アンティーク、これが目利きできなきゃ止めた方がいい!...なんて書きましたが、私は今まで目利き出来ずにどれだけのFAKE(偽物)を随分買ってしまったことか...

特にネットオークションでは酷いものでした。

 

アンティークを止めた方がいいのは私自身なんです。

 

私は100年以上前に製造されたコカ・コーラの初期の瓶やグラスを集めています。

Hutchinsonと呼ばれる瓶ですが、希少な物だとオークションで日本円に換算すると100万円ぐらいで落札されます。

安い物でも50万円ぐらいで落札されます。

勿論アンティークですから、傷の有無や瓶の状態によって大きく変わりますが。

 

勿論普通のサラリーマンである私がそんな高価なオークションに参加できるわけではなく、シカゴ市内で週に一度行われるオークションを見に行くだけです。

コカ・コーラのHutchinson瓶は高いので買えませんが、コカ・コーラの100年前のグラスは私でも何とか手が届きますので、それを集めています。

 

100年前のコカ・コーラにはコカインが入っていました。

当時はコカインは違法じゃなかったのです。

Refreshingというのが当時のキャッチコピーだったのですが、日本の”スカっと爽やか!”ですね。

でも当時はコカインが入っていたので本当に飲めば”スカっと爽やか”になったのです。

 

 

 

 

100年前はCoca Colaも知名度が高くなく、Coco Colaと名前が間違っていても誰も不思議ではなかったんですね。

こういうエラー瓶は価値が高く、瓶の口が割れている三級品でも日本に換算して50万円ぐらいで落札されます。

 

 

同年代のコカ・コーラの初期のHutchinson瓶であってもコカ・コーラのロゴが入っていない瓶の市場価格は1/10ぐらいになります。

歴史的には同じ価値があるのですが...

 

私はネットオークションでコカ・コーラのHutchinson瓶が市場価格の1/5ぐらいで出品されていたので飛びつきました。

最終的には1/3ほどで落札できました。

無事に落札できた時は凄く嬉しかったです。

 

そして2週間ほどが経ち、仕事中に嫁さんからHutchinson瓶が送られてきたことを連絡してきました。

嫁さんは何故か最初からずっと笑っているのです。

 

私が何故笑っているのか嫁さんに訊いても「家に帰ってきたら直ぐに判るで!」とだけしか答えてくれませんでした。

 

そして家に帰って届いたHutchinson瓶を見て感動しました。

アンティークの本の中でしか見たことのない100年前のコカ・コーラのHutchinson瓶が目の前にあるのです。

上記の写真の様に100年経った時間が瓶に刻まれていました。

 

ところが...

 

その瓶を手に取った時に私はもう少しで天井に放り投げてしまうところでした。

それがガラスの瓶ではなく、凄く良く出来たプラスティック製の模造瓶だったのです。

ガラス瓶だからある程度の重さを予想して手に取ったら軽いプラスティック製だったので勝手に手が頭の上まで上がってしまったのです。

 

嫁さんは私の行動を見てゲラゲラ笑っていますし、自分の馬鹿さに笑いがしばらく止まりませんでした。

 

レストランの入り口にメニューのサンプルが並べてありますが、本物と区別がつかないほどの物です。

それと同様に私が落札したプラスティック製の瓶も目の前で見てもガラスの瓶と区別がつかないほど精巧に出来てしました。

 

出品者の説明では亡くなった祖父が集めていたものなのでこの瓶がどんなものか、どれだけの価値があるかは判らないと書いてあったので、素人が瓶の価値も判らずに付けた値段なので滅茶苦茶安いものだと私は信じて落札したのですが...

その瓶が本物だと一行でも書いていたら私は返品できたのですが、逆に出品者は私にはどれだけの価値があるのか、どんな瓶なのかは判らないとハッキリと書いていたので完全に私の目利きミスなのです。

 

その後、私はネットオークションを止め、シカゴ郊外にあるアンティーク店に通い、その店のオヤジに色々と教わりました。

授業料として随分色んな物も買わされましたが、現在では瓶やグラスを見ただけでどの年代の物なのかは鑑定できるようになりました。

 

さて、問題です。

 

以下の写真のCola Colaの二つのグラスはModified Flare Glassと呼ばれるもので、一つは1923年製であり、もう一つは1927年製です。

 

この二つのグラスにはハッキリとした違いがありますが、判るでしょうか?

 

どちらとも100年近く前に製造されたグラスであり、当時のガラス成分の輝きやガラスの中に細かな気泡が入っていることなどから私はようやく本物かどうかを目利きできるようになったのですが、この二つのグラスの違いを見つけるのはそういう目利きの能力は一切関係なく判断できます。

 

さて、二つのグラスの違いは何だ?

 

 

アンティークはFAKEを見分けられるかどうかの能力が一番肝心なのですが、上の写真だけでその違いが判った人はアンティークの才能が優れていると思います。

それは私が保証します。

 

アンティークだけでなく、ブランド物をネットオークションで買う場合も上の写真だけでその違いが判った人は偽物を掴まされないでしょう。

 

上の写真で判らなかった人のために判りやすい写真を2枚掲載します。
これでも違いが判らなかった人はアンティークには向いてないかもしれません。
私もアンティークには向いてなかった典型的な者ですが、アンティークを止める必要はありません。
ただ自分は目利き能力が劣るんだということをしっかり心の中に刻んでおけば私の様に偽物を掴まされる回数は減ると思います。
 
アンティーク店に通って店のオヤジに顔を覚えてもらい、常連客になると私が勘違いした物を買おうとすると注意してくれるようになります。
「これはXXX製造だよ、ちゃんと判って買うんだね?」と確認してくれるので偽物や間違った物は買わなくなりますが、本物を高い値段で買うのはアンティークをやっている者にはあまり面白くないのです。
 
品物の価値が判っていない田舎町のアンティーク店などで掘り出し物を安い値段で買うのが面白いのですが、それには目利き能力が必須です。
そうやって掘り出し物を安い値段で買っていつも行く店のオヤジに自慢しに持って行くのですが、アンティークをやり始めた当初は随分偽物を掴まされ、オヤジに笑われたものでした。
 
掲載した二つのグラスの目利きですが、アンティーク店のオヤジがこの違いが判らなかったらアンティークを止めた方がいいと本気で言われました。
私の場合は実際に二つの目の前でグラスを並べられたので自分の目で目利きしました。
その店のオヤジに随分高い授業料を払っただけあって私はその違いに1分ぐらいで気付きました。
 
そのオヤジが言う通り、この二つのグラスの違いが判らなければアンティークを止めた方がいいと私も思います。
Coca Colaのロゴの”L”のエッジがよりハッキリ見えるというような判り難いものではありません。
その違いはハッキリあるので、判った人は”これだ!”と確実に自分自身で判断できます。

 

私はグラスの中に何も入って状態ではアンティークに興味の無い人は多分判らないと思いましたので、実際のコーラを入れて気付き易くしました。

 
アンティークを店で買う時は自分の目だけが頼りです。
 
アンティークをやっている者は見るポイントやコツを知っていますので一瞬で判断できます。
私はアンティークに通い始めてから12年以上にもなり、店に来る常連客とも親しくなったのですが、彼らの目利き能力は素晴らしいものです。
この二つのグラスなんかほんの一瞬で判断します。
私の様に1分もかかるのはまだまだ素人である証拠です。
 
アンティークをやってみようと思う人は5分以内にその違いを見つけられなければ私の様に随分高い授業料を払うことになるかもしれません。
 
以下は1923年製のグラスです。
 
 
以下は1927年製のグラスです。