嫁さんも私もこのところ、ずっーーーーと仕事をし続けたので、今週末は身体を休めようということになりました。

そして今日は自宅から車で10分のところにある揚げ物専門店に昼飯を食べに行きました。

 

嫁さんはその店の味噌カツが好きであり、私は牡蠣フライが好きなのです。

貧乏農家の我々が高級店に頻繁に行けるわけではなく、嫁さんと私の2人で食べて5000円でお釣りがくるぐらいの店が我々の贅沢な昼飯になります。

貧乏人はお金だけでなく、時間もありませんので、自宅から10分で行ける店が都合がいいのです。笑

 

幸いにも琵琶湖の湾岸道路の大津市の国道161号線沿いには観光地ということもあり、沢山の美味しいレストランが国道沿いにあるのです。

比叡山の山村から車で琵琶湖方面に降りて来るとどの店も10分ぐらいで行けるのが我々は幸運だと思います。

琵琶湖の美しい景色を見ながら美味しい食事をするために京都や大阪の遠方からやって来られているのですからね。笑

 

私はその店で一番最初に出てくるキャベツが好きなのです。

シカゴで生活していた時期は野菜なんて好んで食べる人間ではなかったのですが、この店の甘いキャベツを食べて、人生で初めてキャベツが好きになりましたよ。笑

 

 

この大粒の牡蠣フライは口に入れた時に肉汁がじわっと流れてきて、それが何とも言えない美味しさがあるのです。

私は生牡蠣が大好きなのですが、牡蠣フライも美味しいものだと知ったのは帰国してこの店で食事をした時です。

 

 

 

 

残念ながら今日はこの食事を最後まで食べることが出来なかったのです。

 

我々がその店で食事をしている時に新宿に住む二番目の妹から電話がありました。

 

「お兄ちゃん、お姉ちゃんがたった今、救急車で運ばれてたんや。心臓が止まっていたらしい」

 

新宿に住む妹が実家のお袋に電話したところ、看護師の妹が救急車に運ばれている最中だったのです。

 

妹は看護師という仕事柄、患者さんを担ぐ作業があり、10年ほど前に腰への負担が原因で腰の手術をしました。

二週間ほど前に昔痛めた腰の痛みが再開し、整形外科病院で治療を受けていました。

妹は還暦になったし、子供達も独立して家を出ているので、辛い仕事をしなくてもいいと思うのですが、出勤日は減らしても、看護師を辞める積りはないみたいです。

 

現在妹は夫との2人暮らしなのですが、トイレに行くのも辛い状態だったので、実家のお袋が面倒みるということになりました。

夫は昼間は仕事に出掛けて行きますので、寝たきりの妹に冷蔵庫から水や食べ物を妹が寝ている枕元に持っていくことは出来ませんからね。

 

そこでお袋は大変な作業になったのです。

毎朝妹の夫が仕事場に行く前に飲み物や食べ物を持ってやってくるのです。

そして妹の長男や長女の子供2人も仕事場に行く前に母親の顔を見にくるのです。

お袋は毎日沢山の食料を持ってくるので、買い物を行く必要がないと言ってました。

でも袋は毎朝やって来るその三人にお茶やコーヒーを入れてやるのが大変だと言ってました。

 

そして症状は次第に悪化していき、ここ数日は寝返りが出来ないほど腰の痛みは酷くなってしまいました。

通っていた整形外科のお医者さんからかなり強い痛み止めを処方してくれたので、そのお陰で何とか寝られるようになったようです。

それを飲めば眠たくなるらしく、お袋の話では妹は寝ているか、腰の痛みを堪えているかのどちらかだったみたいです。

 

私は農園の仕事がありましたので、3日前に嫁さんにお見舞いに行ってもらいました。

腰の痛みで完全に起き上がることは出来なかったみたいですが、妹は嫁さんと普通の会話をしていたと言います。

しかし強い痛み止めの薬を頻繁に服用していたせいか、食事は全くとることは出来ず、夫が持って来るポカリスエットだけを飲んでいました。

そして2日ほど前からポカリスエットのような味のついた飲み物も気持ち悪くて飲めなくなり、ペットボトルの水だけを飲んでいたそうです。

 

お袋を始め、夫や子供達が病院を変えるべきだと何度言っても、妹は昔から付き合いのある信頼できる整形外科の先生の判断は正しいと信じ込んでいたのです。

自分が看護師ということもあり、医療の素人の者達からの言う事は全く聞かなかったのです。

 

今から考えると、その状況が続けば死んでいたと私は思います。

数年前にシカゴで私もよく似た経験をしているからです。

腎臓結石の手術をしてもらった後の痛みを緩和するために、非常に強いペインキラーを何時間おきに飲んでいたのですが、食欲が全くなくなり、ポカリスエットしか飲めなくなりました。

そしてそのポカリスエットも飲んでは吐き、飲んでは吐きの連続になりました。

 

丁度その時は嫁さんは日本に一時帰国をしていたので、当時ワシントンDCに住んでいた息子に来てもらって、手術を受け、その後の数日はベットで寝たきりの私の世話をしてくれました。

ところが、本当の苦しみは手術が終わってから来ました。

 

息子が私の世話をしてくれていた手術後の数日間はまだ体力があったのですが、非常に強いペインキラーを飲み続けると体力が落ちて、二階の寝室から一階の冷蔵庫の水を取るために二時間ほどかけて這って移動する羽目になったのです。

長女の話を聞くと、私が経験したものと同じではないかと思いました。

 

 

今朝長女が仕事に行く前にいつもの様に母親の顔を見に来たら、前日よりも更に憔悴している様子でした。

枕元においてあったポカリスエットも全く飲んだ様子もなく、長女が「水分はちゃんと取らないとアカン」と話していた最中に妹は意識を失ってしまったのです。

 

驚いた長女は直ぐに救急車を呼びました。

10分ぐらいで救急車が直ぐに来てくれたのですが、救急隊員が駆け付けた時は妹の心臓が止まっていたので、心臓マッサージを受けながら救急車まで運び込まれました。

 

妹が救急車に乗るまでの話をお袋に電話して聞きました。

もうそのまま楽しくその店で食事をすることが出来ず、私は救急車に乗って同行した長女にLINEをし、もし答えられるなら母親の状態を知らせて欲しいと店の中からメッセージを送りました。

 

我々はどうすることも出来ないので、取り敢えず、長女から連絡が来るのをその店で待ちました。

どの救急病院に運ばれたのかも判りませんからね。

美味しい牡蠣フライが目の前にありましたが、それを食べる気分にはなれるはずがありません。

しばらくして連絡がなければ、取り敢えず実家に行く積りをしました。

 

30分ぐらいですかね、長女からメッセージが着ました。

妹は救急車の中でAED(心臓への電気ショック)を受けて、何とか心臓は動き出したのですが、心臓が止まっていた時間が長かったので、今だに意識不明の危険な状態だということでした。

滋賀県立総合病院のICUに運び込まれた後は同行した長女さえも母親の状況は判らないというメッセージでした。

ICUで処置中なので、長女は駆けつけてきた弟と父親の3人で待合室でじっと待っている状態でした。

 

【滋賀県立総合病院】

 

私は持病の腰の痛みが再発したぐらいに思っていたのですが、お袋からの電話で妹が心臓マッサージを受けながら救急車で運ばれて行ったことを聞いて、嫁さんと私は非常に驚きましたよ。

長女から連絡を受けて、我々は直ぐにその病院に向かいました。

我々がその病院に行っても、集中治療室で処置を受けている妹に面会できないのは判っていましたが、そのその病院に向かう以外のことは頭に浮かびませんでした。

 

病院では妹の夫、長女と長男が深刻な顔をして、ICUで処置してくれているドクターの報告を待合室で待っていました。

私が駆けつけてから4時間ほどが経ったでしょうか、ICUの看護師さんから詳しい説明がありました。

 

妹は意識を取り戻し、看護師さんやドクターの顔を見て、ちゃんと認識できたのですが、呂律が回らない状態だということでした。

それから1時間ほと経った頃に看護師さんがやって来て、面会は家族だけにして下さいと言われました。

しかも短い時間で。

嫁さんと私は妹の顔を遠くから短い間だけ見るのなら、許してもらえたので、一瞬だけ妹の顔を見ることができました。

 

沢山のチューブを身体に繋がれた妹が痛々しかったですね。

目を開いていた妹が我々に気付くと呂律が回らない言葉でしたが「お兄ちゃん、お姉さん」とだけ小さい声で言ったのが聞えました。

我々はそれだけで退場させられました。笑

 

妹は救急隊員の方達や、滋賀県立総合病院のICUのスタッフのお陰で、何とか命は取り留めました。

 

ドクターは嫁さんや私の顔まで認識しているので、心臓が止まったダメージはゼロではないが、少ないものだと言ってくれました。

呂律が回らない状態が完全に回復するかどうかはまだ判りませんが...

CT検査では骨髄炎の可能性もあるので、詳しい検査が必要だそうです。

腰を手術した傷跡から何かの黴菌が入ったのかもしれません。

 

命に別条はないのですが、それでも危険な状態であることは変わりなく、お見舞いに来ないでくれみたいなことを言われてしまいました。
普通はICUで治療中の患者は面会謝絶らしいですね。笑
 
妹がどんな風に子供達を育てていたかを今回よく判りましたよ。
最初は単に腰が痛くて寝ていただけなのですが、毎朝毎朝夫と長女と長男が食べ物を持って母親の顔を見に来ていたのです。
今回も長女が来てくれなかったら、妹は実家で心臓が止まったまま死んでいたかもしれません。
 
長男も昼過ぎに母親の顔を今日も見に来る予定をしていたところ、姉から「オカンの心臓が止まって、救急車で救急病院に運んでもらっている」とのLINEのメッセージを読んで、目の前が真っ白になったそうです。
直ぐに病院に駆けつけようとしたのですが、姉から何度病院の名前を聞いても全く頭に入らず、3回も姉に電話をかけ直したそうです。
 
妹の息子も私の息子と同じで、かなりのマザコンなのです。
そして筋金入りのお姉ちゃんっ子ですね。
妹のマザコンの息子は結婚して、幼い娘もいるのに、そんなマザコンでどうすんや❕ もっとしっかりしろ❕と言いたいですね。
 
妹は娘と息子を可愛がって育てたていたのでしょう、現在妹は子供達から凄く大切にされています。
妹の仕事は看護師だし、夫も地元の小さな会社で働いているので、お金持ち家庭ではありませんが、これだけ子供達から大切にされていれば、お金なんて要らない幸せな母親だと思いましたよ。
それに夫までが毎朝仕事に行く前に実家で寝ている妹の顔を見に来ているのは驚きましたね。笑
 
妹は夫からも大切にされているのが羨ましいですね。
私なんか嫁さんに粗末に扱われていますからね。笑
 
今回、牡蠣フライを半分も食べられなかったので、妹の容態が落ち着いたら、改めて近々もう一度嫁さんと食べに行こうと思います。