視察報告の最後です。

3日目の8/28は、石川県金沢市の視察。

 

◆山野之義金沢市長と面会

視察に先立ち、山野市長と面会させて頂きました。

山野市長は龍馬プロジェクト全国会首長会に所属しています。

龍馬プロジェクト全国会の同志である高岩勝人市議もご同席下さいました。

東アジア文化都市について、子育て支援政策についてなど、意見交換。

 

 

◆金沢市視察

・こども未来部の創設の意図と期待する効果

・児童相談所の運営における課題と現状

・東アジア文化都市事業を終えて、課題とその後の取り組みについて

の3点について、担当からのヒアリングを致しました。

 

<こども未来部>

こども未来部は、子育て支援を前面に打ち出した市長肝いりの施策。

子供関連の施策を扱う部門を一元化して再編し、担当の部長を置いた。

幼稚園の管轄もこども未来部へ移した。これについては幼稚園からの異論も出たが、部長や教育長で何度も説明を加えたとの事。

地域や学校に出向いて相談援助を行う「子どもソーシャルワーカー」の配置など、貧困状態の子供や家庭を支援する取組の充実など。

 

<児童相談所>

平成18年度から中核市で児童相談所を初めて設置。

石川県とは密にやり取りし、金沢市で児相設置後は県で対応していた金沢市のケースは移管。

住宅地に立地しているが周囲の理解があり運営されている。

少子化対策と児童福祉施策について市で出来ることは可能な限り取組んできて、最終的に行ったのが児童相談所の設置。基礎自治体が権限を持つ事により市民福祉の向上につながると考えた。

専門職ではない職員も児相には配置されており、研修や実務で役割を担うことは可能だが、専門職の役割は大きく専門職も必要。金沢市では専門職の採用を継続的に行っている。

専門職採用をした職員もジョブローテーションを行い、児相以外の部署(福祉関係の別部局など)に配置換えをすることで、視野を広げると共に燃え尽き症候群にならないよう配慮。

児相設置準備段階で、県へ職員を派遣して実地研修実施。開設後2年間は県からベテラン児童福祉司を派遣してもらった。

 

<東アジア文化都市>

・東アジア文化都市は人員が限られている中で対応した。

担当部署に所属していたのは3名のみで、その他は他部署との兼務だった。

・金沢市では特徴的な取組として「KOGEI」(工芸)を謳った。

・金沢市と共に東アジア文化都市に取組んだのは、中国はハルビン市、韓国は釜山広域市。

ハルビンが1000万人、釜山が300万人、金沢市は40万人と人口規模が全く違った。

・今後の課題

①一過性のイベントにしないことを文化庁からは求められているが、交流予算の確保をどうするかは課題。都市の規模がかなり異なり、掛けられる予算規模が違うことも課題となる。

②姉妹都市、友好都市事業とのすみわけが難しい。これらの交流も文化交流も含めて行っているため。

③事業の終期をどうするかも隠れた課題。今のところは1回目の開催地である横浜市を含めて全ての開催都市が文化交流を継続。

④国際情勢の影響を受けること。今年度に関しては韓国との交流に影響はなかった。

・新幹線効果により観光客が激増。増えすぎているという課題あり。

・ヨーロッパ系の観光客が以前より増えている。

ヨーロッパ系の人たちはWEBサイトの文字情報を読み込むという傾向。アジア系の人たちは写真を中心に見て文字情報はそんなに読み込まないという傾向あり。その傾向に合わせて、それぞれの言語に対応したWEBサイトの構成にするなど工夫。

・サインや地図などにつき、全てを外国語対応するのは難しい。スマホ利用を前提に情報提供を工夫。

 

◆東茶屋街視察

午後は東茶屋街の視察。

金沢東山・ひがしの町並みと文化を守る会の中村驍会長にお話しを頂きました。

東茶屋街の地区にある「東山ひがし地区まちづくり協定」が出来るまでの経緯や、協定が出来たあとの課題の克服、これからの課題など。

 

町並みや地域の歴史を守るために地元の方々が動き始めたのは昭和50年代。歴史ある金沢市の街並みを守る活動が始まった時期にしては遅く感じたのですが、この頃になるまで開発の手が東茶屋街周辺まで及んでいなかったためとのこと。

まちづくり協定が締結されたのは平成15年のことです。

その後、26年、28年、30年にそれぞれ一部変更。一部変更時には総会に掛け、90%以上の権利者で合意をして決定しているとのこと。一部変更したきっかけは、新幹線開業前、開業後、民泊への対応など。見直しは時代に合わせて行っていかないと町を守れない、とのこと。

 

・地区内に大きなマンションが建ちそうになったこともある。事業者は建築確認まで取ったが、その際は景観論争をすると共に、オーナーへ嘆願書を届けるなど運動を行った。その結果、事業者が市へ土地を売却することで折り合えた。この後に12mの高さ制限をこの地区に加えることとなった。

・別のケースでも、町に合わない物件という事で協議会が申請書を通さなかった結果、事業を強行されそうになったこともあった。この際はデモ活動を行い、マスコミにも取り上げられた。結果的に事業者が断念。このような積み重ねがあり、協議会と戦ってまで事業を強行しようというケースはなくなった。

 

・人づくりが大事である。横のつながりは毎月の定例会やコミュニケーションを密に取ること。後継を育てることは課題。

・まちづくり協定を策定することが大事。これは行政が押し付けで作るのではなく、自発的に策定することが肝要。

 

中村会長の熱のこもったご講義を伺うことができました。

何よりも人づくりが大事だということを強調なさっておられました。協定などによるルール作りをする際にも、当事者意識をもって関わる人たちが策定することが大切であるとの事。

本区では金沢市のような歴史ある街並みは殆どありませんが、まちづくりのプレーヤーを育てる根本のことには共通点があると思います。

今後の参考にさせて頂きたいです。

 

参考

・金沢東山界隈まっぷ(金澤東山まちづくり協議会発行)

http://kanazawa-higashiyama.com/contz/pages/map.html

 

3日間の会派視察の概要は以上です。