翌日の出荷の準備をしていた嫁さんがスマホで誰かと話ながら私がギターを弾いていたリビングルームまで来ました。
「アンタ、スマホなんて変えてへんな❓ Tさんがアンタがスマホを変えたから連絡がつかへんようになったと言うてはるで」と言って嫁さんはスマホを私に手渡しました。
Tさんは嫁さんが県庁で働いていた時の同僚の男性であり、その奥さんは大学生の娘を連れてシカゴの我が家まで遊びに来た嫁さんの40年近くの親友です。
Tさんが私がスマホを変えたと勘違いした理由が判りました。
去年Tさんがハーレー乗りのKさんを紹介してくれたのですが、私にとってKさんは気持ち悪いオッサンだったので、断捨離したのです。
その詳細は以前の日記に書きました。
断捨離するといっても私が一方的に電話やLNEなどの全ての連絡手段をブロックしただけです。
お互いアラカンの年取ったオッサンなのですから、連絡がつかなくなったら嫌われたんだと察してくれると思ってました。
Kさんは私がスマホを買い替えたので電話番号も変わり、連絡がつかなくなったのではないかと思って共通の友人のTさんに連絡しました。
Tさんは私の嫁さんの電話番号も知っているので、連絡をしてみるとKさんに伝え、嫁さんのスマホに電話してきたのです。
Tさんが素直に私のスマホに電話を掛けてくれたら私は出るのに...
私はTさんにKさんの連絡先を間違ってブロックしたかもしれないと判りやすい嘘を話してましたが、大人のTさんは大体の状況を理解したようでした。
Kさんの用件は前回と同じバッテリーの問題でした。
新車のハーレーを購入してから1年も経っていないのに冬場にエンジンが掛からなくなったことはバッテリーが弱くなったからだと前回に詳しく説明してあげました。
冬に何週間もバイクに乗らないとバッテリーが弱くなってってエンジンが掛からなくのはそれがハーレーだからだとKさんに言いました。
私の様に一週間か10日に一度バッテリーをチェックし、必要なら充電した後にエンジンを掛けます。
シカゴ時代は11月にはバッテリーをバイクから取り外し、常温の屋内に保管していました。
極寒のシカゴではマイナス15℃が続くのが珍しくないので、冬にバイクに乗ることは自殺行為みたいなものであり、ガレージの中の寒さでもバッテリーを劣化させます。
日本では冬でもバイクに乗れます。
郵便局の配達人は一年中バイクに乗って配達してくれています。
前回私は私が使っているバッテリー充電器をKさんに勧めたら、こんなことを言われたので、私は彼を断捨離することに決めた理由の大きな一つでした。
私にあんな失礼なことを言っておいて、私のバッテリー充電器をもう一度使わせて欲しいとKさんはTさんを経由して言ってきたのですよ。
私はこの際Tさんにハッキリ言いましたよ。
今回だけはTさんの顔を立ててKさんのお願いを聞いてあげるが、これが最後になるとハッキリ言いました。
嫁さんの40年近く付き合っている親友の夫の気分を悪くさせたら、私は嫁さんから大目玉を食らいますからね。
自分の意思は通すものの、波風立たないようにその辺を上手にやらなければなりませんでしたね。笑
日曜の午後3時から時間が空いていたので、TさんにKさんに午後3時に我が家に来るように伝えてもらいました。
以前の日記に書きましたが、Kさんはハーレー純正の高価な充電器を買い、バッテリーを充電したのでエンジンが掛からなくなることはなくなりましたが、頻繁にバッテリーが弱くなって充電する必要な状態になったのです。
そして購入店に持って行って調べてもらったら、新しいバッテリーに交換した方が安全だと言われたらしいのです。
Kさんはこんな調子で店員さんに言われるままにバッテリー交換していけば下手すりゃ年に2回ほどになってしまうと心配になったのです。
だからあの時に何度も言うたやん❕と言いたかったですが、心の中だけに留めておきました。
技術的な説明は省略しますが、私の充電器はバッテリーをチェックする機能があり、バッテリーが劣化して、交換時期になれば知らせてくれる機能が付いています。
凄くコスパが良い充電器なのであの時に私は推薦したのですが、ボロクソに言われたのは前述した通りです。
店員さんに相談すれば新しいバッテリーに交換した方が安全だと言われるのは当然の話ですし、そういう機能がない充電器を使っていれば本当に新しいバッテリーに交換した方が安全かどうかは店員さんの言葉を信じる以外に方法がないかもしれません。
でもね、Kさんの本当の目的は私の充電器で彼のハーレーのバッテリーをチェックすることではないことは判っていました。
前回私がKさんに余計なことをベラベラと話してしまっていたのです。
恐らくバイク屋さんではそういうお金にならないサービスはやってくれないのでしょう。
そういうサービスをKさんは私に期待しているのです。
Kさんはハーレーダビッドソンのロゴが入った20万円ほどのレザージャケットを平気で買う人ですから、1万数千円の私と同じ充電器を買うことに躊躇するはずがないと思っていたら案の定でした。
私が余計な事を彼に話したていたのが今回の災いになりました。笑
私は電子工学の専門家だったこともあり、シカゴの会社から持ち帰った測定器が幾つもあります。
帰国する年に私が開発した試作品も日本に持ち帰りました。
私の仕事を引き継いだ後輩エンジニアが解決できない問題に遭遇した時に滋賀の自宅で同じ不具合をシュミレーションできるからです。
幸いにもそういう装置を使う機会はありませんでしたので、邪魔になるから会社に送り返すと言ったのですが、後輩エンジニアは最新の物を購入してもらったので、私に処分してほしいと言われました。
まぁ、そうですよね、帰国する時に既に3年モノでししたので、6年前の測定器は現在のモノに比べれば精度が悪いですからね。
6年前のスマホと現在のスマホは写真の解像度も大きく違いますからね。
しかしバイクのバッテリーを検査するには十分過ぎる機器です。
シカゴの会社から持ち帰ったエンジニアリングワークステーション(高性能なCPUが幾つも搭載されている高性能なパソコン)とその測定器をUSBケールで繋げば画面上で色々な測定結果が詳細に見られます。
冬場にバイク乗りが心配するのは防寒の為に電熱グッズの電源の容量です。
電熱グッズを身にまとえば冬でもバイクに乗ることが可能になります。
電熱グッズは色んな物があります。
代表的な物を幾つか紹介します。
さて、問題はこれらの電熱グッズをポケットに入るぐらいの専用バッテリータイプを使うか、バイクのバッテリーから給電されるタイプを使うかです。
勿論バイクのバッテリーから給電されるタイプを使う方が遥かに楽ですよ。
いちいち専用バッテリーを充電する必要がありませんし、そのバッテリーは小さくても重いので、身体に装着させるのは誰でも嫌ですからね。
そうかと言って、電源を全てをバイクのバッテリーから取ってしまうとそのバッテリーの負担が大きくなります。
Kさんの様にバイクのバッテリーが頻繁に上がってしまうのはそういうことを平気でしているからです。
現在のバイクは以前のバイクに比べて非常に多くの電力を使います。
私のハーレーもそうですが、FI( フューエル・インジェクション)と呼ばれる燃料供給装置はバイク内部のマイコンが制御しているので走行中も常に電力を消費しています。
メーターもLED画面ですから、雨の日の天候が悪い時でもハッキリ速度が見えるように発光していますが、それも結構電力を使います。
現在のバイクはキーレスとかスマートキーと呼ばれ、キーを挿してエンジンを掛けるというものがありません。
私のN-BOXと同じで、スマートキーがポケットに入っていれば近づくだけでエンジンを掛かる状態になり、ボタン一つでエンジンが掛かります。
それはバイクを停めている間もバイクはスマートキーを検知する作業をしていますので、24時間に電力を消費しているのです。
私は高校時代にバイクに目覚めたのですが、あの頃のバイクと違って、電力を消費する色んな物がバイクに装備されていますので、バッテリーが辛いのです。
そしてETC, スマホ、バイクナビ、インカム、GoProまで取り付けているKさんが決して特別というわけではありません。
夏場なら問題なくても、冬場に電熱グッズもバイクのバッテリーから取っていればバッテリーが頻繁に上がってしまうのは不思議なことではないのです。
バイクのバッテリーはエンジンが回ればレクチファイアとレギュレータを通って充電されるのですが、もし充電される電力よりも電熱グッズなどに消費される量が多ければバッテリーが弱くなっていくのは当たり前の話です。
それじゃ、バイクのバッテリーの電源を利用しているどれがどの程度の電力を消費しているのかを知ることで専用の小型のバッテリータイプのモノに変えればバイクのバッテリー問題は解決するのです。
バイクに乗って出掛けようとした時にバッテリーが弱くなっていて、エンジンが掛からず、充電が終わるまで数時間待つということが完全になくなるかもしれません。
私が仕事で使っていた高性能な測定器を使わなくてもこの程度のチェックはアヤハで買える安い物で出来るのですが、パソコンの画面に表示されるのはハッキリと電力量を把握できましたね。
テストは簡単、バイクの付属品の多くはUSBで電力を得ていますので、それを順番に抜いていったり、挿していけばバッテリーがどれだけの負担になっているかは一目瞭然でした。
要するにETCとかバイクナビは常に必要なので、バイクのバッテリーから電力を供給してもらうが、スマホのGoogle Mapを使っていないので、走行中に充電する必要がないとKさんは判断できるのです。
こんな風に色々な物が測定できるとカスタムする判断材料が得られるのです。
やはり電熱グッズの電力の消費量はETCとかスマホの充電よりも遥かに電力を消費するので、面倒くさいけれど専用の携帯バッテリーを充電して使うのがベストだと私は彼にアドバイスしました。
これから温かくなっていきますので、彼のバッテリー問題は自然消滅するでしょう。
常識のある人なら私がこれだけ彼の為に作業をしてあげているので有難うの一つの言葉が出てくるのが当然です。
しかし彼は案外時間がかかるものですねと言っただけでした。
でも高級和菓子を手土産に持ってきたので、彼の心の中では私に感謝してくれているのかもしれません。
多分違うと思いますけど...
いずれにせよ、彼とは数時間で一生絶対に会わない人になります。
これで嫁さんの元同僚のTさんの顔を潰すことはなくなりました。笑
ただ一つだけ今回彼と話して良かったことがありました。
バイク乗りで不思議だったことが彼と話してみて疑問が解けたのです。
Kさんはマフラーを交換してハーレーらしいエンジン音を出したいと言うのです。
私が知っている滋賀のハーレー乗りの多くは車検後に爆音が出るマフラーに変えています。
以前の日記にも書きましたが、私のマイヤーレモンが売られている道の駅がプチツーリングの集合場所になった時に駐車場で自慢の爆音を披露していたので滅茶苦茶腹が立ちました。
私と同世代の立派なオッサンがそんな不良の高校生みたいなことをして喜んでいるのですよ。
私にしてみれば私のマイヤーレモンを買いに来てくれているお客様を恐がらせて何をしてくれるねん❕という感じでした。
こんな連中と私が同じハーレー乗りだと思われたら堪ったもんじゃない❕と思いましたよ。
私のFourty-Eightというハーレーは小さいのですが、それでも1200㏄のエンジンが搭載されていますので、エンジン音は一般的な国産車よりも大きいのです。
Fourty-Eightの馬力は日本を走るなら十分ですので、燃費が少しでもよくなるマフラーがあるならエンジン音が半分になっても、馬力が半分になってもいいからそれに付け替えたいと思っています。
Fourty-Eightのタンクは7.9ℓですから、100㎞走ると給油ランプが点灯します。
それとは対照的にKさんも爆音が出るマフラーに交換する予定なのです。
滋賀の田舎町では違法改造のマフラーで警察からチケットを切られることは滅多にないそうですが、ええ歳したオッサンが違法改造のマフラーのマフラーに取り換えて喜ぶ気持ちが私には全く理解できませんでした。
そしてKさんは最も理解できないバイカーであることを知りました。
ジキル&ハイドというメーカーのマフラーには開閉バルブ機能が搭載しており、車検時やパトカーに掴まり易い場所を走る時にはハンドルのスイッチでマフラーのバルブを閉じて、音を小さくすることが出来るのです。
普段はバルブを開けて爆音を出すのです。
車検対応マフラーなので、他の人の様に車検時にノーマルのマフラーに取り換える必要がないのです。
エンジン音を大きくするために60万円ものお金を出す人が居るのか❓と思っていたら、Kさんという身近にいたのです。
ほんと、驚きましたね。
そのマフラーを注文してから届くまでに数ヶ月かかるそうなので、夏本番にそれを味わうには今月中に注文する必要があると言ってましたね。
それに60万円ではなく、取り付け工賃を含めて90万円弱だとも言ってました。
90万円もあれば中古の国産の大型バイクが買えますよ。
私なら新車のクロスカブを買って、日本を走り回りたいですよ。
帰国してから悟ったことですが、狭い日本を走るにはハーレーよりもクロスカブやハンターカブの方が面白いかもしれないです。
本気でそんな高いお金を出して爆音マフラーを取り付ける積りなの❓と何度も彼に訊きましたよ。
そしたら彼は言うのです。
ほそみち君みたいにいつも峠を一人で走ってたら、高いマフラーに取り換えても誰も聞いてくれへんから勿体ないなぁ❕ あの辺やったら対向車もあまりないやろ❓と言うのです。
そういうことだったのか❕と納得しましたよ。
爆音を出すバイクに乗るのは自己顕示欲だったのです。
爆音を出すハーレーに乗っているオッサンの多くは何人かでマスツーリングをしているバイカーです。
確かに私みたいに一人で寂しい峠ばかりを走っていれば高いマフラーを付けていることを自慢できないし、その爆音を聞いているのは鹿や猪だけでしょう。笑
これは私の想像に過ぎませんが、恐らくそういう人は職場でも家庭でも自分の存在を認めてもらっていない寂しい人だと思います。
現在の私はレモン農園をいう底辺の仕事をしているオッサンですが、私が育てたレモンが美味しいと言ってくれて、直売店の開店前から並んでくれることにこんな自分でも必要とされていることを十分過ぎるぐらいに実感しています。
そう言っても、たかが1個百数十円のレモンですので、大袈裟だと思われるでしょうが、私にとっては人生の喜びの一つです。
私の周りのプロ農家の人達もこだわりブドウやイチゴを出荷し、自分がしている仕事に満足して生活しています。
爆音バイクを走らせなくても自分の存在は地元の人達からちゃんと認められれているのです。
私はほそみち農園と書かれたラベルを貼って出荷していますが、大半の農家の人達はそんなことをしません。
お客様に食べてもらえばその良さが判るので、私の様に目立つことはしない人が大半です。笑
我々農家が出荷した作物が並べられている道の駅などでバイクから爆音を出すなんてことは私には精神的な病気以外に何者でもありません。
爆音がするハーレーを徒党を組んで走ればそりゃ街の人達は見ますよ。
私にすればそれは凄く恥ずかしいことですが、そんなことで目立つことで人々に振り向いてもらいたいというのは精神的に病んでいると私は思ってしまいます。
爆音を出すことによって燃費が伸びるのなら何とか理解できるのですが...笑
バイク乗りにとって給油する回数が減るのは有難いことですからね。
Kさんからの話で、そういうバイクは仲間や街の人達から見てもらわないと意味のないものだと判って疑問が解けました。
このブログに何度も書いていますが、どうして多くのバイクチームはバイクをぶっ飛ばせる人毛の無い場所でなく、人が集まるところばかりを走るのかが理解できたように思います。