本区でも導入の検討を進めているコミュニティスクールにつき、既に市内全校で導入済みの登別市の視察を実施しました。

登別市 コミュニティスクールで「つなげる」「進める」

成田昭浩議長のご挨拶
・人口48000人。観光が中心、130万人の宿泊客。


小野島指導主幹、舘下総括主幹のご説明
・コミュニティスクールの通信を子供だけでなく市民も見られるように図書館などに設置。

⑴事業の概要
小学校8校、中学校5校。全校コミュニティスクール。子供の数は3200人超。
・コミュニティスクールはあくまでもツールの一つ。人的・物的資源を活用。学校を地域の核にするというもの。持続可能な地域創生のあり方。
子供たちには地域を愛するようになって欲しいという願い。
・地域から学ぶ、地域をつなぐ、地域とともに考える。地域とともに学校がある。
学校に経営にも地域に関わってもらう。
それぞれの学校で設置する理由を明らかにする。
・平成14年に学校評議員の制度導入。
学校支援地域本部事業と2つの元々あった組織を束ねるやり方をした。

地域での組織も同様。地域の実情に合わせて行うのが重要。
コミュニティスクールとは何か、という事を地域の方々にご理解頂くため、地域説明会を行った。

⑵導入の経過
・平成14年、学校が週5日制となった。地域との関わりを深めていく必要。
・平成23年に、地域と学校との連携を促進するため、地域と学校の橋渡しをする地域コーディネーターを各中学校に設置。
・平成26年度にコミュニティスクールをスタート。
・これまでの取組みを生かす。
学校現場の多忙化。教員だけで全てをやるのは無理。
例えば登下校の見守り、学校花壇などの維持整備など。
→地域の方にお手伝い頂き連携が進んでいる。
地域側から学校側への要望の意見をもらうこともある。
・地域の方にも学校運営に出来るだけ関わってもらうようにしている。
地域教育協議会は地域側が主体で学校運営協議会を支援、学校運営協議会は学校側が主体。
・地域教育協議会は協議の場だが、これからは協働に移るよう文部科学省は構想を持っている。

登別市としては既に協働の段階にあると思うが、地区ごとの事情あり。今後進めていく。

⑶導入の効果
・学校運営協議会は最低年に3回は実施。授業参観も設定。
・地域コーディネーターが地域人材のつなぎ役。ゲストティーチャー、補充学習の先生など。
・子供たちの親の経済力の違いによる学力の格差の問題。学校運営協議会で問題提起。
放課後学習をスタートし、退職校長や教員などを含め講師に。関わる人が増えた。
長期休みの際にも実施をしている。
・学校が何をやっているか、などの情報共有や発信活動を意識して実施するように。
・学校行事支援、学校運営支援、課外活動支援、の3つの支援が学校としてはありがたい。
学校の応援団。
・地域コーディネーターの方々。人と場所と時間をつなぐ方々。
人材の確保が課題。コーディネーター自体のサポート役も必要で、人材の育成と継承をする。
・子供にとっての効果。地域の先生(特に授業で)、放課後・長期休業サポート学習の先生など
・地域にとっての効果。地域の伝統文化・芸能の継承、町内会行事への参加、合同防災訓練への参加など。
・学校のサポート。関係性、熟議・合議のプロセス。課題の解決に繋がりやすく。
学校の内情を理解していただける。応援団としての意識。

⑷課題・今後の取組み
・効果の実感・共有をすること
・広がり、浸透、参画、創造。ゴールイメージの共有が必要。
・意識、温度差の解消。教員や地域の方の参加意識。
・形骸化させないために。通信などの意識的・継続的発信。
良いと思うことはやる、マイナーチェンジ、迷ったら原点に帰る。
・協議会の人選など
・教育委員会の役割。ビジョンの明示など。
・学校改善を軸にした地域創生。社会総がかりで子供を育てる。9年間で目指す子供像の共有。各立場で何が出来るか。

質疑
・市長部局との連携はやるが、教育委員会が主体。この事業においては特に調整していない。
・協議会の委員については、校長からに推薦。報酬もわずかだが生まれる。
評議員だと校長の意図の中だけ。
委員は地域から入ってもらうので、情報共有や課題の共有をしていくことで、気持ちもかなり入っていった。進めながらやっている。
コーディネーターが特に鍵になっている。
・全ての町会代表が委員に入るわけではない。情報の共有はするようにしている。
・議題として制限するような内容はあるのか?
→課題は出してもらった方がよい。

・熟議と討議の進め方?課題の設定やファシリテーターなど。研修などしたのか?
→それぞれの地域で対応。研修を特別にやるわけではない。

・学校のガバナンスに関してはどのような効果?
→透明性は担保。情報を公開することは積極的にやっている。地域からの意見を聞く機会も増えている。

・防災面での考え。救援センターになる場所。
→合同防災訓練は全校でやっているわけではない。
コミュニティスクールは手立てでしかない。

・厚労省は地域丸ごとケアを謳う。
地域コミュニティの中心となりうる手応えはあるか?
→学校、地域を核にして学校を応援してもらうえ。子供と向き合う時間を増やす事を主眼。
連合町内会という枠組みがあり、福祉部門や教育などを協働して行なっている。
コミュニティスクールが総括するのは無理だと思っている。
それぞれの分野で行なっている。

登別中学校での現地視察

・小林誠校長、山岸弘登教頭。生徒は77名、児童は減少傾向。
校区内に1中学校、1小学校、1幼稚園、1保育園。
・学習環境を整える、伝統芸能「熊舞」の継承などをしたい。
 



学習支援
・学習支援、放課後学習会を行なっている。
ただ勉強を教えるだけでなく、場や機会の提供。地域の方や学校職員など。
・キャリア形成。職業体験など。地域に先生がたくさんいる、という考え。
・外部講師も積極的に取り入れている。

文化伝承支援
・熊舞と鬼みこしの伝承。お湯への感謝と、繁栄を祈る。
特色ある教育活動の核。学校運営協議会の支援がないとできない。
地獄まつりや駅前公演など、3年生がメインに参加。

生活安全支援
・防犯、交通安全活動。地域での見守り。
・環境整備活動。清掃や草刈りなど。PTAや地域の方々。
その後、子供たちは一週間後にゴミ拾いをする活動。

今後の進展
・小中合同の運営協議会の実施を目指す。
小中連携・一貫教育の視点から。

質疑
・熟議など議題はどのように設定?
→学校から提案することが多い。携帯やスマホの使用状況など、どう思うか、どのような手立てがあるだろうか?など。

・小学校で何をやっているかなど、それぞれ見えないことがあった。中学校に対しても同じ。
地域の人にしてみれば、9年間トータルの方がしっくりくる。子供は子供だし。
今後、幼保の施設も運営協議会にお招きしている。情報共有を進める。
・幼保小中の連携については、協議会を設けている。

 

これまでの概要、経過、効果、課題などを確認しました。

登別市では学校の応援団として地域の方々に関わって頂く、という基本的な考え方の下、地域と学校が緊密に連携をしていることが分かりました。

今後は中学校区でまとまって一つのコミュニティスクールとなるよう検討をしていくとのこと。

先行している自治体が、中学校区でまとまった方がよいと感じていることには着目したいです。
 

本区での導入をする場合、既に取り組んでいるインターナショナルセーフスクールとの関係をどのように整理するかが課題となります。

私はコミュニティスクールが地域コミュニティを再編する上で核になり得ると期待をしております。

 

視察後、全く別の会合で文科省の関連部署の方とお会いする機会に恵まれ意見交換をしたところ、私の持論と文科省の方の意見にはかなり共通項がありました。

近年では文科省だけでなく、総務省や厚労省からも地域コミュニティの再編を視野に入れていると思われる構想が出てきています。

これらのことも参考にしながら提言をしていきたいです。