12/10(木)、市民科の視察に続いて品川区役所などで講義を受けました。

1つ目の講義は、田口佳史先生、山田宏先生によるご講義。
田口佳史先生からは、人格教養教育の必要性についてのご講義。
私の区政報告会でも9月にご講演いただいております→9/19区政報告会動画
田口先生
・正しいとは何か
・規範が共有されていないとどうなるか
・慈愛と義愛。四端教育(惻隠、羞悪、辞譲、是非)から五常(仁義礼智信)へ。
・胎教の一貫した教育。教材の充実。教師の育成(学習と感化。習うとは実践のこと)
・道徳とは何か(天行 健なり)
など。非常に分かりやすく解説してくださいました。

続いて山田宏先生から、人格教養教育推進のための議員連盟設立の経緯、議員連盟設立後の動き、目指そうとしてものとその後の展開についてなど。
山田宏先生
・大学教育の問題から、高校、中学、小学校、幼稚園・保育園、と問題のある場所がさかのぼっていくことを知り、どこから手を付ければよいのか難しいということに区長時代に気づいた。
道徳の副読本はつくったが、これを現場で使うかは結局先生の裁量。
国づくりは人づくり、人づくりは教員づくり。
杉並師範館の取り組みへとつながる。
土台を作る必要性がありながら、知識の教育ばかりを親が求めるというジレンマを両方やる必要。
・根本の問題解決のため人格教養教育の必要性を説くとともに、基本法を作って現場に取り組みを促す必要がある。
各自治体でやろうとしても難しい。背骨を入れるために法律が必要。
・教育基本法には「人格の完成を目指し」とあるが、この「人格の完成」の定義をこれまで明確にしてくることはなかった。教育基本法の目的を法で位置付けるというもの。

次に僭越ながら私がモデレーターとなり、田口先生と山田先生へ質問をしていきました。
細川より質問
・人格教養教育推進のための議員連盟を設立した際、道徳の教科化を目指す議員連盟という報道がされたことがあった。これについての見解は?
⇒山田先生:道徳の教科化はあくまで一部のもの。人格教養教育が目指すのは、教材や教師の育成なども含めてのもの(時間軸も学校教育だけにとどまらない)
⇒田口先生:(道徳の教科書について)少し作りこみすぎているように感じる。もっと子供が素直に受け止められるようにした方がよいのだろうと思う。

・地方議会の立場からできることはあるか?
⇒山田先生:自治体として地域に根差した教育ができるとよい

会場からも質問がありました。
・江戸時代の女性の教育は?
⇒女大学、婦道の基など書物あり。忠恕の"恕"は女の口からでる優しさという意味。
江戸時代は女性が尊重されていた時代。手習いなどはほとんど女性が先生。
教養人の女性はたくさんいた。

他にも色々とお話をいただきました。
後日、神谷宗幣会長のインターネット番組[CGS」で当日の講演の様子が公開される予定です。

山田宏先生は、来年の参議院議員選挙において自民党公認の全国比例代表候補として出馬予定です。
是非国政へ返り咲いて、人格教養教育を推進していただきたいです。
集合写真 田口先生、山田先生

次に、評論家の江崎道朗先生によるご講義。
なぜ地方は疲弊するのか ~GHQの占領政策、中共の対日工作から考える「戦後日本のカタチ」~
江崎先生
・先の大戦の前からの中国との関係から、戦中、戦後の歴史的な流れを追い、日本の置かれている現状についてお話をいただきました。
近現代史を順に振り返ると、戦略的に色々な仕掛けをされているのが見えてきます。
・コミンテルンの戦略的な動きを理解する必要。
・日本の社会党はもともと労働者の待遇改善を行っていた。昔の政治家は社会主義者でも愛国者だった。そのため中国共産党が仕掛けてきても国のために動いていた。ところがいつの間にか反米組織となってしまった。
・1949年のレッドパージは、中ソ同盟条約のもとで日本を標的にされて内乱を仕掛けられそうになったために発生。
中ソは3つの誤算。①在日米軍による反撃、②警察予備隊の創設、③日本の革命勢力が中ソに同調しなかった(社会主義者でも愛国者。社会党や総評が同調しなかった)
その後はこの3つの誤算についての活動をした。
①には安保条約反対、②には再軍備反対、③には革新勢力を左傾化させる、というやり方。

もっと最近の話ではかなり踏み込んだお話もしてくださいました。
冷徹な現状をふまえ、日本のかじ取りをどのようにしていくのかを考えねばなりません。
地方議員という立場でできることは少ないですが、少しでも現状を理解しながら物事を考えねばならないと思います。
集合写真 江崎先生

この日の最後は、観光カリスマの山田桂一郎先生のご講義
スイスからみた日本の地方自治と観光
山田桂一郎先生
表記の演題でお願いしましたが、観光政策から見る地域活性化についてもかなり具体的な話を多くしてくださいました。

<地域活性化関係>
・地方の合意形成は「エゴと利害関係」。よくあるのが、困っているといいながら実際は困っていないという場合(シャッターを閉めている店舗だが、ほかに不動産収入などがあり他の人に貸してまで店舗を開けたくないなど。こうなるとその人はよいが街は衰退)
困っていない、自分の代は食える、という考えは、投票行動は起こさない。変化がないのがよいにつながってしまう。
⇒自立、持続につなげることが大事。住民が幸せになる、まちが豊かになる。
・価値を高めて現地でないと食べられないものをつくる。地産地消から地消地産へ。
・内需活性をする。観光=外貨獲得-消費・景気増。
KPIに入れ込み数(来場数)に置くのは意味がない。入れ込み数を重視するのは日本くらい。
延べ宿泊数、リピート率、顧客満足度、などに切り替えるべき。入れ込み数だけにこだわると"観光者"、お金を落とす"観光客"にしなければ。
・遠方からのほうがお金を落とす。外国人が来るくらいの理由があれば近い人もシャワー効果で必ずくる。
近隣だけをターゲットにしている限り、外から人は呼び込めない。
・トップエンド、ハイエンドを広げる必要がある。安い単価のものばかりにしない。
・地域全体が潤わないとよくならない。無料のものは物見遊山、リピーターにならない。
「いまだけ、ここだけ、あなただけ」にする(山田先生の考えた言葉)
反対語は「いつでも、どこでも、だれにでも」
・ボランティアガイドを増やすなどは愚策。短期のイベントならOK。
なぜなら生業をなくすことになってしまうから。教育の一環で子供のボランティアガイドを増やすなどはよい。
・客→顧客→贔屓客 となるように。
・おもてなしは、しつらえ、よそおい、ふるまい、が大事。日本はおもてなしというと、ふるまいばかりに目がいきがち。

<スイス関係>
・違うのが前提の国。多様性があると余計に「教養」「アイデンティティ」が必要となる。
・スイス、イタリア、フランスに対しては、日本は貿易赤字ばかり。
3国に共通するのは「質」重視という姿勢。評価システム、クオリティラベル。
・住民が主体的。地元が支持していないものは売れない。
美しい景観も大事、住んでいる人の意識の高さがわかるもの。
・実体経済で強くなっている。マネーゲームで儲かっても再投資をしたり外資にお金が流れては意味がない。

集合写真 山田先生

初日の研修は朝から晩までびっしりと詰めましたが、とても良い内容でした。
2日目も朝からびっしりと詰めた研修。
次の記事でご報告します。