一般質問の中身について、ご報告いたします(抜粋)。



【1.人格教養教育について】
「人格教養教育推進のための議員連盟」が立ちあがったことを受けて、議連をどのように評価するか、本区の教育目標との関係性、教育委員会の権限や体制について訊ねました。
(議連立上げの詳細は⇒コチラ

Q:「人格教養教育推進のための議員連盟」の掲げた目的である「規範形成教育の再興」「教師の養成、規範が教えられる教師の養成」「地域、学校、家庭の三位一体の教育」について、教育委員会としてどのように評価するのか、お聞かせください。
A:
「規範形成教育の再興」は、価値観が多様化し、自己中心的な生き方が横行している時代に生きる子供達にとって、人に迷惑はかけない、自他の命は大切にする、礼儀正しくする、感謝の気持ちを大切にするなど、規範意識に基づいた行動様式を身に付けさせることは極めて重要な課題と認識。
「教師の養成、規範が教えられる教師の養成」は、豊島教員ミニマムで「教育は教化にあらず感化なり、教育は為すことで身に付く、教育は人なり、チームプレーなり」という教師のあるべき規範を示し、教員の育成に取り組んでいる。日々教育活動の中で実践され、生かされているものと受け止めている。
「地域、学校、家庭の三位一体の教育」について、学校はもとより、地域や家庭は子供にとって重要な学び舎であるという認識。地域、学校、家庭三位一体の教育は、正に人と人とが繋がる絆づくりの教育であると認識。

人格教養教育の必要性は教育委員会と一致したと受け止めています。具体的な落とし込みをしていきたいです。

Q:豊島区の教育目標に謳われている
「子供が知性、感性、道徳心や体力をはぐくみ、人間性豊かに成長することを願い、
・互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間
・地域社会の一員として、社会に貢献しようとする人間
・自ら学び考え行動する、個性と創造性豊かな人間
の育成に向けた教育を重視する。」
につき、具体的な方策と既に取り組んでいる内容については?
A:心の教育の充実、体験活動の充実、伝統・文化を尊重する教育の充実の3本柱、11事業を展開し、外部事業評価でも好評価を得ている。例えばキャリア教育として中学生の職場体験学習など。今後も豊かな人間性を育むため、体験を通して学び、身に付けるソーシャルスキルを重視していく。

Q:教職員人事権の委譲についての見解は?
A:予算、人員、組織に大きな負担が伴うことから、都教委と慎重な検討と調整が必要。
中核の人材について自地区で管理職へ昇任させる「学校リーダー育成プログラム」が本年度から始まり、人材確保の大きな手段となりうる。
近隣区と連携した教職員人事権の委譲については、効果が薄いと認識。

※単独で受けるのは負担が大きいので近隣区との連携が望ましいのではないかと、現時点で私は考えておりますが、教育委員会とは考え方が違いました。

【2.義務教育課程の補習授業体制について】
教育の機会均等は図られるべき。
自尊感情や自己肯定感を高めるためには、学校の授業についていける程度の学力は必要。
義務教育は到達度で進級する訳ではないので、つまづくと復習しない限り追いつけない。
特に、小学校の課程でつまづいたままの中学生は難しくなる。
学校現場のみに委ねるのではなく、外部委託を視野に入れた補習授業支援の取組みをすべき。

Q:中学校での補習支援体制の仕組みは?
A:生徒一人一人の学習履歴を分析し、必要な補習体制の整備に努めている。全ての中学校で学習シラバスや家庭学習の手引きを作成し家庭学習を支援、定期テスト前の補習授業や夏季休業中の学力補充教室などを実施。
現状の学習支援の仕組みは、水曜トライアルスクール、中学校補習支援チューター事業。
後者では昨年の2倍の派遣時数を確保。

Q:外部委託を含めた公立中学校への補習授業の支援は?
A:学習機会だけでなく、学習意欲や学びがいを引き出し、個の状況に応じた目の行き届いた指導を徹底していくことが必要不可欠。学習履歴に基づく学びの連続性を小中連携によって把握し、一人一人の学習状況を熟知している中学校の教師が外部講師とともに考え、生徒を認め励ますことが大きな力になる。外部委託ではなく、学校や教師が中心となり、学力診断を参考にした生徒の心や実態に寄り添った学力向上策に徹していく。

※学力の2極化が指摘されている中で、学力の底上げは大きな課題です。
あくまで現場の努力に委ねるという方向性だと、現場が疲弊するのではないかと危惧します。
もちろん子供達への学校教育での指導の中心は、学校の先生です。その学校の先生の補完をする形での、外部委託を含めた補習授業の充実は検討すべきと考えます

【3.指導者に対する運動指導方法の研修導入について】
「時間」「空間」「仲間」が減った現代の子供にとって、単に外で遊べと言われても中々昔のようにはいかず、子供達の体力の低下という結果に繋がっている。
このような状況下では、学校などで運動する機会は子供達にとって貴重なものとなっているが、スポーツ科学や子供の特性などを理解して運動指導をしている先生は意外に少なく、運動指導を苦手に思う先生方は現場に多いと聞いている。

Q:5月に行われた臨床心理士やスクールカウンセラー向けの教育センターのスポーツ科学に基づいた運動指導研修について?
A:特別な支援を要する園児にソーシャルスキルを獲得させるためには、気持ちを集中させ、心を解放させることや運動を通して体幹を鍛えるなどの随意的な活動スキルを高めることが大事。今年度から始めた区立幼稚園児対象の「うきうきグループ活動」で指導にあたる臨床心理士や幼稚園スクールカウンセラー及び幼稚園教員を対象に研修を実施。
現在は、「うきうき活動」の取組みとして運動療法プログラムを取り入れた。今後、具体的な事例に即して検証していく。

Q:幼稚園教員と保育士向けに合同で運動指導研修を行ってはどうか?また、公立だけではなく、私立にも合同研修の門戸を開いてはどうか?
A:自分の意思で体を動かし、自己制御できる能力を育成することは、幼児期の子供達に有用なプログラムであると考える。
合同研修会は意義ある事だが、教職員体制に違いがある事や、体制づくりに課題が多い事から、教育委員会と保育課とが、個々の研修システムの中に共通の研修課題として位置づけ、実効性のある研修を進める必要があると考える。
私立幼稚園や保育園への研修参加の門戸を開くことについては、合同研修の第一歩として情報提供を進めていく。

教育センターへ提案していた研修が実現しました。
その後の展開として、幼保連携の一歩目として合同研修まで進めて欲しかったのですが、まだハードルがあるようです。私立への研修の門戸開放には前向きな回答が得られたのはよかったです。今後も角度を変え、提案していきます。


【4.小学校移動教室等について】
豊島区立小学校の6年生の林間学校は、数十年間も栃木県の日光で行われていた。
1999年12月には「日光の社寺」がユネスコ世界遺産委員会で文化遺産として登録され、日本のみならず世界の文化遺産として名実ともに認められた。しかしながら、2011年に日光が放射能のホットスポットになっているということで、林間学校が急きょ立科へ変更となった。
2011年に林間学校の場所を変更した時の判断は間違いではなかったと評価している。既に日光市の空間放射線量は、豊島区で計測されるものと大差がないレベルになっているが、その後も日光には戻っていない。

Q:林間学校の場所を変更した際の懸念はクリアされているように思うが?
A:H24には、H26から日光に候補地を戻せないか、校長会とも連携して検討。しかし、福島第一原発の事故が終息せず緊急時の対応が難しい事、季節や場所によって放射線量が度々高い数値を示したことがあり安定していないことから、立科での実施を継続。

Q:小学校6年生の林間学校の場所を日光へ戻すことについてはどのようにお考えか?
A:歴史や自然から学ぶ意味で意義は大きい。それだけに継続性、安定性の確保が大切。
日光へ戻すには、宿舎場所の確保が大前提。さらに施設や場所との調整、学習プログラムの作成や各方面との合意形成など、十分な準備期間を要し、少なくとも2~3年は必要。
原発の状況や日光東照宮の工事にも留意し、実施時期を定める所存。

※緊急時の対応が難しい、といった件はどのようなことを想定しているのか、よく分かりません。立科での林間学校はあくまでも暫定的な措置であり、日光へ林間学校の場所を戻すことを模索していく、ということが確認できたことが一歩前進だろうと思います。

【5.図書館の活用について】
探究型の学びの場として、図書館の果たす役割は非常に大きいと考えている。

Q:「探究的な活動」の狙いについてと具体的な取組み内容については?
また、今後の「探究的な活動」の展開については?
A:探究的な活動の狙いは、自ら学び、自ら考える力など生きる力を育むために、既存の教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習によって形成される創造的思考力を目指すもの。
南池袋小、富士見台小ではビオトープを作り、ホタルを育て、生物の多様性について学んでいる。西巣鴨小では、菊かおる園との交流を通して福祉に目を向けた学習を展開。図書館を活用した調べる学習コンクールでも成果を挙げている。
今後とも全ての小中学校において「習得・活用・探究」の学習活動を展開し、問題解決力や探究力を育成していく。

Q:墨田区で行われたすみだ水族館と調べる学習コンクールとの連携のような、図書館と博物館との連携を進めたらいかがか?
A:調べる学習コンクールのみならず、読書啓発活動の一つとして区立図書館で取り組んでいる。
中央図書館と「あうるすぽっと」との事業連携は開設当初より行っている。
近接するサンシャイン水族館との連携事業として、飼育員に水族館の話しをしてもらい、探究のきっかけ作りを行った。また、古代オリエント博物館の館長にも、広報紙に寄稿してもらっている。新庁舎での「まるごとミュージアム構想」について、図書館の読書啓発を目的として継続した連携活動として活用できると大いに期待。今後もあらゆる分野の施設や事業と連携していく。

Q:新庁舎での環境教育と中央図書館との連携についての見解は?
A:提案の通り、新庁舎10階「豊島の森」を活用した環境教育プログラムの事前・事後の学習においては、新庁舎に近接した中央図書館を活用し、環境学習が充実できるよう、連携して環境整備を進めていく。
新庁舎と中央図書館、あうるすぽっとと、直接に地下でもつながり、約200メートル程度に位置している。中央図書館とあうるすぽっと合わせて、一日3,000人を超える来館者がある。新庁舎完成によってその連携が更に強まり、庁舎を訪れた方が展示内容の興味を掘り下げるべく図書館を利用したり、図書館利用者が興味を持って新庁舎に足を向けて頂けるよう、様々な工夫をして相乗効果を上げていく。

Q:今後の図書館における指定管理者制度の活用についての見解は?
A:公立図書館への指定管理者の導入は徐々に広がっており、23区では既に12区が指定管理者の導入をしている。本区では業務委託と非常勤職員の活用を先駆的に取り入れるなど効率化を図ってきたため、まだ指定管理者の活用には至っていない。職員の処遇への配慮など慎重な判断が必要になるところ。しかし、地域図書館では各地域館が地域の特色を取り入れ、事業者の創意工夫に生かすことにより、独自性をもたせた柔軟な施設運営を期待できる、経費の大きな拡大を要せずサービスの拡充が見込めるなど、指定管理者の導入について、今後とも鋭意検討を進める

【6.都電荒川線沿線の緑化について】
大塚駅前から新庁舎の屋上庭園「豊島の森」・グリーンテラス、近接の雑司が谷霊園などまで、都電沿線に「緑の道」を繋げられれば、地域の活性化を図れる可能性があるので、是非進めて頂きたい。

Q:関係機関との連携の現状は?
A:補助81号線の整備にあわせて、東池袋四・五丁目地区での都電軌道敷の緑化の実現に向けて、東京都都市整備局、建設局、交通局の関係3局と緑化の実証実験も含めて協議を行う。

Q:一般的に街路樹としてバラはあまり使わないと聞いているが、樹木との組み合わせや配置を工夫すれば街路樹のスペースにバラを植えることが可能か?
A:歩道の計画幅が3.7メートルと狭いことから、街路樹とガードレールの間の30センチメートル程度のスペースにプランターを設けて植栽するなどの工夫をすることで可能となるのではないかと思われるので、提案を活かしていく。

Q:大塚から新庁舎までの「緑の道」を繋げることについての見解は?
A:大塚駅から四季が感じられるバラの散歩道が、新庁舎の豊島の森や雑司が谷霊園、グリーン大通りを通じて池袋に繋がる事で、みどりのネットワークが誕生する。
また、新庁舎を経由して池袋と大塚の間に大きな人の流れが生まれ、街に回遊性がもたらされることで線から面へと街が活性化していく。
「緑の道」は人や物の新たな流れをつくる道として、新庁舎の完成により、大塚から緑によって街を大きく変えることが期待される。この機会に、議員の考えのように、新しい散歩道、そして沿道の活性化のために、早期の実現に向けて今後も東京都と連携して努めていく。

【豊島区議会録画配信】
当日の動画は以下の手順でご覧になれます。
http://113.42.218.61/Toshimaku/index.asp

→中段「録画中継はこちらから」をクリック
→開会日を選択、発言者を選択
→右側の選択欄にチェックを入れる。再生ボタンを押す
→ファイルがダウンロードされますので、ダウンロードの許可をして再生して下さい

※今回は、平成26年_第2回定例会_6月25日(水)_発言者:細川正博議員 です。