東京2020大会のマラソン・競歩会場が札幌へ変更に「合意なき決定」がなされた事、到底納得出来ておりません。

しかしながら、決まった以上はマラソン・競歩の成功を望みます。

札幌市では同時期にビアガーデンなど毎年恒例のイベントが重なっており、市民感情も賛否両論だと思います。新たな会場となる札幌市にとっては準備期間が大変限られますが、何とか整えて頂きたいです。


IOCの唐突な変更に対して開催地東京の立場を堂々と述べた小池百合子東京都知事、都民ファーストの会東京都議団は立派でした。


今回の確認された事項は4点。

1)会場変更の権限はIOCにあること

2)マラソン・競歩の会場が札幌に変更された際に発生する新たな経費は、東京都に負担させないこと

3)既に東京都・組織委員会が支出したマラソン・競歩に関連する経費については、精査・検証の上、東京都において別の目的に活用できないものは、東京都に負担させないこと

4)マラソン・競歩以外の競技について、今後、会場を変更しないこと


これを受け、都民ファーストの会東京都議団は談話を発表しています。


https://www.facebook.com/298838610565117/posts/775802746202032?sfns=mo


瀬古利彦強化本部長などの陸連関係者、谷口浩美さんや増田明美さんなどの競技経験者、国内外の代表内定者などからの異論が出ている事にも触れておきます。暑さ対策含めて東京のコースを想定した訓練を重ねてきた関係者がいます。満員の新国立競技場にゴールする事を夢見ていた選手たちがいます。

アスリートファーストとは何か、問い直されるべきです。


◆11/1時事通信「陸連強化担当は憤り=瀬古リーダー「残念で不本意」」


https://www.google.co.jp/amp/s/www.jiji.com/amp/article%3fk=2019110101072&g=spo


◆10/31デイリースポーツ「谷口浩美氏 マラソン移転案に「環境と場所にどう合わせるかも勝負」」


https://www.daily.co.jp/general/2019/10/31/0012836526.shtml


◆10/31クローズアップ現代「東京五輪マラソン・競歩 札幌開催の波紋」増田明美さんの選手への取材報告など


https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4348/


◆クーン・ナールト選手(ベルギー。2018年ヨーロッパ選手権男子マラソン金メダリスト)


https://www.facebook.com/298838610565117/posts/776712462777727?sfns=mo


◆エヴァン・ダンフィー選手(カナダ。世界陸上ドーハ大会銅メダリスト)


https://www.facebook.com/298838610565117/posts/777296479385992?sfns=mo


東京では医師会との連携も深めてきました。暑さだけではなく、テロ対策も想定した準備だったとの事。札幌市ではこの点も早急に整備が必要です。


10/28「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるマラソン・競歩大会の実施に関する東京都医師会の意見について」

東京開催の場合での更なる対策を求めつつ、以下の見解

・東京の名所を回るという東京オリンピックならではのコースのもつ魅力、熱中症以外にも救急・災害・テロ対策等も極めて重要

・救急関係者、消防庁、警視庁と数年間にわたり協議をしながら準備を進めてきた実績

・準備態勢が整うのであれば、札幌開催に反対するものではないが、総合的な対策が間に合わないのであれば東京での開催に全力を尽くすべき


https://www.tokyo.med.or.jp/15527


開催都市と十分な議論を尽くさないIOCの意思決定方法には大変な問題がありました。今に至っても会場変更の経緯や理由に対する十分な説明がなされていません。

マラソンコースの沿道自治体や住民は様々な準備をしてきたし、数少ないチケット不要で観戦できる競技ということで楽しみにしていた都民の方々の思いもあります。


開催時期の問題も浮き彫りになっています。

78月の時期に北半球開催であれば、毎度同じリスクがあり得るため、夏期のオリンピックのあり方自体が岐路に立っていると言ってよいでしょう。


合意事項の⑵⑶の費用負担の面も不透明。

都が負担しない事は決まっても、どこが負担するかは決まっていません。どの財源を示しているのか分からない「予備費」とは何か。組織委が負担と決まっても、組織委のお金が足りなくなったら都が補填する羽目になり、最終的にはマラソン・競歩の追加費用にまで都税が投入される可能性が否定しきれません。

東京2020大会後に予定コースだったところでのセレブレーションマラソンが提案されているとのこと。既に東京マラソンが開催されており、この大会にどのような意味があるのか慎重な検討が必要です。五輪の名を冠してこの大会を行う事により、無駄にならなかった経費であるとされる可能性も頭に入れておく必要があります。

札幌市でのオリンピックのマラソン開催日に合わせて東京でも市民マラソンを行なってはどうか、という意見を拝読した事があります。実現の可能性はそもそも低いですが、敢えてこの事は明確に否定しておきたいです。ドーハ大会の女子マラソンで棄権者が続出した一つの原因に、棄権した選手の暑さ対策に不備があった事が指摘されています。各国代表になるクラスの選手でさえも、十分な準備がなければ危険に晒される過酷な競技です。東京が暑さ対策をして万全を期してきたのは、準備をしてきたランナーが走る事が前提であり、市民ランナー主体のマラソン大会とは同列には語れません(沿道の観戦者もいますが、ランナーとはリスクが当然違います)。


今後、都としては決定プロセスの検証などを行う必要があると考えます。


コースの選定などの準備や調整、スタッフの手配、選手の調整、選手や観客の健康面の安全対策、テロ対策、選手やスタッフの宿泊場所や移動手段、開催費用負担の問題など、課題は山積しています。

納得出来ておりませんが、会場変更は「合意なき決定」がなされました。

IOC及び組織委は責任を持ってこれらの対応にあたって頂きたいです。