25年前に私が渡米する前まで時々一緒にバイクで走っていた旧友のE君から連絡がありました。

彼は2024年モデルのハーレーを買う積りをしているのですが、2種類の新機種のバイクの内のどちらを買うかで悩んでいるのです。

E君は半年ぐらい前にハーレーに乗ることを諦めた人なので、彼がハーレーを買う事に驚きましたよ。

 

彼は私よりも一つ年上であり、彼は定年退職後も同じ会社で働いているものの、週の内の半分ほどしか働かないので、暇を持て余していました。

彼が暇だから私のレモン農園を手伝ってあげようかと4月に我が家に来た時に私のハーレーを見て、再びバイクに火が点いたのです。

彼は結婚して子供が生まれてからはバイクを処分してしまい、30年以上もバイクに乗っていなかったのですが、私のバーレーを見たのをキッカケに再びバイクに乗りたくなったのです。

 

彼とバイクで走っていた若い頃はいつかはお金持ちになって大きなハーレーに乗りたいと話していました。

そして彼は私がハーレーに乗っているので、あの時の夢物語が私だけ実現していたことに彼は少しショックを受けていたようでした。笑

彼は目の間のハーレーを彼は見て、ほんまにハーレーに乗ってるんや❕と彼は何回も言ってましたね。笑

 

彼は退職金が銀行に預けてあるので、現在なら200万円や300万円のハーレーぐらいは余裕で買えるのですが、彼はハーレーに乗ることを諦めてしまうのですよ。
その理由は彼が広い駐車場で私のハーレーのFourty-Eightを全く運転できなかったからでした。
 
彼が乗っていたのはHONDAのHAWKⅡという400㏄のバイクでした。
30年ぶりにバイクを運転するには私の1200㏄のエンジンのハーレーは少し荷が重かったかもしれません。
広い駐車場で私のハーレーを彼に運転させてあげようとしたのですが、ハーレーのバイクの大きさと重さに彼は怖気づいてしまって、最後まで走らせることが出来なかったのです。
 
確かにハーレーのバイクは日本車に比べて滅茶苦茶重いです。
私のハーレーのFourty-Eightはハーレーのバイクの中で軽い方なのですが、それでも250㎏はあります。
バイクの上に乗っているだけでも、ハンドルを動かし、少しバランスを崩せば右か左の足にズシっと重さが掛かります。
 
まぁ、E君は160㎝の私の嫁さんよりも背が低く、かなり痩せているので重いハーレーを取り回すのは辛いとは思いますが、それは次第に慣れてくるものですからね。

残念なことに最終的に彼はハーレーに乗ることを諦めたのですが、その理由はハーレーを倒してしまったら自分で起こせないからだと言いました。

 

信号待ちで止まっている時にクラッチを握った左手が緩んでしまい、エンストと同時に立ちゴケしてしまうのは彼も私も何度かあるのですが、直ぐにバイクを起こして路肩に避けないと後続車からクラクションを鳴らされてしまうのはよく判っています。
立ちゴケして、公道の交通を妨害することになった時は焦って本来の力が出て来ないという彼の言う事も確かに一理あります。
しかしそれは慣れの問題であり、私のFourty-Eightのようにハーレーのスポーツスターの軽いバイクなら彼でも十分に扱えると私は思います。

 

お金に余裕があるのにハーレーに乗れない人がいるのですよ。
 
私は小柄の彼でも必ずハーレーに乗れるようになると思います。
取り敢えず大型の免許を取って、ハーレーを買い、公道で走る前に2週間ほど駐車場で練習をすれば必ず取り回しが出来るようになると思うのです。
しかしバイクという乗り物は事故をすれば死んでしまう可能性があるので、私も責任を持ってハーレーを更に勧めることは出来ませんでした。
 
私が彼に悲しかったのはハーレーに乗れなければバイクに乗る意味がないと言ったことです。
以前に乗っていたHONDAやSUZIKIのスポーツバイクには興味がないと言います。
恐らく彼は私が若い頃の夢を実現してハーレーに乗っているので、彼は今更HONDAやSUZIKIといったあの頃と同じ様なバイクに乗って私と一緒に走りたくはないのですよ。
でもそれは根本的な間違いであると私は思うのです。
 

もし私にお金がなくてハーレーが買えなかったとしても、国産の安い125㏄のバイクが買えれば私はそれでも十分に嬉しかったと思います。

125㏄であっても、250㏄であっても、バイクに乗れば幸せな気分になれることが人生、凄く幸運なのですよ。
私の息子の様にバイクを毛嫌いする人は世の中の楽しみを半分ぐらい損しているように感じます。
 
だから私は彼に説教じみたものをしてしまいました。
 
アクセルを回すだけで脳の中からドクドクとアドレナリンが分泌され、身体中がワクワクする幸せな気持ちにさせてくれる便利なオモチャは世の中に他には見当たらないと...
 
私がギターでジャズを弾いて気持ちよくなってきたのは50歳前後ですよ、中学生からギターを始めたのに...
自分の頭の中で描いた音が無意識に指に伝わるのに何十年もかかったのです。
ジャズは滅茶苦茶コストパフォーマンスが悪いですよ。
ジャズは今でさえ調子の良くて楽しい時と調子が悪く落ち込む時がありますが、バイクの乗って気分が悪くなったのは冷たい雨が急に降り出した時以外にに記憶がありません。
 
バイクは免許を取ってバイクを買ってしまえば、その時から直ぐに楽しめるのですよ。
何十年間も練習する必要がないのです。
バイクは人生を楽しみむものとしては理想のオモチャだと私は思います。
 
そしたら先日彼から来年の最新モデルのハーレーを買う積りだという連絡がありました。
 
 
排気量は350㏄、価格はX350が69万9800円、重量はたったの195 kgなので、彼が以前に乗っていたスポーツバイクとあまり変わりませんので、彼はそのバイクなら十分に取り回しが出来ます。
ガソリンタンクは私の1200㏄のFourty-Eightの7.9ℓに比べて、13.5ℓなので、日本車並みに連続走行距離が見込めます。
 
中型免許でのれるハーレーです❕
 
ハーレー社120年の歴史の中で中型免許でのれる350㏄の小さいバイクが発売されるとは夢にも思ってませんでしたよ。
 
中型免許で乗れるハーレーはこの秋に大きな話題になったので、勿論私も知っていました。
ハーレーというバイクは大型免許が必要だし、重たいし、価格が高いという大きな障害がありましたが、ハーレー社はその障害を全て解決したアジア限定モデルのバイクを発売したのです。
 
E君は中型免許を持っているので自動車教習所に7日間通えば大型免許を取れます。
私も月の輪自動車教習所で7日間で取りました。
費用は約10万円でした。
現在彼は来年温かくなったら大型バイクの免許を教習所に取りに行こうかどうか迷っています。
 
というのはX500の500㏄のエンジンだと大型バイクの免許が必要になるからです。
X350の兄貴分であるX500の重量もたったの208㎏であり、X350の195㎏とほとんど変わらないし、バイクの大きさもほぼ同じなら、排気量の大きい方が楽しいのではないかと彼は考えています。
私もそれには大賛成です。
 
私のハーレーのFourty-Eightはハーレーの中で一番軽いバイクなのですが、X350やX500に私の嫁さんが跨ってもまだ私のハーレーのFourty-Eightの方が重いのですから、X350やX500が如何に取り扱いが楽であるかはよく判りますよ。
そしてその軽量と高回転型のエンジン仕様を考えれば、恐らくX350やX500は私のFourty-Eightよりも楽に早く走れるでしょうね。
 
 
価格はX350が69万9800円、X500が83万9800円なのですが、彼はそういう安い価格帯でハーレーが売りに出されたことに非常に怒っているのです。
ハーレーがバイトしている大学生でも買えてしまうのが悲しいと言うのです。
 
コイツ、何を言っているの❓という気分になりましたよ。
 
安かったら普通は喜ぶべきだと私は思うのです。
 
ほそみち、FerrariやPorscheがMAZDAと同じ価格で買えたらどういう気分になる❓と言われて、何だが納得してしまいました。笑
 
E君はまだバイクを注文していないので、具体的な納期は判らないのですが、X350は注文が殺到しているので何ヵ月も待たされるらしいです。
ハーレーに憧れていた者達が70万円を切るという価格でハーレーが乗れるというのは凄いことなのでしょうね。
憧れていたハーレーが大型免許も要らずに70万円で乗れるのは確かに画期的な出来事だと思いますよ。
 
しかし私にとっては私のFourty-Eightの後継機であるスポーツスターSでさえ空冷から水冷エンジンに変更になったので、120年の歴史があるハーレー車ではないという気分です。
ハーレーの120年間の伝統だったV-Twinのエンジンが水冷式でParallel-TwinになったX350やX500はハーレーというバイクの乗り心地が一欠けらも残っているのか❓と私は思いますね。
私にとってX350やX500は別のバイクですね。笑
 
【スポーツスターS】
 
でもね、ハーレーはハーレーだ❕というE君の意見は全く正しいです。
私のFourty-Eightも電子制御でガソリン噴射するフュエルインジェクション方式になった時に従来のハーレーのエンジンの良さがなくなったと言われましたからね。
エンジンを掛ける時にガソリンの混合具合を自分で調節しなくなったことはハーレーのバイクの楽しみが消えたと言う人もいます。
旧式のハーレーはかなりバイクに詳しくないと乗れません。
 
誰でも簡単にエンジンが掛けられるのはハーレーではないと仰る人もいますからね。笑
確かにエンジンに無知な者でも電子方式になった現在のハーレーではボタンを押せば誰でもエンジンが掛けられますが、そのお陰でハーレー女子がグンと増えて、バイク乗り界隈が楽しくなったことを考えるべきです。笑
何事でも同じだと思いますが、新しい物を認めたくないのは歳を取った証拠ですよ。笑
 
バイクという乗り物は下手すりゃ人生の最後を共にする相棒です。
見た目のカッコ良さでもエンジン音でも乗り心地でも何でもいいのですが、一緒に心中できるバイクを選びます。
乗用車とは違うのです。笑
 
E君とはハーレーに対する価値観も違いますが、人生最後のバイクをハーレーに選んだことは同じです。
彼とは背丈も体重も身体能力も違うので、それぞれ個人の喜ぶスポットが違うのは当たり前のことなのです。
これはバイクだけでなく、他のことにも言えることだと思います。
 
私はE君にはX350やX500の様な新しいモデルのハーレーではなく、空冷でV-Twinの伝統的なハーレー車を乗ってほしいと思いますが、それは私の傲慢に過ぎません。
毎日会社に出勤しなくてもいいので、暇を持て余した彼はレモン農園を手伝いに行こうか❓と心にも無いことをE君は話していましたが、全然元気がなかったですよ。
そしてE君が再びバイクの楽しさを思い出し、現在はまるで高校生の様にバイクに夢中になっていることに私はバイクって凄い力があると再確認しました。
 
定年退職後に元気がなくなる必要はないのです❕
還暦を過ぎてもまだまだ面白いことが世の中にはありますよ。