9月6日、視察最終日は六ヶ所村役場、次世代エネルギーパークの視察でした。

六ヶ所村役場
豊島区議会議員 細川正博のブログ-六ヶ所村役場

古川健治村長
豊島区議会議員 細川正博のブログ-古川村長 

村役場では、全般的なお話を伺ってきました。
▼全般
・財政指数は1.5を超える
・鉄道がないなど交通網がネック。村道などできることはやっている。
・エネルギー関係の企業は多いのに定住者が伸びないのが課題。住宅地を整備し、補助なども行って定住者を増やす施策を行っている。
・長芋が特産。焼酎を作るなど力を入れている。
▼エネルギー
・再生可能エネルギー、原子力発電の二本柱で考えている。
・風力発電は風車1基で約800世帯賄える。六ヶ所村は市町村単位だと風力発電でTOPの設置数(77基)。青森県は日本一の設置数(202基、日本全国で1885基)。
今後更に15基設置する。
・適地があるため、メガソーラーの誘致を進めている。
太陽光パネル設置の補助も行っている。
・スマートグリッドへの取り組み。
・石油備蓄基地、原子燃料サイクル、高レベル放射性廃棄物貯蔵等の国のエネルギー政策を担ってきた。
現在は六ヶ所村次世代エネルギーパークとして、石油備蓄基地、原子燃料、放射線研究、風力発電、バイオマス、地熱、トリジェネレーション(電気、地熱、二酸化炭素を利用)などに取り組んでいる。

村役場でヒアリング後、財団法人環境科学技術研究所へ訪問。
豊島区議会議員 細川正博のブログ-財団法人環境科学技術研究所

再処理施設は元々放射性がある程度外に漏れることを前提にしているとのこと。
稼働実験をした際のデータではごく微量の検出だったそうです。
現在、再処理施設は稼働しておらず、放射性物質の動きの研究を行っています。
豊島区議会議員 細川正博のブログ-放射性物質の動きの研究
福島第一原発の事故前に行っていた、イネに対する放射性物質の動きの研究結果は、事故後にかなり注目されたとのこと。
こういった基礎研究はいつ役に立つか分かりません。

先端分子生物科学研究センター
豊島区議会議員 細川正博のブログ-先端分子生物科学研究センター

ここでは実験用のマウスや植物を使った研究等を行って
福島第一原発事故前に行った実験結果。
豊島区議会議員 細川正博のブログ-マウスを用いた実験結果
4000匹のマウスを用い、低線量被ばくの影響についての実験調査を行ったものです。
これによると、毎日20mグレイ/日(グレイはシーベルトとほぼ置き換えてよい)を400日連続照射したグループは、寿命が縮まった傾向。
毎日1mグレイ/日だと極端ではないが、敢えていえばメスのマウスでやや影響がある。
毎日0.05mグレイ/日(400日照射で400mグレイ)と非照射グループはほぼ変わらないという結果。
0.05mグレイ/日のグループは、400日照射で20mグレイの総線量です。
累積100mシーベルトを超えるとガンになる確率が0.5%上がると言われておりますが、それ以下の低線量被ばくの影響については、専門家の間でも議論が分かれているところです。
この実験結果のみで断定はできませんが、低線量の被ばくの影響に対する貴重な実験データです。
内部被ばくについての実証実験はできないのか質問しましたが、内部被ばくは一定の条件下にすることが難しく、中々できないとのこと。

続いて、二又風力開発株式会社、六ヶ所村風力開発株式会社に訪問。
世界初の大容量蓄電池併設風力発電が、六ヶ所村二又風力発電所です。
豊島区議会議員 細川正博のブログ-二又風力開発株式会社

NAS電池(大容量蓄電池)
豊島区議会議員 細川正博のブログ-NAS電池

六ヶ所村は市町村単位では日本一の風力発電の設置数。
豊島区議会議員 細川正博のブログ-風車

NAS電池があることにより、風力発電の弱点である発電のムラをなくすことができる(発電量が少ない時には蓄電池から放出、夜間などに備蓄)
ネックは費用です。
風車はkw当たり20万円と言われており、1500kwの風車で約3億円。減価償却は17年。
NAS電池はkw当たり40万円(必置の電力監視制御装置、交流・直流変換装置等を含む)。
寿命が15年程(稼働を工夫して風車の減価償却と同じ17年持たせる。)
もう少し普及をしてもコストの減少は中々進んでいかない見込み。

訪問前は、六ヶ所村は原子燃料サイクル、放射性廃棄物貯蔵のイメージが強かったですが、多様なエネルギーの開発を進めているとともに、放射能に対する基礎研究を行っているところだったということが分かりました。
福島第一原発の事故があり、こういった基礎研究の持つ意味合いは益々高まっていると思います。仮に原発をゼロにしていくとしても廃炉のための研究は必要ですし、中国や韓国に原子力発電所がある事態は変わらないので、研究結果の積み重ねと人材の育成には務めて頂きたいです。
風力発電にはコストの問題がありますが、やはり有力な電力の確保の手段なので、今後の更なる普及が期待されます。

4日間、実りある視察ができました。
視察で得たことを区政への提言に活かしていきます。