前の記事に続き、9/28に行った一般質問の内容についてです。

【1.道徳教育について】

<質問の狙いなど>
道徳の教科化が決まり、平成30年度からは小学校で検定教科書を導入しての授業が始まります。
新しい学習指導要領は平成27年度から趣旨を踏まえた先行実施も可能としており、積極的に進めていくことがすでに可能となっています。
私は日本の抱える多くの問題の根本には教育の問題があり、その中でも道徳教育の位置付けは非常に重要であると考えております。
改めて道徳教育についての見解と今後積極的に進めていくべきという思いを込めて、質問をしました。
先行実施を前向きに考える答弁が引き出せたのも収穫ですが、教育長から戦後教育の問題点について締めくくりの答弁が引き出せたのが大きかったと考えております。
いずれにせよ、道徳の教科化は手段の一つに過ぎず、目的は人格の完成を目指す教育がなされることです。
今後も働きかけを続ける所存です。

Q:道徳の教科化におけるこれまでの道徳教育との違いは?

A:教材を読むだけの「読み物道徳」から子供たちが自ら「考える道徳」「議論する道徳」へと転換するもの。教科化によって道徳教育の重要性を学校教育はもちろんのこと、地域・保護者の皆様にも改めてご認識頂く契機となる。

Q:本年度から一部改正学習指導要領の趣旨を踏まえた取り組みが可能となっている。道徳の教科化を見据えた本区での先行実施についての考えは?

A:本区でも他地区に先駆けてできるだけ早期に実施すべきと考えている。しかし教材の準備や評価、指導要録など検討すべき点が多々ある。国や都の検討状況を見据え、次年度からの一部先行実施を視野に準備

Q:中央教育審議会の答申には、検定教科書導入の必要性を指摘しつつ、教科書のみを使用するのではなく各地域に根差した郷土資料など多様な教材を併せて活用することが重要としている。道徳教育の教材についての考えは?

A:現在は文部科学省の「私たちの道徳」、都の道徳教育教材集、各出版社の副読本などを活用。検定教科書ができるまではこれらを活用する。本区独自の資料は、「豊島ふるさと学習プログラム」の体系化とあわせ、子供たちが問題意識をもって多面的・多角的に考えたり感動を覚えたりするような充実した教材の開発に努める。

Q:考え、議論する道徳化への転換をする際の懸念もある。現場の先生が子供たちへ結論を押し付けてはならないと過度に反応して特に結論を設けずに授業をオープンエンドで締めくくる傾向が強まらないかという点。江戸の教育では四端教育から五常による規範形成教育をしていた。道徳科でも習得すべき徳目が体系的に示されている。教科化に際して数値評価はしないが成長の様子は把握する必要性がある。
道徳の指導方法や子供たちの成長の様子の把握などの評価についての教育委員会の体制、PDCAの評価サイクルのチェック体制については?

A:教員と子供たちとの人格的な触れ合いによる共感的な理解が極めて重要。全校に道徳教育推進状況調査を実施し、道徳教育の年間指導計画や教材の活用状況、道徳の校内研修の実施や道徳教育推進上の課題について把握し、各校への指導・助言へ活かす。
全校が実施している道徳授業地区公開講座では、事前に指導案の提出を求め指導内容を確認するとともに、実際の授業の様子を視察し指導・助言をしている。

Q:道徳の教科化に対する見解と道徳教育の今後の展開の方向性については?

A:昭和33年、教科書のない道徳の時間が導入されて以来、初めて道徳が教科化されて教育内容としての位置づけが明確となった。
戦後の道徳教育は、かつての修身教育の否定から始まった。昭和20年12月、連合国軍総司令部GHQは「修身・日本歴史及ビ地理停止ニ関スル件」を発表し、その後は日本史と地理の停止は解除されたものの修身の解除はなかった。その時から日本の子供たちにとって、人間としてのあるべき姿、基本的な行動規範、誇るべき日本の歴史や文化、自然や郷土愛する心情などが、学校教育の重要な課題から遠ざけられてきた結果、青少年のいじめや問題行動等の対処に苦しむ長い時代が続いてきたことは、衆目の一致するところであります。道徳教育の教科化は、教育基本法の真髄とも言うべき、人格の完成を目指し、まさにこうした日本人の誇りを取り戻し、世界の中の日本の役割を自覚していく絶好の機会が到来したと考えている。
今後の展開は、次代を担う人材育成の要となる施策を道徳性に裏打ちされた「豊かな人間性」の育成と捉え、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の一層の充実を図っていく。子供たちの自尊感情を高め、規範意識や人間関係を形成する力などを育み、心に芯をもち、時代を超えた普遍的な価値を自覚した人材の育成に努める。


【2.幼児期からの学びの連続性について】
<質問の狙いなど>
本年7月に豊島区教育大綱が策定され、教育ビジョン2015へ新たに追加する施策として、
幼小中一貫教育の推進、などがうたわれました。
一貫性をもつ教育の推進は私もあるべきだと考えますが、教育ビジョンでは区立幼稚園3園と中学校8ブロックとの関係が中心の施策となっています。
しかし、区立小学校で受け入れるのは区立幼稚園の子供だけではなく、私立幼稚園や保育所など多岐にわたります。3月に策定された「豊島区子どもプラン」は、幼児期の学校教育・保育、地域の子供・子育て支援を総合的に行う方向性を定めたものであり、この趣旨に鑑みても、教育ビジョンにうたわれた施策では幅が狭いです。
この点、もっと広げて考えるべきであるということを指摘するとともに、幼保の連携をより深く進めていきたいと考えて質問を組み立てました。
歯切れの悪い答弁もありましたが、今後は幼保の連携をより進めていくことになると思います。
今後も注視します。

Q:幼小中一貫教育連携プログラムの導入の背景については?

A:各校種の接続の不備が「小一プロブレム」「中一ギャップ」を引き起こしており、基本的な生活習慣の乱れ、学級崩壊や不登校、暴力行為など問題行動発生の大きな要因となっていた。
各校種での共通の課題を共通に理解し協働行動をもって解決しようという改善の求めが背景となった。

Q:幼児教育プログラムの具体的な内容については?

A:幼児期において人格形成の基礎を培う教育が何よりも重要、幼保、小・中学校も共通の問題意識をもって対応することが必要。
幼児の生活や遊びといった直接的・具体的な体験を重視し、人と関わる力や思考力、感性や表現する力を育み、これからの時代を生き抜く力の基礎を培う。
本年度からALTを活用した「英語体験」や地域との交流など、豊島区の独自性を存分に発揮したプログラム開発に取り組む

Q:区立幼稚園3園のみならず、私立幼稚園が16園(認定こども園1園を含む)の他、保育所との接続も考慮すべき内容。本年3月には「豊島区子どもプラン」が策定され、4月から「子ども・子育て支援新制度」始まった。一貫教育連携プログラムにおける私立幼稚園との接続、及び幼稚園・保育所との連携、保育所と小学校との接続については?

A:各区立小学校に就学する幼児教育機関は、1校当たり平均30園前後を数えることから、一斉に連携を求めるのは簡単ではない。幼保の連携は各園長や教員による諸行事での交流や情報交換などを行っている。保育所と小学校の接続は就学前の情報交換、就学後の参観や意見交換などをする小学校が年々増えている。今後も関係各課との連携強化の下、私立幼稚園や保育所に対しても情報提供や研修の場の提供など、一層充実させる

Q:幼児期運動指針のポイントを踏まえた幼稚園・保育所の取組みについては?

A:指針は幼稚園教育要領の「健康」の領域とリンクしたものと認識。幼稚園では要領や指針の趣旨を生かして運動を促している。保育所は遊具を活用した遊びの他、行事などを通じて楽しみながら体を動かす遊びを自発的に行えるよう促している。

Q:幼小中一貫教育連携プログラムでの運動の位置付けについては?

A:体育・健康教育の充実を重要な課題と位置付けている。巣鴨北中ブロックでは体力向上、健康教育、食育の3点を柱として実践的研究に取り組んでいる。

Q:幼稚園教諭と保育士合同研修の一環としての指導者に対する研修の実施及び私立幼稚園や保育所にも研修の門戸を開くことについては?

A:児期にあるべき体育活動について、幼稚園教員と保育士が研修を通して共通の認識に立つことは意義あることと思う。教員配置体制や任命権者の求める研修の目的・内容に違いがあることから合同の研修会が実現していない。組織的横断的な幼児教育の一元化を含め、それぞれの研修システムを活かした取り組みについて研究していく。私立幼稚園や保育所への研修参加の門戸を開くことについては、研修会への参加や成果の普及など積極的に情報発信を進める。

次の記事で一般質問の後半の内容について書きます。

【豊島区議会録画配信】
豊島区議会のインターネット中継は、豊島区議会のホームページでご覧になれます。
コチラ

※10/6(火)16時現在では、まだ私の一般質問の動画はUPされておりませんが、近日中にUPされる見込みです。