6/29の一般質問の抜粋を掲載します。

【子供の未来応援対策について】
<質問の狙いなど>
安倍内閣が閣議決定した「子供の貧困対策に関する大綱」などに触れつつ、貧困の連鎖を断ち切る必要があることを話しました。
結果平等ではなく機会平等が図られ、努力した者が報われる社会が志向されるべきだと私は考えております。
しかし、貧困の連鎖は、そもそも同じスタートラインに立てておらず、フェアな状態ではありません。
貧困の連鎖を断っていくためには、子供たちへの教育や貧困状況にある子供が社会的孤立へ陥らないように社会で受け止める必要があります。
教育委員会での「放課後チューター制度」や各地での無料学習支援は、教育格差を縮める有効な手段ですが、今のところ連携は道半ばですので連携を進めるように指摘をしました。

児童虐待の問題にも触れました。
厚労省のデータや様々な有識者の見解などを挙げ、児童虐待の問題を根本から解決するためには、親になる準備のための教育と、妊娠・出産・育児時の周囲の理解とサポートが大切だということを指摘しました。
そのうえで、次代の親を育成するための体験型の学習について、妊娠・出産・育児時の周囲の理解とサポートの取組みについて、などを質問しました。

消滅可能性都市との指摘を受けた本区にとって、子育てしやすいまちになることは至上命題であり、「女性にやさしいまちづくり」には父親が家事や育児に関われるような働き方の改善が必要であると指摘しました。
育児休業取得や長時間労働を止めるためには、本人の意識もさることながら職場の理解が必要不可欠です。
そのための象徴的なこととして、労働生産性を上げたうえで役所が率先垂範していくべく、「イクボス宣言」することを促しました。

そして、この質問の最後に、総合的な計画や条例の制定の検討を提案しました。

Q:放課後チューター事業を展開するにあたって、無料学習支援団体などの相互の情報共有や意見交換などは、どのように行っているのか。相互交流を行って、効果的に展開している放課後チューター事業の事例は。

A:各小中学校と関係する支援団体との間で各学校において相互に連絡・調整して実施。効果的な事例として、高松小では低学年は宿題支援、高学年は別の場所で学習支援など。ボランティア団体「たけのこクラブ」は学校と2か月に1回程度の連絡調整、週1回程度の個別学習支援。

⇒相互交流を行っている事例はあるが、不十分であると認識しています。
引き続き、より効果的な取組みへつながるように注視します。

Q:貧困家庭を社会から孤立させないための対策と今後の展開は。

A:民生・児童委員による子育てサロン、ゆりかご・としま事業等によるアウトリーチにより支援を必要とする人の把握。区役所4階「くらし、しごと相談支援センター」での生活困窮者の把握と相談受付。今後も専門職チームと地域の支援団体等との連携を強化していく。

Q:次代の親を育成するための体験型の学習についての現状と課題は。

A:H16.3中教審で「親になるための学習」の必要性について述べており、重大な課題と受け止め。小中学校の家庭科教育での体験プログラム、小学校生活科での活動プログラム、小中学校の総合的な学習での「2分の1成人式」「命の授業」、職場体験学習など。
こうした教科横断的で発達段階に応じた体験プログラムが、親になるための学習へつながっていくもの。
今後の課題は、学校教育の成果を社会教育プログラムへどのように転化するか、学びの連続性の確保、現に親の役割を担っている世代に対する子育てサポートプログラムをいかに展開するか、など。

Q:次代の親を育成するための学校教育以外の取り組みは。

A:これから親になる方を対象にした「パパママ準備教室」の拡充。沐浴体験、妊娠体験ジャケットを男性に装着してもらうプログラムなど。
若者が結婚前から自らの健康や結婚・妊娠・出産等のライフプランニングを行うことを支援する情報発信の場所としての「鬼子母神plus」をオープンし、相談や交流の場を設けている。

Q:妊娠・出産・育児時を支援する本区での取り組みと課題は。

A:パパ・ママ準備教室、母親学級、赤ちゃん訪問、乳幼児健診等に加え、「ゆりかご・としま事業」として妊娠届をされた方へ「ゆりかご面接」、出産された方へ「おめでとう面接」の実施。
情報提供を行うとともに、子育てに対する不安や困難を抱えている方々のニーズ把握と個別的支援につなげている。今後の課題として、複雑な事情を抱えた家庭への支援などをいかに行うかなど。

Q:ワーク・ライフ・バランス推進企業認定制度の狙いと成果、展望については。

A:仕事と育児が両立できる職場環境づくりなどに取り組む企業を区が認定。区の総合評価の評価点加点のインセンティブをつけることで、働き方の見直しに向けた企業の自主的な取り組みの促進を図るもの。
認定企業の業態は多様となっている。
職場だけでなく、家庭や地域の中で子育て世代を含む全ての方が暮らしやすいと思う社会を実現させるため、今後もワークライフバランスに取組む企業が多くなるよう努力する。

Q:男性の育児休業について基本的な考え方は。

A:男性の働き方を見直すことはワークライフバランスを一層推進し、子育てしやすい環境を整備する上で極めて重要。男性職員に対して育児休業制度の一層の周知を進める。
また、超過勤務の抑制に精力的に取組む。さらに、昇任しやすい環境も重要な要素なので、選考合格者は次年度昇任が原則だが、育児等の事情により困難な場合は本人の申し出により任用を猶予する制度も導入。
男性職員の育児休業取得を促し、育児を通じて地域社会に参画した経験、実践により醸成された価値観等を施策に反映しつつ、本区が標榜する子育てしやすい街の実現に向けて区が率先して取り組む。

Q:社会の常識を変える強い意志を内外へ示すべく、区長や本区管理職の皆様で「イクボス宣言」をしてはいかがか。

A:女性にやさしいまちづくりについて、男性の協力、ワークスタイルの変革は欠かせない要素。
官民を問わず仕事と家事が両立できる職場の環境づくりを目指すため、本年9月に区内ワーク・ライフ・バランス認定企業の経営者をはじめ、関係者の方々にお声がけをし、オール豊島の体制で「イクボス宣言」を行う。私(豊島区長)も豊島区職員の仕事と家庭を両立させる人生を応援しながら、自らも仕事と家族の生活を楽しむ「イクボス」になることを宣言する。

→高野之夫豊島区長から、イクボス宣言をする旨を引き出しました。
役所が率先垂範しながら、男性の働き方改革につなげていきたいです。

Q:区内で最も大きい事業体である本区職員のワークスタイルの改善策は。

A:ICT環境の整備に伴うワークライフスタイルの改善に努めてきた。前例踏襲の業務執行スタイルや長時間勤務尊重の文化をもつ職員が見受けられるが、旧慣のスタイルを改め、働きやすい職場の環境づくりを進めていく必要があると強く感じる。会議時間を極力短くするなど、労働生産性を上げたうえでの残業時間の短縮などワークライフスタイルの変革に取り組む。仕事の進め方の改善、タイムマネジメントの徹底、職員の意識改革を図り、全庁挙げて取り組む。

Q:「子供の貧困対策に関する大綱」を踏まえ、本区独自の「女性にやさしいまちづくり」の観点を加えた、総合的に子供の未来を応援する計画や条例の制定を検討してみては。
その際、本区の「子ども・若者計画」との整合もとりつつ、この中で欠けていた観点である、親になる準備のような項目も加えてはいかがか。

A:28年度の関連の新規拡充事業だけで10事業にのぼるなど積極的に施策を展開。行政のみならず地域との連携をしている特徴。計画や条例制定は難しい課題だが、検討する必要はあるものと考える。
親になる準備のような項目を加えることについては、指摘の通り抜本的な対策として予防の観点が不足している面がある。かねてより中高生を対象にボランティア活動を行う事業などを通じて、子育ての責任や命の尊さ、家族への感謝の気持ちを育むなどの体験学習はやってきている。このような取組みを指摘の観点として改めて評価し、今後反映させる。