12月17日(水)、防災・震災対策調査特別委員会の視察で岩手県庁へ伺いました。
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視察目的は、
・Web版被災者生活再建システム導入の経緯
・県と市町村との役割分担(特に、県内の他自治体に疎開避難している住民への生活再建サービス提供の確保について)
・個人情報保護の観点からの各自治体の対応
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{導入経緯}
岩手県では、東日本大震災後に、京都大学・新潟大学を中心としたプロジェクトチームから、東京都で研究を進めていた「被災者台帳システムを用いた総合的な生活再建支援の実現」の提案を受け、導入。
平成24年4月に被災者台帳システムの研究版を導入し、27年10月に全県版へ移行。

被災した各市町村では行政機能が著しく低下したため、広域行政を担う県が主導してシステムを導入。
現時点で33市町村中32市町村の参加(1自治体は被災者情報の把握はシステム導入をしなくてもできたこと、システム導入コストが重いこと、などを理由に不参加。今後参加できるような制度設計にはなっている)

{システムの特徴}
システムの特徴は、県庁に被災者台帳サーバーをおいて被災者台帳データを一元管理。
住基情報と土地家屋の情報をつなげたもの。
現状はマイナンバー対応はしていない。
被災市町村及び避難先市町村などは、専用回線を使用して情報のやり取り。
被災時に専用回線が通じなくなった場合でも、他自治体のシステムでIDを使えば使用可能。

被災者にとっては受給可能な支援制度を漏れなく受給することが可能。
県内の他自治体で資料を毎回提出することを避けることができるなどの利点。
自治体にとっては、きめ細かな相談支援、住宅再建や移転情報の管理が容易、支援金等の支給管理が可能など。
県にとっては、復興への重点施策策定、県税減免や緩和措置の検討が容易、みなし仮設住宅の入退居管理が容易、など。

{個人情報保護}
個人情報保護の対応では、岩手県では個人情報保護条例に基づいて、個人情報の取扱いに関する制限の適用除外を実施。
発災前の個人情報のの取扱いについては、現在のところ予めのシステムへの情報登録はしないこととなっている。

{広域化の必要性}
被災者台帳の情報共有をする広域連携をする必要性があった。
情報の把握が難しかったという反省点から。
東日本大震災の時は、総務省の罹災者システム(自己申告)と県の情報しか他自治体への避難情報を得ることはできなかった。
広域避難者台帳のシステム整備までやったのが全国に先駆けていること。

{豊島区のシステム}
・被災者台帳システムは整備済み(生活再建システム。以前は罹災情報のみであった。のみであった)
・WEBにはつないでいない、スタンドアローンタイプ。
・土地家屋の情報は、都と協定を結んで情報提供を定期的に受けている。住基情報と土地家屋情報をつなげている。
・都もWEBの簡易版を作成中だが、岩手のような運用には今の所ならないだろう

私からは、広域情報を得る必要性について、被災者が住民票自体を移した場合の対応について、他システムとの互換性についてなどを質問しました。
広域情報については、上記にまとめて書きました。
住民票が移った場合、県内なら対応可能だが県外だと難しいとのこと。被災した時点の住基情報及び土地家屋情報に基づいてシステムには入力される。例えば東京に住民票がある人の不動産が被災した場合には、システムに入力されるとのこと。

他システムとの互換性について
現状は岩手県で導入したシステムを他都道府県へ広めることを念頭に置いているようです。
違うシステムの場合の互換性があるかは判然としませんでした。
確かに先行している岩手県のシステムに乗っかるところもあると思いますが、すでに何らかのシステムを持っているところが多いと思うので、他自治体との広域連携を図るのであれば、これでは弱いと感じました。
将来的にはマイナンバーへの対応も行い、マイナンバーをキーにして情報共有をやるのが現実的であろうと思います。
現状は新システムを立ち上げたばかりであり、マイナンバー対応をさせようとすると追加コストがかかることから、対応は考えていないとのこと。
国からの指示があれば検討するというような回答でした。

翌日は宮城県名取市役所へ伺います。
視察項目は、
・被災市街地区画整理事業(閖上地区)
・東日本大震災慰霊碑
です。