11/15(日)、豊島区青少年育成委員会連合会の設立三十周年記念事業が、としまセンタースクエアにてありました。
セレモニーの後は、記念講演で"夜回り先生"こと水谷修氏がご登壇。
(本日は撮影NGだったので、講演前の演題のみ撮影)


演題は、
「あした、笑顔になあれ」~夜回り先生からのメッセージ~

・1991年のバブル崩壊で日本社会のバランスが崩れた。
夜の世界に止まっていた攻撃性、イライラが一般家庭にも入るようになった。
それまでは「真面目に働けば報われる社会」、それだけではうまくいかなくなり社会でのストレスをため込んだ父親は家庭で母親などにイライラをぶつける、そして母親もイライラし子供たちが否定ばかりされるようになる。
いじめ、不登校やひきこもり、薬物、非行…否定ばかりされた子供たちから生まれるもの。
強い子は「夜の街」へ、少し強い子はいじめ、弱い子は精神を病んだり自殺に追い込まれたりする。
・美しい自然、美術など、心の栄養となるべき刺激が足りていない。
・健全な肉体に健全な精神が宿る、という。体が疲れていないのに心だけが疲れる、心身のバランスを崩したところから眠れなくなる。夜遅くまで起きていると翌日眠たくて機嫌が悪いので他の人に当たる。
・100万人がうつ病、10年で向精神薬剤を使う人が70倍。
米国は心の病に投薬をしない方向となった。保険の財政がもたない。
対症療法ではよくならない。例えば歯が痛い、といって痛み止めばかり飲んでいるようなもの。
精神病にも根本的な原因を取り除くようなことをしなければ、薬物で脳に影響が与えられてしまう。日本は世界で唯一、複数の薬を処方していることでも悪影響がある。
・リストカットは世代人口の7%、100万人が経験あり。
リストカットは生き残るためにやっている行為で、リストカットだけを制限してもその人を追い込むだけ。
親の過剰期待、親からの虐待、学校の先生や友人など仲間との関係、過去のトラウマ・PTSD、などが原因となることが多い。
手首を切って痛いのは始めの1~2週間、あとはエンドロフィンという脳内物質が出て快感になってしまう。
リストカットや薬の過剰摂取は繰り返すもの、必ず保健所に通報して専門の人が訪問すること。そうすることで自殺者はかなり減少するはずだ。
・日本の文化を信じること。歴史、宗教など。みえないものを畏れる心は大事。
・携帯電話やインターネット、LINEなど、夜中まで刺激を受けると子供たちに悪影響。
21時~6時までは使わないようにさせたい。人間は昼行性、夜に刺激を受けるのはよくない。

夜回り先生は、子供たちが登校している後姿を見るだけで、いじめに悩んでいる子、薬物で苦しんでいる子、家庭環境に悩む子、などが分かるといいます。
先生がいじめに気付かない、などということはなく、見ていないだけだ、とご指摘なさっていました。

道を踏み外した子供、踏み外しかけている子供たちと本気で向き合い、夜の街に出てしまっている子供たちと対話を繰り返してきた夜回り先生。
実践してきたものだけにある凄味がありました。
いじめや不登校がない世の中をつくる、子供たちが前向きに人生を歩めるようにしていく、このような教育の形をつくらねばなりません。

今回のご講演はとても考えさせられる内容でした。
これからの提言や実践に必要な視点を頂けたと思います。