってくる積りはないでしょう。
今年中にはほそみち農園のレモン畑は完成し、数年後にはそこそこの収入が得られると思いますが、そんな農園のことなんて息子達には頭の隅にも無いでしょう。
中国の実家のことや日本の実家のことなんて現在の息子達には上の空です。
 
まぁ、若い内は仕方ないのでしょうが、それがGちゃんの両親と我々の共通するアキレス腱なのです。笑
 
そんな先のことを考えずに明日我々自身が少しでも幸せになることだけを考えることにします❕
 
私が育てているマイヤーレモンの苗木に沢山の実が付き始めました。
これが嫁さんと私を幸せにしてくれるものであって、息子達ではありません。