先日、11月1日を「としま文化の日」として新たに制定し、7日までの1週間を「としま文化推進期間」としてイベントなどを展開しています。
〈参考〉
・コロナ禍における区の文化を応援する取り組み全般
⇒区HP「としま文化応援プロジェクト」
・11/1-7「としま文化推進期間」リーフレット⇒コチラ
11/1には、「としま文化の日」の記念式典が、東京建物BrilliaHALLにて行われました。
としまSDGs都市宣言の報告、新たに制定した文化栄誉賞の授賞式など(大塚からは新粋連が受賞!団体では、ふくろ祭り協議会、トキワ荘通り協働プロジェクト、劇団ムジカフォンテなど)。
その後、元文化庁長官で豊島区芸術顧問の近藤誠一先生による基調講演。
講演内容についてはやや長文のため、このblogの最後に簡単に記載します。
「としま文化の日」記念式典の後は、大塚駅へ移動しました。
「-あおのふるまい- 池袋駅ストリートピアノ@JR大塚駅」記念ミニセレモニーへ参加するためです。
JR大塚駅に11/1-7までの期間限定で、ストリートピアノが設置されました。
ピアノは美術作家の植田志保さんのペイントが施されています。
セレモニーでは、ミニコンサートと共に、植田志保さんによるライブペイントも行われました。
ミニコンサートは「100万人のクラシックライブ」の方々が演奏。
大塚駅での演奏の様子もHPへ掲載されています。
→「100万人のクラシックライブ」HP
今後の大塚駅でのライブ予定も掲載されています。
セレモニーのあとは一般の方々が代わるがわるピアノの演奏をなさっていました。素敵な試みだと思います。
良い場所をご提供くださったJR東日本のご協力にも感謝いたします。
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さて、近藤誠一先生の基調講演の内容について、以下簡単に内容を記載します。
演題「文化を次世代に継承するために、わたしたちができること」
1.コロナが気づかせてくれたこと
(1)自然の偉大さ
・自然の生態系の摂理の重み。無機物→有機物→無機物の循環が出来るのは植物や微生物などであり、不可欠な役割。
(2)文明は自然を破壊したが制御できない
・結局感染防止対策は最も原始的なこと(物理的に距離を置く)でしかできない
(3)文明と自然のバランスを積極的に求める必要性
・自然には意思(目的、善悪判断など)がない。文明(人間)が自ら調整しなければバランスが取れない。
2.文明の制御
(1)文明西欧合理主義の特徴
・普遍主義、進歩主義、科学主義、人間主義、物質主義、経済成長
→人間の欲望を叶え、更なる物質を引き出す
→SDGs、ESGなどの動きがあるも、進歩に向けての競争(他人はみな競う、ライバルなど)ゆえに、理性による自己規制が困難。
⇒しかし、文化は違う。人に共感を持つ、人に優しくする、相手の立場に立つ。文化に出来ること、これらがないと長続きしない。
(2)文化の役割
・文化は感性(情動)、文明は理性(理屈)の動き
・文化は自然との親和性が高い。
→文化と文明のバランス維持により文明の行き過ぎを制御できる。例えば日本の文化、必ず土に還るもので作るなど。
3.文化をいかにして強化し、継承するか
(1)社会全体で文化の地位を高める(政府、自治体、企業、NGO、教育、研究機関など)
(2)次世代への継承、毎日そして一生
→日常生活に文化を浸透させる(お茶、祭り、年中行事(正月、ひなまつり、端午の節句、七夕、月見…)
→一つの芸事をたしなむ(茶道、華道、書、日本舞踊、俳句、短歌…)
(3)今日から各家庭で始める
・新しい生活様式、は政府ではなく自分で作るもの
文化とは日常の一事であり、共感力、優しさなど。
人間性とのバランスを取り、文明の制御にもつながるもの。
近藤先生のご講演の内容は、文明と自然とのバランスをとること、そのためには文化の力が必要だということだったと思います。
このご指摘は東洋と西洋の知の融合、というところにつながっていくのではないかと感じました。
東洋思想研究家の田口佳史先生に教えて頂いていることは、西欧の技術だけでなく、東洋思想の教養・精神との融合、バランスの事です。
文化を守る、ために披露する場を用意するイベントを打つのは必要なのだと思います。しかしそれだけでは足りず、鑑賞する側にも審美眼が必要なのでしょう。
また、"文化"とは何を指すのか、についてもご示唆を頂いたように思います。文化とは日常生活に根差せるものであり、非日常のものばかりではありません。
今後の文化政策の検討の際、改めて振り返りたいお考えをご披露頂いたと思います。
素晴らしいご講演をありがとうございました。