こんな事を書くとまた周りのプロ農家さん達にほそみち農園はインチキ農業だと言われそうですが、私は彼らが言うインチキ農業を止める積りは1㎜もありません。笑

 

シカゴから帰国して農業を継いでからずっとお世話になっている地元の小さな苗屋さんからマイヤーレモンの苗木が入荷したので要らないかという連絡がありました。

今から植えれば今年の秋には実が成る成長したマイヤーレモンの苗木です。

勿論、他の生産者達に取られる前に取りに行きましたよ。笑

普通の苗木が10本、そして今年に実を付ける成長した苗木はたったの3本だけでした。

 

以下の写真を見てもらえば普通の苗木と今年に実を付ける成長した苗木との違いが判ると思います。

苗木の太さも違いますし、背丈も違います。

苗木の価格は5倍ほど違います。

 

 

今年に実を付ける成長した苗木は幾つかの花が咲いています。

何も問題がなければ今年の秋には幾つかの実が付くと思われます。

来年は確実です。

 

 

私が今回購入した苗木は中学生の苗木と大学生4年生の就職の内定を貰えた苗木です。
就職の内定を貰えた苗木は翌年に社会に出て行き、給料を貰えるようになります。
 
何も植えていない畑にレモンの苗木を植えたと思ったら、その年の秋に幾つかの実が成っているというのは周りの農家の方達にとってはインチキ農業だと思うのも無理はないかもしれません。

子供を育てるのと同じように奥さんのお腹が大きくなってくるのから始まり、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と長い年月をかけて育てるものです。

 

我が家の周りの農家の方達の大半は70代と80代の人生の大先輩の方々です。

そういう方達は苦労して苦労して働いた末にご褒美が待っているものだと信じているので、植えたその年や翌年にご褒美が貰えるのはインチキ農業だと思いたいのでしょう。笑

 

今までの日記に何度も書きましたが、もう一度言います。

 

ほそみち君、農業という仕事は植物を育てることやで。買うのとちゃうで❕

このセリフを周りのプロ農家の方達から耳にタコができるぐらいに聞きました。

 

私は還暦を超えてからシカゴから帰国して農業を継ぎました。

植えたレモンの苗木に実が成るまで6年や7年も待っていたら人生が終わってしまいます。笑

周りの農家の方達の多くは退職金をつぎ込んで高い苗木を買っている我が家を心配してくれているからそんな言葉が出てくることも私はよく判っています。

 

プロ農家の多くは種を発芽させて苗木を自分で作りますので、初期コストは殆どゼロなので失敗しても自分達の労力が無駄になるけで経済的な痛手にはなりません。

農業未経験の我々が老後の資金を賭けてレモン栽培をやってるのは親戚を始め、周りの農家の方達の方が恐くて見てられない感じです。笑

 

以下の写真の若い苗木は亡くなった嫁さんのお父さんが作ったマイヤーレモンの実の種を発芽させたり、挿し木で作った苗です。

お父さんのマイヤーレモンは世界一美味しいと私は思います。

果物にさほど興味がなかった私ですが、それに心底惚れ込んでしまい、マイヤーレモン栽培を始めました。

 

レモンは多胚なので、種から発芽した芽の中から珠心胚だけを使ったので、DNAは同じ、つまりお父さんが作ったマイヤーレモンの実の味と同じ実が私が作った苗木に成るのです。

 

 

600本のマイヤーレモンを栽培する予定の内の100本は嫁さんのお父さんの木から作った苗木を植える予定をしています。

既に50本は植えており、この春に新芽が出て順調に成長していますが、実を付けるのは最短でも5年後でしょう。

 

私はこれまで植えた約400本の苗木の350本は苗屋さんから購入した成長した苗木です。

それは私が時間をお金で買ったことと同じです

そりゃ600本全てを嫁さんのお父さんの木から作った苗木にするのが理想ですが、マトモな収穫を得られる5年後や6年後まで待っていてはほそみち農園の経営が成り立ちません。

現実をしっかり見極めないと農園が破綻してしまいます。

 

お金で買える時間は絶対に買っておけ❕というのが私のやり方です。

 

一から自分で作った苗木だけを栽培するには理想であり、初期コストはほとんどかかりません。

そりゃ私がまだ40歳ぐらいなら、出来るだけお金を使わずにレモン栽培を始める方法を取りますよ。

人生の残り時間がまだまだありますから、3年や4年ぐらいは十分に待てますが、還暦を超えて63歳になった私にはそういう訳には行かないのです。笑

 

周りのプロ農家さん達にとってはインチキ農業になるのかもしれませんが、消費者に美味しいレモンを供給するという使命は微力ながら少しぐらいは果たしていると自負しています。

ニュージーランド産やカリフォリニア産のマイヤーレモンよりも格段に美味しいとJAの方に評価して頂き、農業を継いでからたった3年目でJAさんと契約をしてもらうことが出来ました。

JAが経営している直売店で一斉に売り出してくれることになったのです。

去年の11月が第一弾でした。

 

百歩譲って、ほそみち農園がインチキ農業をしていたとしても、出荷して消費者の口に入るマイヤーレモン自身がインチキ商品でなければ合格です❕

そう思いませんか❓ 笑
 

早速翌日の今日に私は大学生の苗木を本農園に植えました。

何度も説明していますので今回は省略しますが、花を付けている苗木をこの時期に地植えすると年末に少しでも収益が上がります。

そう思うと自宅でギターを弾いてジャズを楽しむのを我慢しましたよ。笑

 

 

盛り土が高いと思われるでしょうが、これは苗木の成長を促進する水分をたっぷり含んだ肥料が土に混ぜてあり、2~3週間で半分ぐらいに落ち着きます。

これがほそみちスペシャルなのですが、これまでの実績を見れば少なくとも間違っていないことは実証されています。笑

 

 

昨日は苗屋さんで苗木を受け取った後に看護師の妹が入院している総合病院に面会に行ってきました。

やっと家族以外の者が面会できる許可がおりたのです。

と言っても、兄の私の様な濃い身内だけですが。

 

【左から、東京から駆けつけて来た二番目の妹、看護師の妹、そして私の嫁さん】

 
敗血症での膿が両足を蝕み、命を助けるためには両足切断もやむを得ないとドクターから言われていました。
何しろ二度も心臓が停止し、AEDで心臓に電気ショックを与えて心臓を蘇生させたので、全身麻酔を必要とする骨盤の手術で膿の病巣を取り除くことは二ヵ月近く出来ませんでした。
 
局部麻酔で行える小さな手術を繰り返し、出来るだけ身体に溜まった膿を出してもらったのですが、両足は1.5倍ぐらいに腫れたままでした。
手足の感覚もなくなり、自分では食事を出来ませんでした。
 
命を助けるためには両足切断もやむを得ないかと妹の家族は諦めた時期もあったのですが、奇跡的に足を切断しなくてもよくなったのです。
妹の娘、息子、夫、そして東京から駆けつけてきた2番目の妹がこれまでの二ヵ月間、代わる代わる両足や腰をマッサージし続けました。
 
面会が始まる午後二時から5時までは2番目の妹、仕事場から直行して来る娘と息子と夫が午後10時までマッサージをする生活を二ヵ月もしていたのです。
ぱんぱんに腫れていた両足がマッサージをしてもらうことによって少しずつ腫れが退いてきたのです。
マッサージが確実に効果があると判ったので、ドクターは家族だけは面会時間を大目にみてくれました。
 
二ヵ月経った今では手足の感覚が戻っただけでなく、手足を動かせるようになったのです。
先週からは何とか自分自身で食事が出来るようになりました。
ドクターは妹にこれだけの家族の献身的な支援がなければ足を失っていたかもしれないと話したそうです。
こういうケースは稀だと妹の家族を褒めてくれたらしいです。
娘と息子と夫は毎日看護師さんに約束時間が過ぎたと叱られるまでマッサージを続けていたらしいです。
 
それを聞いて、面会に行った嫁さんも私も涙が出そうになりましたよ。
 
二ヵ月前、「オカンが勝手に死んでしまうのは絶対に許さん❕」と妹の娘も息子も恐い顔をして言ってましたが、口に出すだけでなく、彼らのやれることは精一杯やっていたのです。
医者や看護師だけが病人を治すものではないとよーく判りました❕
 
看護師の妹は看護師に復帰するどころか、車の運転も一生出来ないので、妹は貧乏生活になると言ってましたが、私はたとえ貧乏生活になったとしても妹は既に十分に幸せだと思いましたよ。
貯金が2憶や3憶あったぐらいではここまでの幸せは到底買えないと思います。