10/7~21の日程で決算特別委員会が行われました。

21日には各会派の意見開陳と採決があり、賛成多数で令和元年度決算は認定されました。

少し長文となりますが、決算の特徴と私の質疑の概要についてご報告いたします。

※審議の全ては録画配信をご覧ください。

http://www.kensakusystem.jp/toshima-vod/index.html

 

【会計決算の概要】

◆一般会計

・決算額は歳入が1462億9700万円(前年比+11.1%)、歳出が1424億5900万円(+10.8%)で、歳入歳出決算額ともに過去最大規模。

・区の資料による決算の特徴は3点。

①「100年に一度の大変革」の集中投資を経て、過去最大となった決算

②過去最大の集中投資を実施しつつも財政の健全性を維持した決算

③新型コロナウイルス感染症を踏まえた財源対策を講じた決算

 

◆特別会計

・国民健康保険事業会計は、歳入が300億5000万円、歳出が295億8800万円。

・後期高齢者医療事業会計は、歳入が65億1500万円、歳出が61億8200万円。

・介護保険事業会計は、歳入が207億9500万円、歳出が200億1800万円。

 

【決算特別委員会】

決算特別委員会の審議のメインは一般会計についてです。

特別会計は保険料収入と給付が多く、委員会では3特別会計合わせて半日弱の審議。

初日は一般会計の特徴などの説明を受け、各会派による総括質疑。その後は決算資料の読み上げ。

2日目以降は、担当部署ごとの事業の審議(款別審議)となります。

 

【総括質疑】

各会派1名ずつ、総括質疑を行います。私たちの会派では、代表して私が総括質疑を行いました。

総括質疑では、予算編成時に用いる目標やオルタナティブルール、標準財政規模など財政規律の基本的な考えを確認。現在のようなコロナ禍での予算編成では、平時とは異なる財政規律を持つことも視野に入れる必要があると指摘しました。

また、施設の改築、大規模改修への考えも確認。施設の改修は中長期的な計画に基づく必要があり、一時的な景気動向に左右され過ぎると、後の世代の負担が大きくなってしまう側面があることを申し上げました。

 

【款別質疑】

決算書は、款(部単位)-項(課単位)に分かれてまとめられています。

豊島区の場合、歳出は11の款に分かれています。

以下、私の質疑内容の概要と、私たちの会派の他の委員が取り上げた項目を記載します。

 

〈議会費・政策経営費・総務費〉

◆総合入札制度

・総合評価入札制度について、現状と今後の改善への考えを確認。地元企業優先などの配慮につき、これまでも求めており、令和2年第1回定例会で一部改善されましたが、まだ不十分なところがあります。

・防災協定を締結している団体に所属する企業が防災訓練などに協力した場合、防災活動評価点が加算されます。今年度はコロナ禍で地域の防災訓練が実施できなかったことを踏まえて、防災活動評価点の救済措置を行うよう要望。今後区内4カ所で行う防災訓練への参加で評価点1点を付けることが取り急ぎ確認できました。

・地域貢献点の更なる上限見直しを求めています(上限は現状8点。全ての地域貢献点を満たすと10点となり、8点で頭打ちとなっている)。今後検討。

・古くなっている防災協定の見直しを提案。数十年前の協定のままになっている団体も多くあり、更新すべきです。今後、随時見直しを行うとのこと。

・前払い金限度額の上限見直しを求めました。現状は4割までとなっていますが、上限額が2億円となっているため、大きな工事の場合は不足しがちです。これも検討。

 

◆地域安全対策事業

・環境浄化パトロールの状況など。特に、大塚駅北口の客引き行為等の現状を確認し、対策などを求めました。現在の工事終了後(令和3年3月までの予定)に常時警備員を置いてくださるという答弁を引き出しました。

 

その他、私たちの会派からは、職員の定員管理計画、外部委託、男女共同参画、街頭消火器設備、ペットの同行避難の案内、などの質疑を行いました。

 

〈区民費、福祉費、衛生費〉

◆ひきこもり対策

・ひきこもり対策の現状の相談体制、来年の法改正に対する準備、包括的な相談窓口の設置要望、ひきこもりの相談窓口をまとめたリーフレットの内容、など。

・世代で区切らない包括的な相談窓口の設置の要望を当事者団体の方などから頂いています。若年層の相談窓口は「アシスとしま」が総合的に受けますが、中高年の窓口がわかりづらい現状です。

・これまでの支援体制による仕事の洗い出しを行い、今後の体制作りをするとのこと。

・改正法には、「断らない相談支援体制」「伴走型の支援体制」の構築が求められています。この趣旨に則った体制作りを強く要望しました。

 

その他、私たちの会派からは、総合高齢社会対策、産後ケア事業、母親学級・パパママ準備学級、女性のしなやかな健康づくり、DV防止対策事業、区民活動推進補助金、食品衛生関連事業などの質疑を行いました。

 

〈環境清掃費、都市整備費〉

◆大塚駅周辺整備事業

・北口広場整備のこれまでの事業内容、進捗状況、地域からの要望などを確認。

・JR東日本との協議では、都電への乗換通路にあったロッカーを自由通路へ移動。タクシー協会との協議では、乗り場の上屋を協会が設置、で調整済み。都電の線路上に乗り換え用の屋根を設置して欲しいとの要望については、交通局から回答無し。

・商店街入口のモニュメントは光量が相対的に小さいため、光源を増やすなどの対応を要望

・ランニング費用を賄う手段としてネーミングライツの導入を検討していることは評価。これまで通り地域の意見をよく伺いながら、正式名称とネーミングライツの検討を行うよう要望。

・北口広場整備は今年度中に終了。駅周辺整備事業としては、東側(くすりの福太郎前の道)の道路整備や路上駐輪場などが残ります。これらの工事は令和4~5年度頃の予定との事。

 

◆造幣局跡地公園事業

・改めて4つの公園構想の狙いを確認すると共に、イケサンパークの今後の事業展開などの確認。

・イケサンパークの残りの事業は、外構工事や倉庫整備など。カフェの工事は11月一杯掛かりそうで、グランドオープンは12月中旬にずれこむ見込み。

・ファーマーズマーケットは、当初指定管理者の事業だったが、区も一緒に取り組むこととなりました。土日にテントを張ってブースを設け、野菜(埼玉県産)や加工品など販売。営業時間は10~16時。

・併設されたとしまキッズパークには、インクルーシブな要素を入れて頂いています。今後の公園整備においても、インクルーシブな考えを取り入れて頂くように要望。今後の公園整備でも入れていきたい旨、区長から答弁を頂いています。

 

その他、私たちの会派からは、HAREZA池袋、東池袋1丁目再開発プロジェクト、木密地域のまちづくり、公園トイレ、集団回収事業、などの質疑を行いました。

 

<子ども家庭費、文化商工費、教育費>

◆電子図書館

・第2回定例会でも取り上げた電子図書館の活用について確認をしました。一般質問の答弁で登録手続きの簡便化や普及啓発を行う旨があったので、その確認なども。広報としまなどでサービスの紹介をし、登録方法も区民限定で郵送等でも可能にしたところ、5か月で登録者数が1.5倍になったとのこと。それでも8月時点で1259人なので、更なる事業の周知をすべきと感じています。

・区立小中学校で実施した一人一台のタブレット端末を活用し、読書活動を推進する旨の提案もしました。教育委員会が推薦する図書との連動も。端末においては家庭ごとの格差がなくなったため、電子図書のアカウント配布を行うなどして、電子書籍を読める環境づくりの提案。図書館課と教育委員会で連携し、今後の検討をして頂きます。

・電子図書館は指定管理者の自主事業で行っている事業です。必要であれば区が直営で行うべきなので、その旨の検討も促しました(現状だと、例えば電子書籍の選定については区の権限がありません。活用の幅が広がれば、直営でないと支障がでるはずです。)。

 

◆中学生の宝塚歌劇の鑑賞事業

・昨年の東京建物Brillia hallのこけら落としで行われた宝塚歌劇団の公演については、1公演を借り切って区内の中学校2年生に鑑賞の機会を設ける事業を行いました。昨年の質疑で毎年行いたい、という答弁がありましたが、今年度は宝塚歌劇団の公演自体がストップしたために事業も中止となってしまいました。

・次年度以降の継続については、宝塚歌劇団が講演に戻ってきてくれれば実施したい、という意向を区長から答弁いただきました。

 

◆学校の長寿命化計画策定事業

・令和2年度中に計画を策定する予定で準備が進んでいます。昨年度は建物の老朽度合いについて、築年数だけでなく実際のコンクリートの劣化度などを調査分析しています。

・コロナ禍で財政が厳しくなる見通しですが、学校改築は一巡するのに少なくとも数十年は掛かる事業であり、一時的な財政の状況で先送りしすぎると後の世代の負担が重くなります。なお、小中学校の校舎の老朽化は待ったなしの状況で、今後10年間で30校中17校が築60年以上となります…。

・中学校に関しては8校中6校が改築又は改築の目処が立っています。残りの2校は西巣鴨中と駒込中、いずれも東側の学校です。東側は仮校舎の適地が現状無い状況ですが、区長部局と連携しながら検討して頂く旨、答弁を頂いています。

・関連して、西巣鴨小学校の西巣ランドの更新についても要望しました。西巣ランドは遊具の老朽化や安全性の問題で現状は閉鎖されています。校庭のかなりのスペースが使用できない状況を早期に改善するよう求めると共に、設備更新時にインクルーシブな遊具導入の検討も依頼しました。同校には特別支援級があること、すぐ近くに区立西巣鴨幼稚園があることなど、立地としては申し分ないと考えます。今後検討して頂きます。

 

◆いじめ防止対策推進事業

・昨年まで実施していた心理検査「ハイパーQU」から、別会社の心理検査へ今年度から変更。いじめ防止の対策の一環として行ってきた心理検査だったので、改めてその目的、これまでの取組みの評価と課題、新たな検査へ移行後の効果や活用などを確認しました。

・昨年10月に改正した、いじめ防止対策推進条例に基づいた区内私立・都立校との情報共有の状況なども確認。

・いじめが起きてからの対応も大事ですが、より大事なのが未然防止や早期発見です。そのためには、こころの教育などが必要。心理検査も未然防止のツールとしての活用が期待されるものです。教育長からは、学校に任せきりではなく情報共有を行い、未然防止に努める旨の答弁がありました。

 

◆区立保育園の役割

・現在19園ある区立園のうち、3園は民営化が決まっており、その検討経費が計上されています。

・地区バランスなどを考慮して、区立園の体制は組まれています。地域支援事業、マイほいくえん事業、などは区立園が地域ごとの保育の拠点としての役割が求められている事業です。

・新型コロナの影響で緊急事態宣言が発せられたあと、区内の園は基本的に休園となりました(4/10~5月末)。その間、医療従事者やどうしても預かる必要がある子供の受け入れ先として、区立園と一部の私立園が応急保育を行いました。

課長の答弁では、保育行政を担わねばならないという責任感から、区立園は自分たちが受入れを行う、と現場が体制を整えてくれたとのことです。

・非常時には上記のような公務員の矜持、ともいえるような対応が行政には求められます。

このような観点からも区立園はある程度地域ごとに配置しておく必要が今後もあるのではないかと考えます。

区へは、改めて区立園の役割などを整理して頂くよう要望し、今後検討してまとめる、ということになりました。

 

その他、私たちの会派からは、南長崎マンガランド、としま文化の日など文化事業、青少年育成委員会、などの質疑を行いました。

 

<歳入>

◆豊島区狭小住戸集合住宅税

・同税には住宅ストックを改善し、ファミリー層の居住を誘導する目的があります。

同税の存続を行うかどうか、5年に一度検討会が行われています。直近では平成30年度に検討が行われ、31年1月に答申が出ています(現行の税率のまま存続)。

税が導入されたのは平成16年。最近の税収は大体3億~4億円程度ある。一定規模のワンルームマンションに対して、新築時に50万円/戸の税を課しており、抑止を目的とするならば税収が安定的にあるという状況は微妙。

・同税のみでの抑止効果は数字から見ても限定的です。

駅から少し距離がある閑静な住宅地にワンルームマンションが建築されるという実例がいくつも起きている現状においては、もう少し踏み込んで考えるべきであると私は考えています。

・質疑では、住宅ストックを適正化すべく、用途地域の変更やファミリー向け住宅の附置を義務付ける条例の検討、地区計画の活用などを例示し、基礎自治体である豊島区においては地域の実態に合わせたきめ細かな計画を考えるべきと促しました。

副区長からは、今後検討していく旨の答弁がありました。

 

<3特別会計>

◆保険料の減免

・特別会計では、新型コロナウイルスの影響を受けた方への保険料の減免などについて確認。減免件数は、国保が2443件(9/15現在)、高齢者医療が33件(10月末現在)、介護が135件(9月末現在)。

・減免の相談者は他にも困りごとを抱えている方の可能性があります。相談者には他の支援策も併せてご案内し、出来る限りの対応をするよう要望しました。

 

以上が審議の概要です。詳細は議会の録画中継をご覧ください。

 

http://www.kensakusystem.jp/toshima-vod/index.html

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冒頭書いた通り、委員会では賛成多数で決算は認定されました。