遠方の苗屋さんで注文していたマイヤーレモンの苗木が入荷したという連絡があったので受け取りに行きました。
その帰りの途中で実家の側を通るので、久々に実家のお袋に寿司でも持って行ってやろうと思いました。
 
嫁さんと私は30分に一回は喧嘩をするのですが、苗屋さんからの帰りの車の中でもスシローのお持ち帰りにするか、なごやか亭のお持ち帰りにするかかで口喧嘩です。
一皿500円のなごやか亭スシローよりもネタも大きいし、美味しいのですが、かなり遠回りしてまで行く価値はないと私は言うのですが、嫁さんは私のお袋はスシローのお持ち帰りだったらガッカリすると言うのです。
 
大事なのは寿司ではなく、お袋に我々の顔を見せることであると嫁さんに話し、帰り道の途中にあるスシローに寄りました。
そしたら嫁さんがラーメン藤守山店に行くのは面倒臭くなってきたので、スシローで済ませてしまおうと言うのです。
 
私はラーメン藤のラーメンを食べる口になっていたのに寿司になるのは嫌だと言ったのですが、嫁さんの言うように我々が食べている間にお持ち帰りを作ってくれるので、お持ち帰りの寿司ができるのを待つだけの時間はなくなります。
だから私は折れて、スシローで昼食を食べることにしました。
 
何をするにしても嫁さんと私の意見がいつも見事に正反対になるのは何故でしょうね。
それなのに38年間も一緒に暮らしているのが不思議でなりません。笑
 
我が家は村で一番の貧乏農家なのに日々の忙しさは村で一番だと思います。
この時期の貧乏農家はラーメンをゆっくり食べる時間もないのです。笑
嫁さんといつも口喧嘩をするのは貧乏のせいではないでしょうか❓

 

 

やはりマイヤーレモンは今年も品薄ですね。

付き合いのある二軒の小さな苗屋さんのどちらも大量注文は今年も受け付けてもらえず、その苗屋さんのほそみち農園の今月の割り当ては25本だけでした。

滋賀の小さな苗屋さんですから、仕方ないのですが、農業を継いだ頃から親切な対応をしてもらってますので、苗屋さんを変える積りは毛頭ありません。

 

しかし今回は一本だけですが、成長した苗木が手に入りました。

今年の秋には実が成る苗木です。

私が帰国した頃はその成長した苗木はそこそこの数が買えたのですが、現在はレモンブームがまだまだ高まっていますので、更に苗木を手に入れるのが厳しくなりそうです。

以下の写真の一番右にあるのが今年から実が成ることを保証された苗木です。

 

 

既に沢山の花のツボミが付いています。

この花にミツバチなどが受粉をしてくれて実がなるのです。

 

 

この様な今年から実が成ることを保証された苗木を軽トラに積んで農園まで走ると周りの農家の方達がしっかり見ているのですよ。

 

外国から帰ってきたばかりで間がないのに、もうレモンが成っているぞ❕ そうかぁ、やっぱりインチキしてはったんや。

 

そんな風に言う農家の方達が一人や二人ではないことを知っています。

親しい農家の方が私の悪口を聞いたことをわざわざ話しに来てくれるのですから、この村では何でも筒抜けですよ。笑

 

でもね、私は決してインチキしているわけではないのですよ。

この際、ぶっちゃけて言いますが、レモンの実が既に幾つも付いている成長した苗木も購入していたのは事実です。

そりゃ突然翌日にレモンの苗木に実が成っていたら周りの農家の方達は驚いたでしょう。

私がインチキしていると思われても不思議ではないかもしれません。

 

私は還暦を過ぎてから帰国して農業を継いだのですよ。

周りの農家の人達のように幼い苗木を5年や6年も掛けて育てているだけの時間が私には残っていないのです。

植えたその年とまでは言いませんが、せめて翌年には実が付いてくれないと私が70歳手前になってから儲かるようになるのでは残った人生を有効に使えなくなりますからね。笑
 
自然の成り行きでこんな風になったのです。
 

レモン栽培を始めた時に苗屋さんから聞いたアドバイスに100%納得したからです。

還暦までエンジニア一筋だった素人の私が栽培方法を少々間違ったとしても成長した苗木なら体力があるので、枯れてしまうリスクが回避できると説明してくれました。

 

幼い苗木はコストが安いですが、人間の子供と一緒で病気にかかり易く、少しでも間違った食事を与えればお腹を壊してしまうのはレモンの苗木も同じです。

高校生になれば少々腐りかけた物を食べてしまっても体力がついてますので、病院に駆け込むことはないでしょう。

だから私はコストが何倍もかかっても高校生の育った苗木を購入していました。

 

そしてそれは大正解だったのです。

 

マイヤーレモンは普通のレモンと違って耐寒性があり、マイナス3℃~マイナス5℃まで気温が下がっても大丈夫だとされているので我が農園でも大丈夫だと安心していたのですが、私は馬鹿だからその数字は成長したマイヤーレモンの木はOKでも幼い苗木には通用しなかったのです。笑

高校生なら寒い日であっても風邪を容易にひかない体力がありますが、幼稚園児は親が気を付けてやらないと熱を出してしまうのと同じです。

 

私は高校生の苗木を中心に購入してましたが、実験の為に幼い苗木も購入して同じ様に植えました。

農業を始めたばかりの私は霜対策なんて全く知らなかったので、幼い苗木は完全には枯れませんでしたが、根本だけを残してその上は茶色になって枯れました。

幸いにもその根本から新芽が出てきましたが、元通りになるのに2年近くかかりました。

そして高校生の苗木は葉が1/3ぐらい落ちただけで全く大丈夫だったのです。

 

もしあの時に苗屋さんのアドバイスを真摯に受け止めていなければ私は2年間を損していたことでしょう。

 

もう少し本音を言います。

初めて農業をやる素人の私には最初から失敗するのが恐かったのです

 

恥ずかしい話ですが、最初から幾つかの小さな実が付いている成長した苗木を購入して我が農園に植えれば、その年の秋にはその実が大きくなって店に出荷できるじゃないですか。

余程のことがない限りは失敗することがないのです。

そりゃ既に実が幾つも付いている成長した苗木は幼い苗木の10倍ぐらいの値段になりますが、私にとっては安心を買ったのであり、同時に時間も買ったことになります。

 

2020年の年末にシカゴから帰国した我々は先ず嫁さんの手術を受けました。

翌年の2021年には農業を始めましたが、嫁さんの抗がん剤治療に続き、放射線治療を受ける為に毎日遠くの病院まで嫁さんを連れて行っていたので、ほとんど農業の仕事は出来ませんでした。

本格的にレモン栽培を始めたのは2022年の春からですので、JAさんと契約するまで約二年間しか経っていませんでした。

 

周りの農家の方達がインチキだと感じてしまうのは無理ないかもしれません。

たった2年でレモンの苗木が私の背丈よりも高くなり、実が50個近く成るのは不思議でも何でもありません。

インチキでもマジックでも何でもないのです。

購入した最初から苗木の高さは私の胸辺りまであったのですから...笑

そりゃ2年ぐらいで以下の様な立派な苗木にはなりませんよ。笑

 

 

今年に成った花のツボミをある程度まで数えてみたのですが、200個ぐらいで止めました。

その花の全てのツボミに実は付かないと思いますが、今年は去年の倍以上のツボミを付けていますので、恐らく去年の倍ぐらいの実を収穫できるでしょう。

 

 

もしこのまま順調に秋まで育てば成長した苗木のコストは二年目の今年の秋に回収できます。

来年からは丸々利益になります。

 

ほそみち君、農業という仕事は植物を育てることやで。買うのとちゃうで❕

 

このセリフを周りのプロ農家の方達から耳にタコができるぐらいに聞きました。

 

そりゃプロ農家の方達の様に6年も7年も育てて収益を得る一般的な方法だとコストは私の1/10以下でしょうが、私はシカゴでエンジニアをやって稼いだお金もあったし、還暦を過ぎてから農業を始めた私には6年も7年もゆっくり待つだけの残された時間がありません。笑

私が周りのプロ農家がやっている一般的な理想の農業をしていたら、植えた苗木に実る頃は70歳手前になっているかもしれません。笑

 

4年目になるとレモンの苗木の防寒対策や栽培の仕方が随分判ってきたので、現在は馬鹿高い成長した苗木を買わずに2年目や3年目の安い苗木を購入して育てています。

しかし今回の様に成長した高校生苗木が手に入るなら、今でも一本でも多く買いたいですよ。

ほぼリスク無しに育てられるし、二年でコストを回収できるからです。

 

今回購入した苗木は高校生ではなく、中学生の苗木ですが、あれだけ花のツボミが付いていればこれまでの私の経験では幾つかは実を付けるでしょう。

そうなるとまた周りの農家の方達からインチキしてる❕とまたからかわれると思います。笑

 

まぁ、我が村の農家の方達の大半は70代や80代の私よりも随分年上の方達ですので、苦労せずに早く収益を求める私のやり方を気に食わない気持ちは理解できないことはありません。

私の師匠のYさんはほそみち君のやり方も正解やで。そういうことを言ってからかう奴はほそみち君が羨ましいからそんなことを言うんやと言ってくれます。

 

日本のどの地方でも農業従事者の高齢化問題を抱えており、高齢者の農家の方達は苦労して苦労して育てた末にご褒美が待っているという古い考えで今まで農業をしてきたのです。

 

そしてアメリカから帰ってきた若造(還暦辺りは我が村では若造になります)がレモン栽培を2年や3年やっただけで、JAさんと契約できて、湖南地区の全ての直売店で売り出してもらえたので、私のインチキ農業はインチキではないことが証明されてしまったのです。

だから更にほそみち農園が気に食わなくなったのだと私を慰めてくれる農家の方もおられます。

私は全く気にしませんが...笑

 

第11レモン畑と第13畑に植えている苗木は亡くなった嫁さんのお父さんが育てた木から私が苗木を作ったものであり、それは少なくとも4年か5年が経たないと実は成らないでしょう。

お義父さんが育てたマイヤーレモンの味は私にとって世界最高であり、お金儲けは関係なしに純粋に世界最高のマイヤーレモンを増やしたいという心からです。

私が一から作った苗木に沢山の実が付いた時に初めて私は一人前の農業者になったと自分を褒める資格があると思っています。

 

そしてもし周りの農家の方達がほそみち君が羨ましいという話が少しでも本当なら私は滅茶苦茶嬉しいですよ❕

どんどん悪口を言ってくれ❕と言いたくなりますよ。
 
4年前まで電子機器を開発していたエンジニアが今度は農業でもプロ農家に羨ましがられるほどの農家になったと私は誇りに思うのです。
今でもこの私が農業でお金を儲けているというのは夢みたいな話ですからね。笑
野球で成功した選手が今度はアイススケートで成功したみたいな感じに私を自画自賛しているのです。
 
何事であっても一つのものに成功した奴は他のものでも成功すると胸を張って公言するのは本当にレモン栽培が成功し、ランボルギーニを買ってからにします。笑