12/5(火)、豊島区議会は第4回定例会の最終日でした。

都民ファーストの会豊島区議団から「地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書」を提案し、賛成多数で可決されました。

※提案理由説明及び意見書の全文は、Blogの最後に記載しております。

 

この意見書は、東京都議会では全会一致で可決したものと同内容です。

小池百合子都知事以下の東京都、特別区長会なども、都市部狙い打ちの考えであると一丸となって反対の声を上げているところです。

また、東京都の他、大阪府、愛知県なども反対の声を上げています。


【参考リンク】

11/14小池知事、地方消費税の配分見直し反対 総務相に要請 東京都・大阪府・愛知県の共同要請(日経新聞)

国の不合理な措置に対する東京都の主張 H29.11東京都(PDF資料)

特別区長会要望活動 「地方消費税の清算基準の見直しに関する共同要請」(総務大臣あて)

 

私ども会派の主張も同様です。

地方自治体の必要財源は国が責任を持って確保するのが本来のあり方であり、地方税を地方自治体の財源調整に用いる動きには疑問があります。
地域間の財政力格差や税源偏在などを理由とした法人事業税、法人住民税の一部国税化などの地方分権改革に逆行する税制改正の影響額は、累計で何と2.2兆円に上ります。ふるさと納税制度も加えれば、更に大きな数字となります。
東京などの都市圏にも当然ながら地方としての行政需要があります。本来帰属すべき税収を失い続ければ、その需要に応えられなくなるばかりか、経済のけん引役を東京が果たせなくなります。
都市部狙い撃ちの不合理な見直しは看過できません。

 

以下、議案を説明する際の提案理由の説明です(登壇は、「都民ファーストの会豊島区議団」の里中郁男幹事長)。

 

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「地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書」提案理由説明

私は、ただいま議題とされております議員提出議案第14号、地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書について、提案者を代表し、御説明申し上げます。

地方分権の更なる推進と財政自主権の確立により、自らの権限と財源に基づく行財政運営を行うことは、地方が自主性・自立性を持って課題の解決を図る上で必要不可欠です。
しかしながら、国は地方自治体間に生じている税源の偏在を是正するためとして、地方財源である法人住民税の一部を国税化し、交付税の原資とするなど、地方税を地方自治体の財源調整に用いる動きを進めています。これは地方税の根本原則を歪めることにつながるものであり、本来であれば地方自治体の必要財源は、国が責任を持って確保すべきです。

平成20年度の税制改正において、地域間の財政力格差是正を名目に、暫定措置として、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税が創設されました。この措置について、地方分権改革に逆行するものであるとして、都は一貫して強く反対をしています。
26年度税制改正では、都市と地方の間に生じている税源偏在を理由に、地方税である法人住民税法人税割の一部が国税化され、その全額を地方交付税の原資とする見直しが国により強行されました。  これらの20年度からの累計影響額は、東京都全体で既に2.2兆円に上っています。本区においては、都からの財政調整交付金へ影響を及ぼす法人住民税法人税割の一部国税化により、年度途中から影響があった27年度は9億円、28・29年度はそれぞれ19億円、累計で47億円もの減収となっており、全く看過できるものではありません。

このような状況にある中、国では30年度税制改正に向けて、地方消費税の清算基準の見直しに関する議論が行われています。都市部のシェアが比較的高い指標である「従業者数」の比率を引き下げる一方、消費の実態を必ずしも反映していない「人口」の比率を大幅に引き上げるといった案も取り沙汰されています。これは大都市から税収を更に収奪することを意図した不合理なものです。
東京へ本来帰属すべき税収が失われ続ければ、地方都市の一つでもある東京の抱える教育や福祉、防災などの地域の課題への取組みが遅れると共に、我が国の経済のけん引役となるべき東京の活力が削がれることで日本全体の成長の足かせにもなりかねません。

以上の理由により、地方消費税の清算基準について、東京をはじめとする都市部を狙い打ちにするような、偏在是正を理由として地方分権に逆行する不合理な見直しが行われることのないよう、国会及び政府に対して求めるものです。

 以下、意見書文を朗読し、説明にかえさせていただきます。
 

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以下、意見書の全文です。

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地方消費税の清算基準の見直しに関する意見書

 

地方分権の更なる推進と財政自主権の確立により、自らの権限と財源に基づく行財政運営を行うことは、地方が自主性・自立性を持って課題の解決を図る上で必要不可欠である。しかしながら、国はこれまで、受益と負担という地方税の原則に反し、地方自治の本旨にもとる不合理な偏在是正措置により、都全体では2.2兆円もの都民の貴重な財源を収奪してきた。本区においては法人住民税の一部国税化により27年度から財政調整交付金へ47億円もの影響が出ており、看過できるものではない。

地方自治体は、教育や産業振興など様々な行政サービスを担っており、また、都においても本区においても、待機児童の解消や高齢者対策の推進、災害対策の推進など、直面する課題への対応に着実に取り組むとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた準備など、日本の成長につながる施策を積極的に展開することが求められている。

地方が、それぞれの地域の実情に応じ、これらの施策を着実に展開していくためには、地方の税財源を維持・拡充していくことが不可欠である。

現在、国では、都を始めとする大都市から税収を搾取(さくしゅ)することを意図し、地方の自主財源である地方消費税の清算基準について、消費に関する「統計」の比率を下げ、代替(だいたい)指標である「人口」の比率を高めるなどの見直しが検討されている。

そもそも、地方消費税の清算基準は、税の最終負担者である消費者が消費を行った地域と税収の最終的な帰属地を一致させるという趣旨にのっとり、その運用を図るべきものであり、地方間の税収格差という論点に基づき、見直しが議論されるべきものではない。

こうした本質を顧みず、国による見直しが強行されれば、地方財政への影響が強く懸念されることはもとより、地方消費税が、地域での消費活動の活性化が税収に反映されるという「地方税」としての意義を失い、地域活性化に向けて地方が積み重ねた努力が全く報われない仕組みとなることが危惧される。

よって、豊島区議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。

 

1.地方消費税の清算基準については、税収の偏在是正を目的とすることなく、最終消費地と税収の最終的な帰属地を一致させるという制度本来の趣旨を踏まえ、基準の精緻化(せいちか)を図ること。

2.消費の代替指標である「人口」の比率を殊更に引き上げることは、地方分権の流れに逆行するものであり、行わないこと。

3.消費の代替指標である「従業者数」は、勤務地等における消費活動を反映させる重要な指標であり、引き続き用いること。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

年月日

提出者 議長名

 

衆議院議長

参議院議長

内閣総理大臣

総務大臣

財務大臣

社会保障・税一体改革担当大臣

経済財政政策担当大臣

地方創生担当大臣

宛て