10/2、子ども文教委員会が行われました。

〈議案〉
1 第63号議案 豊島区立トキワ荘マンガミュージアム条例
2 第64号議案 豊島区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
3 第65号議案 豊島区いじめ防止対策推進条例の一部を改正する条例
4 第68号議案 豊島区立体育施設の指定管理者の指定について
5 議員提出議案 第13号 豊島区学校給食費補助金条例

〈報告事項〉
1 私立幼稚園における給食費の補助について
2 保育所等利用多子世帯負担軽減事業について
3 区立保育園における「マイほいくえん」事業について
4 私立認可保育所の設置について
5 区立保育園の民営化について
6 豊島区社会福祉事業団の保育事業に係る会計処理について
7 豊島区教育ビジョン2019について
8 校務パソコンの入れ替えに伴う学校情報セキュリティー対策について
9 区立小学校入学相談会・中学校学校説明会について
10 令和2年度使用教科用図書について
11 豊成小学校スキップ棟の完成について

【議案1 第63号議案 豊島区立トキワ荘マンガミュージアム条例】
トキワ荘の復元施設である「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」の設置や管理などについて定める新規の条例案です。
ミュージアムのオープンは、令和2年3月22日を予定しています。

◆条例の目的
・ミュージアムの設置及び管理について必要な事項を定める
・豊島区ゆかりのトキワ荘文化及びマンガ・アニメ文化の次世代への継承
・区内外への情報発信により、地域文化の発展及び観光振興へ寄与

◆ミュージアムの詳細
住所:豊島区南長崎三丁目9番22号


建物:鉄骨造 2 階建(再現施設)+鉄筋コンクリート造(附属施設)
建築面積:302.11 m²
延床面積:560.87 m²  
開館時間:午前10時から午後6時
休館日:月曜日(祝日と重なる場合はその翌日)、年末年始、展示替え等による臨時休館日


◆観覧料
・通常展示は無料。入館目標数は年間6万人。
・特別に企画・展示するものを観覧する場合は有料。
大人1000円、小学生及び中学生500円(乳幼児は無料)を限度に設定。
⇒有料の価格設定は近隣区(杉並区、練馬区など)の類似施設の特別企画展示を参考に設定した。

◆運営など
・運営は、としま未来文化財団へ委託予定。
学芸員4名(財団正規職員)、事務員2〜3名、その他受付スタッフ等。

◆設置費用、運営費、寄附金等
・建築費用、土地取得費用、設備機器類等を含めて9.9億円。
南長崎花咲公園の公園トイレ改修費用は別に約4000万円。
・ランニングコストは、年間約1億円を見込む。
・寄附金は、852件 3.38億円。「さとふる」を活用した寄附金は、125件 約892万(委託料12%)。
その他、区内業者から防犯カメラの現物寄附(約600万円相当)を頂いている。
関連する特定財源として、29年度に都から測量などに充当した約1150万円があった。

◆近隣施設などとの連携
・「トキワ荘お休み処」からは図書をミュージアムへ移動。休憩スペースやグッズ販売などはお休み処へ集約。
・東長崎駅南口に、施設オープンの3月に合わせてデジタルサイネージ、地図などの看板を設置。
・トキワ荘ゆかりの地マップを作成し、地域の回遊ができるように誘導。
・3駅(東長崎駅、椎名町駅、落合南長崎駅)からどのようにミュージアムへ誘導するかという検討を行なっている。

路上ステッカーや案内看板など。

◆ふるさと教育での活用
〈教育委員会〉
・トキワ荘に関する学習は、近隣の富士見台小や椎名町小では既に行なっている。
区全体のふるさと学習で取り上げていく。
・現地での体験も必要。ミュージアムの活用を検討。

〈文化商工部〉
・集客施設や観光の観点だけでなく、豊島区ゆかりの文化発信という側面がある。ややもするとマンガやアニメは低く評価されることがあった。教育委員会と連携していきたい。

今回は設置条例であり、条例には賛成しました。
歳入面、教育での活用の観点は他の委員から質問がなかったため、私から確認をいたしました。
条例の目的に「トキワ荘文化及びマンガ・アニメ文化の次世代への継承」が謳われており、ふるさと教育で取り上げる必要があります。

現在のように大きくなった日本のマンガ・アニメの黎明期に、手塚治虫をはじめとして藤子不二雄F・A、石ノ森章太郎、赤塚不二夫など綺羅星のような方々が創作活動を行っていた場所が本区にあったということは、本区が誇る歴史の一つであると私は考えます。
近隣商店街との連携深化、企画展示の工夫、その他の施設との連動、など運営上の工夫余地はあるなと感じております。
今後会派としても色々と提案させて頂く所存です。

議案に関しては全会派一致で可決しました。

【議案2 第64号議案 豊島区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例】
児童福祉法及び厚労省省令の一部改正に伴う条例の改正。
区内の家庭的保育事業等の事業所…3園(但し、このうち1園は今年度で事業を終了するため、次年度からは2園)

〈代替保育の連携施設〉
・代替保育の連携施設につき、法の本則では認可保育所としなければならないとなっていますが、現状は猶予期間として緩和されています。この猶予期間の5年間延長が行われます。
なお、本区の3園は全て本則通りに代替保育の連携施設は認可保育所となっています。
・今後新設園ができた際にも、区としては連携施設を認可保育所にするよう求める。

〈自園調理の義務緩和〉
本則は自園調理ですが、現状は自園調理できない場合に外部搬入を認めています。この猶予期間を5年間延長するものです。
本区では自園調理ではない園は2園で、いずれも区内認可保育所から調達しています(うち1園は今年度で終了)。
なお、この場合は外部搬入に当たらないという解釈のため、今回の条例改正の実質的な影響はありません。
概要は上記の通りです。
議案に関しては全会派一致で可決しました。

【議案3 第65号議案 豊島区いじめ防止対策推進条例の一部を改正する条例】
深刻化、複雑化するいじめへの対応をするため、条例を一部改正。
改正内容は大きく2点
1.重大事態が起きた場合の対処方法の充実
2.条例の適用範囲の拡大

◆1.重大事態が起きた場合の対処方法の充実
いじめに関する調査を行う機関の新設

〈豊島区教育委員会いじめ調査委員会〉
・区教育委員会の附属機関
・重大事態発生時に立ち上げ
・学識経験者、弁護士、心理士、福祉の専門知識を有する者等で構成し、第三者組織として重大事態の調査を行う。

〈豊島区いじめ特別調査委員会〉
・区の附属機関
・重大事態発生時に立ち上げ(区長が必要と判断した場合)
・学識経験者、弁護士、心理士、福祉の専門 知識を有する者等(上記の区教委調査委員を除く)で構成し、第三者組織として重大事態の再調査を行う。

【現行】
〈いじめ問題対策委員会(豊島区教育委員会)〉
・区教育委員会の附属機関
・定期的に行われている委員会
・学識経験者、小・中学校長代表、保護者代表、区民、子どもの権利擁護委員で構成し、 教育委員会のいじめ対策への助言等を行う。

〈いじめ問題緊急対策本部(豊島区教育委員会)〉
・重大事態発生時に立ち上げ
・教育委員会事務局(教育長、教育部長、各課長)、その他関係機関で構成し、豊島区教育委員会と学校が一体的に重大事態に対応する。

※上記の「重大事態」とは(いじめ防止対策推進法第28条1項)
・いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
・いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき(いじめによる欠席が30日以上連続している場合など)
・上記2点は法の通り。文科省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」によると、重大事態として扱った例として、自殺企図、心身に重大な被害を負った場合、金品等に重大な被害を被った場合、いじめにより転学を余儀なくされた場合などの例示。例えば、30日の欠席日数は目安であり、それに満たなくても重大事態になったケースあり。総合的に判断して重大事態と捉えるケースがある。

◆2.条例の適用範囲の拡大
・対象とする学校の範囲を「学校教育法第1条に規定する学校」に拡大(私立学校、都立学校も含める)

〈主な質疑など〉
・いじめの未然防止の対策は。
⇒学校で基本方針を策定させている。教員への研修。子供たちへのアンケート調査も実施。加えて子供への心理調査もこれまで行なっている(学級状態について客観的に見ることも可能)。
教員の指導内容については、道徳や特別活動などで指導。
・重大事態があった場合など、保護者や地域への情報共有は。
⇒情報の周知に努める

〈私からの質疑〉(意訳してます)
・(他の委員から、いじめに対して刑法に照らした教育(殴ったら暴行罪など)が必要ではないか、という意見あり)
論語に「之を導くのに政を以てし、之を斉うるに刑を以てすれば、民免れて恥無し」とある。
ルールの厳格化だけでなく、他人の嫌がることをしない、という根本的な価値観を養うべき。
ルールの周知は大事だが、心の成長を促すのが教育には必要ではないか。
⇒道徳教育など心を成長させる教育を基本に置く。人権教育プログラムにも謳われている。法教育も含めて両輪が必要。

・条例の適用範囲を拡大。具体的に拡大される学校はどこか。
⇒区内に設置されている私立学校に加え、区民が通う学校は全て条例対象。

・適用範囲を広げるのはよいが、実効性は担保できるのか。例えば条例13条のいじめ防止等の組織の設置が謳われているが、区外では確認しようがないのでは。
⇒区内の学校には情報の伝達を行なっている。区外は都教育委員会を通じた条例改正の情報周知は行なっている。

・実効性の担保が大事では。区内の学校とは連携を深めてほしい。区外は条例の趣旨等を都教育委員会と共有して、発信に努めてほしい。

・条例と共に「豊島区いじめ防止対策推進基本方針」も公表されている。
条例改正と併せて、改正趣旨を踏まえて基本方針も改正するのか。
⇒基本方針の改正も行う。こどもスキップが教育委員会へ移管されたことを踏まえること、保護者との連携やスクールソーシャルワーカーの活用、など。

重大事態が発生してしまった場合への対応を充実させる改正案です。
この点のみではなく、重大事態に至るまでに、どのように食い止めるかという観点も同時に必要です。
いじめが深刻化することを食い止めるため、豊島区教育委員会では「豊島区いじめ防止対策推進基本方針」を持っています。これは未然防止、早期発見、早期対応、重大事態への対処、と段階ごとの対応を示すなどしているものです。条例改正に伴い、この基本方針の改定も併せて行い、現場への徹底を行うとのこと。
家庭、地域と連携しながら問題の未然解決に努めて頂きたいです。

議案は全会派一致で可決となりました。

【議案4 第68号議案 豊島区立体育施設の指定管理者の指定について】
池袋スポーツセンターの指定管理の期間が満了するため、新たに指定管理者の選定を行ったもの。
結果的に現在の指定管理者が再度選定されました(今回の指定期間は、令和2〜6年度の5年間)。

◆対象施設
・豊島区立池袋スポーツセンター(豊島区上池袋二丁目5番1号)


◆指定管理者
株式会社ピーウォッシュ・アズビル株式会社共同事業体(H17〜21年度、22〜26年度、27〜令和元年度も指定管理者)
※アズビル株式会社は、株式会社山武から会社名変更

議案は全会派一致で可決となりました。

【報告1 私立幼稚園における給食費の補助について】
子ども子育て支援新制度へ移行した私立幼稚園に通園している一定条件の対象に当てはまる子供は、副食費を免除して公費負担することとなっています(国は主食費の免除をしないため、区が独自に免除)。

これにつき、本区では独自加算で新制度へ移行していない幼稚園に通う一定条件の対象に当てはまる子供に対しても補助を行い、バランスを取ることにしました。

 

上記の一定条件

・年収360万円未満世帯又は第3子以降の世帯の子供


なお、保育園に関しては10月からの幼児教育・保育の無償化(3~5歳児)に際して、既に区が主食費・副食費を補助しています(国基準では、主食費・副食費は無償化の対象外)。


【報告2 保育所等利用多子世帯負担軽減事業について】
幼児教育・保育の無償化に伴い、国の多子軽減を拡大した負担軽減事業を東京都が打ち出し、本区でも導入します。

 

◆制度の内容

・拡大する対象は年収360万円以上の世帯(年収360万円未満世帯は既に適用。要するに年収要件がなくなります)

・国の多子軽減は、第一子が小学生の場合、未就学の第二子は軽減の対象外、第三子は半額。

・都の新たな多子軽減は、第一子が小学生以上である場合、未就学の第二子は半額、第三子は無料となる。

第二子が小学生以上でも、未就学の第三子は無料。

(国の現行制度の年収360万円未満世帯と同様の扱いとする)

 

【報告3 区立保育園における「マイほいくえん」事業について】
表記事業を10月から実施

 

対象者
・ご出産を控えている方とそのパートナー
・0歳~未就園児のお子さんを在宅で子育てしている方

近隣の公立保育園を登録し、食育・栄養相談、健康・保健相談、遊びの紹介等が受けられます。

詳細は区のHPをご覧ください。

⇒区HP「豊島区「マイほいくえん」事業について

【報告4 私立認可保育所の設置について】
1 (仮称)ベネッセ 雑司が谷保育園
(1)所在地
雑司が谷3-9(号未定)1・2階(東京メトロ副都心線 雑司が谷駅 徒歩3分)

(2)延べ床面積 
324.74㎡

(3)定員
50名(1~3歳児各10名、4歳児以上20名)
※0歳児の受入れなし。当該園の位置する場所の目の前に別の保育園あり。待機児童は1歳児に多く発生しやすいため、1歳児からの受入れを設置要件とした。

(4)運営事業者
株式会社ベネッセスタイルケア

(5)特別保育
延長保育1時間

(6)設置予定年月日
令和2年4月1日

【報告5 区立保育園の民営化について】
平成26年9月の政策経営会議で区立保育園3園の民営化の方針を決定

 

政策経営会議決定の民営化方針
・民営化の対象は、駒込第二保育園、池袋第三保育園、東池袋第一保育園の3園
・民営化方針決定後、実施まで6年以上の期間を確保(平成27年度以降の「入園のしおり」に民営化方針を明記)
・事業者選定は開園の3年前までに決定

 

更に、区立保育所と私立保育所の地域的な配置バランスを考慮、民営化対象園は交通利便性が良い所(採算性)、大規模改修等が実施済みであること、も勘案して決定。

 

駒込第二保育園(令和元年に事業者選定、令和4年から民営化)

池袋第三保育園(令和2年に事業者選定、令和5年から民営化)

東池袋第一保育園(令和3年に事業者選定、令和6年から民営化)

※但し、施設改修の必要がない場合は1年前倒しで民営化を実施する

現時点でこれ以上の区立保育園の民営化の予定はありません。

民営化園の保育士等の職員は、他の区立保育所の他、区民ひろばや子どもスキップ、保育課等、保育士職員の配置が求められる部署への移動など、経験を活かして頂く事になっています。

 

民営化の効果は以下の通り

・運営経費負担の削減(区立保育所の場合、国や都の補助金の対象外)

・特別保育の拡充が期待(保育時間延長、休日や病後児保育などのサービス)

・職員(保育士)の活用(上記した配置転換など)

 

一方で区立保育所を残す理由もあります。

・地域の保育施設の核となること(小規模保育所との連携、私立保育所とのネットワーク構築)

・地域ごとのグループ化を行い、区立保育所が中心となり合同での行事や研修等、地域ごとに具体的な取り組みを検討

・区立保育所が担う福祉救援センターの機能強化や応急保育の態勢など、防災面での連携強化も検討

 

平成26年度に民営化された西巣鴨第二保育園(現在の西巣鴨さくらそう保育園)では、民営化の話しが保護者などに対して十分に説明されていなかったため、多くのご意見を頂きました。

この時の反省を活かし、今回は園の関係者や保護者に対して十分な時間を掛けて情報周知をしています。

【報告6 豊島区社会福祉事業団の保育事業に係る会計処理について】
豊島区社会福祉事業団(以下、事業団)の保育事業での会計で不適切な処理があったという報告がありました。

 

事業団の保育運営(区からの委託)

・駒込第三保育園

・南大塚保育園

 

保育事業の事業活動費は大きく3つに分かれます。

①委託基本料(人件費、事業費)

②その他の委託料(産休・病休代替、アレルギー児への代替食材費等)

③補助金(キャリアアップ等)

このうち、①、②が区からの委託料となります。

①は余剰が出ても事後清算の必要はなく、②は実績額で清算をします。

 

このうち、①の会計処理について不適切なものがありました。

①は精算不要ですが、実績額との差額は「支払資金残高」として次期へ繰越します。

 

以下の国の基準がありますが、事業団の会計処理が3点の基準を逸脱していました。

(1)支払資金残高は当該年度の委託料の30%以下の保有とする

⇒両園で超過(H30駒込はH25から累計で1.76億円、当該年度委託料の92.2% 南大塚はH27から同1.09億円、同55.4%)

 

(2)支払資金残高を同一法人内へ貸付ける場合や他の公益事業の運営費など目的外へ運用する場合は、担当課と協議を要する。 

⇒区と協議なく事業団本部へ貸付金として運用

 

(3)支払資金残高の運用による同一法人内への資金の貸付けは、当該年度内に限って認める。

⇒貸付金が未精算(駒込は6年間累計で0.79億円、南大塚は4年間累計で0.73億円)

なお、上記のような運用をすることも、国の会計処理の規定により可能との事。但し、この場合には、事業団の理事会により法人経営上で目的外使用がやむを得ない処理であることの承認が必要。


今回の件が発覚したのは、最終的に事業団からの報告があったことによるもの。

区は事業団に対して厳重注意、会計処理の改善策を講じるよう文書で指示、区のホームページに事業名と指摘事項を公表(事業名公表はかなり重たい処分と確認)。

その他、全私立保育所への情報共有、再発防止に向けた内部体制の見直しなどが行われています。

 

事業団が行った会計処理は可能だったにも関わらず、必要な手続きを怠っていたということで理解しています。

事業団への厳しい指導、再発防止策も取られているということなので、今後の推移を注視したいです。


次回の委員会は、10/7(月)に行われます。