去る7月28日(木)に、豊島区時事問題研究会(自民党豊島区議団、総支部などが主な構成員)主催で、高田純教授(理学博士・札幌医科大学)をお招きしての勉強会を開催しました。
8月1日(月)には、豊島区主催で林徹教授(聖徳大学人間栄養学部)による講演がありました。
いずれも目に見えない放射線に対し、どのようなリスクがあるのか、内部被曝をの影響についてどう考えればよいのか、という区民の皆様のお声を受けて開催されたものです。

【高田純教授のご講演】
演題は「福島復興は試金石(過度に恐れる必要はない)-東日本放射線衛生調査の報告」
・中国によるシルクロードの核実験(楼欄)の影響などを調査している
・チェルノブイリは炉が稼働中に火災が発生し放射能が上空へ飛んだ。
福島第一原発の場合は、原子炉は停止し、火災ではなく水素爆発のみで状況が全く異なる。
・福島第一原発の事故で、急性放射線障害はゼロ。人も家畜も放射線では死んでいない。
低線量被曝は安全。
・線量6段階区分
A:4000mmシーベルト/年→致死レベル
B:1000~3000mmシーベルト/年→死なないが障害。脱毛、嘔吐、妊娠していれば流産や奇形児
C:100~900mmシーベルト/年→妊娠していれば胎児へ影響。一時不妊など。福島第一原発の作業員が負わされているリスク
D:2~10mmシーベルト/年→かなり安全なレベル。
E:0.02~1mmシーベルト/年→安全
F:0.01mmシーベルト/年以下→安全(何もないに等しい)
チェルノブイリの避難者は、750mmシーベルト/年(レベルC)で退避。
福島第一原発の避難者は1~2mmシーベルト/年(レベルD)で退避。
緊急時に100mmシーベルト/年まで作業員の基準値を挙げるのは問題ないが、菅政権は250mmシーベルト/年まで容認してしまった。
これは一時不妊が起こるレベルであり、特に若い作業員には負わせてはいけないリスクであると考えている。
・福島県浪江町の避難民に対する内部被曝調査、南相馬市などを含む現地での残留放射線量の調査を通じて、住民の健康には被害を及ぼさないレベルであると判断。
・文科省の試算する数値は過大。屋内退避の指令が出ているのに屋外活動を8時間もする人はいない。計算によると実際の被曝量よりも2~3倍は過大評価している。
・原発事故1ヵ月間につき、強制退避をさせるなら分かるが、6月になってからそれを行っても殆ど意味がなく、科学無視の判断と言える。
・個人線量の評価をしていないなど、災害対策本部がずさん。
・放射性ヨウ素は半減期が短いのでもう検出されない。セシウムは今牛肉で出ている程度の数値であれば、仮に1年間食べても特段問題はない。
ストロンチウムは中々調査ができない。歯や骨などカルシウムと結合。体内の為に外からは測定不可。いま胎児の子が生まれてから永久歯を調べることで事後調査するのは可能。
ストロンチウムの数値が国から公表されていないのは問題。

現地での実測調査も踏まえて、専門家としての結論は健康には問題のない放射線のレベルである。子どもの方が放射線の影響を受けやすいのは事実だが、それを踏まえてもレベルE程度なら胎児への影響含めて問題ないレベルと判断。
(但し、ストロンチウムのみは数値がないとのこと)

高田純教授
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小池ゆりこ自民党豊島総支部長・自民党総務会長
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【林徹教授のご講演】
演題は「食品・環境の放射能汚染とその影響について」
・体内被曝をした場合の影響を発がん確率で示した。
食品、牛乳、牛肉、飲料水など相当量食べても発がん確率の上昇は軽微。
内部被曝の影響は余り考えなくてよい
・土壌について、福島の校庭の土壌を体内に吸い込んだ場合の影響を考えても、ほぼ影響なし(高濃度汚染土壌を想定し、10g吸い込んだと仮定、という厳しい条件)
・内部被曝よりも外部被曝の方を心配すべきだが、豊島区の場合は空間放射線量の値が非常に低いので、心配はいらないと考えている
・低線量の被曝で「鼻血が止まらない」「アレルギーがひどくなった」など顕著な影響が出るとは考えにくい。
・ウラン、プルトニウム、ストロンチウムの数値は公表されておらず、公的機関によりデータは公表すべきである。

【区からの報告】→豊島区HP 独自測定調査結果→コチラ
・大気中の放射線量調査1回目(地上1m)→0.04~0.12マイクロシーベルト/時間
同2回目(地上1m)→0.04~0.10マイクロシーベルト/時間、(校庭地上5cm)→0.05~0.12マイクロシーベルト/時間、(砂場地上5cm)→0.04~0.21マイクロシーベルト/時間
・プールの水(全ての区立小・中学校30校)→全項目不検出
・土壌・砂場区内7か所ずつ(放射性ヨウ素)→全て不検出、(セシウム134)→不検出~403ベクレル/kg、(セシウム137)→不検出~457ベクレル/kg
・調査の結果、健康に被害が出るような大きな数値は検出されていない。


ざっとこんな内容でした。
・豊島区で検出される放射線量であれば、健康に対するリスクは殆どない。
・内部被曝は軽微なので、今のところ余り考えなくてよい
・ストロンチウムのデータが公表されていないのは問題
高田純教授、林徹教授のご意見の共通項は以上のようなところでしょう。
今検出されている数値であれば過度な反応は必要なさそうです。

会場から区の担当者への質問で、一定以上の数値が独自調査で測定された場合の対応は考えているか?、というものがありました。
これに対し区の回答は、区では一定の目安というのを持っていないので、そういった対応は考えていない。都や国へ基準の策定を求めているところ、という回答でした。
我々が委員会等で質問して返ってきた答えと殆ど変りがありません。
基準作りはまだ進展がないということですね…。

今測定されている数値から大きな変動があった場合、もしくは福島第一原発で新たな展開(悪い方の)があった場合には、区へも新たな対応を求めていくことになるでしょう。
放射線量について、今後も注視をしていきます。