子ども文教委員会が、7月1日(金)に開かれました。
分庁舎が使用できなくなったことで一部の部署が引っ越しするのに伴い一部の貸し会議室が廃止になる、など付託された議案などいくつか議題があったのですが、その中で放射線量測定に関する陳情についての審議についてのご報告を致します。

陳情の内容は、放射線量の安全基準値を定めること(1マイクロシーベルト/年を順守)、公共の場での放射線量測定の実施、給食の食材の安全管理及び情報公開、プールの放射線量測定の実施、内部被爆ゼロを目指す取り組みをして欲しい、といった内容です
(陳情は2本出ており、上記は内容を要約)
陳情が少し前に出ていたこともあり、既に区が実施していることも含まれております。

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区の補足説明
1.大気の放射線量について
・朋有小の測定値、0.12マイクロシーベルトは、自然界から受ける放射線量を除いて年間の値にするとおよそ0.7ミリシーベルトであり、年間1ミリシーベルトを下回る。
・今後全ての区立小中学校、幼稚園、保育園にて大気の放射線量測定を実施

2.校庭の土壌と砂場の放射線量の測定について
・測定場所は区のほぼ東西南北に位置する駒込中、長崎小、千登世橋中、池袋第一小、西巣鴨幼稚園で実施する。池袋第二保育園で土壌、目白第二保育園で砂場の測定も同様に行う。
・今後測定場所拡大を検討

3.プールの実施
・プールの清掃は業者により実施
・小中学校について、使用期間中のプールの水は毎日連続してろ過を行っている。
・プールの水の放射能測定は、土壌の測定と同じ学校で実施。6月、7月、8月に1回ずつ測定を行う。
・区立保育園は、利用当日に水道水をプールに溜め、利用後に水を抜いている。
・池袋第一小、駒込中で実施した放射能の測定結果は、いずれも不検出。
・今後測定場所拡大を検討

4.学校給食の食材の安全性
・市場流通の食材は厚生労働省の定める安全基準を満たしており問題ない。
・各学校では、食材納入時に生産地の確認を実施。
・贖罪の生産地等に心配の声がある保護者へは丁寧な説明をして安心して頂けるように対応。
・今後も状況の変化に応じて機敏に対応する。

5.区民への周知
・放射線量の測定結果は安心できる数値であり、通常の教育活動及び保育を実施していると保護者へ説明。
・放射線量の測定値及び全ての学校、保育園の測定スケジュールについて、随時ホームページへ掲載するなどで公表
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この説明を受け、質問を投げかけました。

細川:福島原発の事故後、豊島区の放射線量は増えたのか?横ばいなのか?
区の担当:豊島区の事故前のデータがないため、比較が出来ない。
新宿百人町での継続的な調査によると、一時的に数値は上がったが、その後は通常の範囲内。

細川:通常の範囲とは?
区の担当:新宿百人町では、0.028~0.079マイクロシーベルト/時

細川:朋有小での測定結果は0.11~0.12マイクロシーベルト/時で安全な値とのことだが、計算方法は?安全な値なのか?
区の担当:自然放射線量を0.035マイクロシーベルト/時(新宿のモニタリングポストの年間平均値)として、現在の測定値から除いて計算した結果。
年間1ミリシーベルトを超えない水準である。

細川:豊島区内でいわゆる"ホットスポット"は確認できるか?
区の担当:区の独自測定結果、東京都の測定結果等の範囲では確認できない。
東京都の調査では、都の東側の数値の方が高いという結果が出ている。

細川:プールの授業を開始した判断の基準は?
区の担当:6月中旬から実施。東京都の方針も確認。
清掃後に新しい水を入れての実施であり問題ないと判断。

細川:プール授業開始前の掃除は全て外注か?子どもがプール内の清掃をしたということはないか?
区の担当:プールの清掃は全て業者へ外注して実施。子どもはプール内の清掃をしていない。

細川:小中学校のプールは毎日ろ過するとのことだが、仮に放射性物質が含まれていた場合、これで除去できるのか?
区の担当:水の汚れを取るためのろ過で目的は違う。多少は取り除けるのではないか(これに関しては余り期待できないだろう)

細川:杉並区で、福島原発事故前の水を測定しているが、区ではこの情報を把握しているか?
区の担当:承知している。杉並区では、昨年からプールに入れっぱなしになっていた水につき、放射性物質の測定を行った。結果はいずれも不検出。

細川:出来るだけ分かりやすく給食の食材の情報を出すように、先日自民党から要望書を出したが、対応は?
区の担当:照会の要望があった場合は丁寧に対応し、説明をしている。

細川:食品衛生法の規定に基づく暫定規制値内であれば、健康に害がないという見解でよいか?
区の担当:そのように考えている。

細川:土壌調査はこれから実施とのことだが、今後のスケジュールは?大気の放射線量は自前でやっているし測定器の数の制約もあるので仕方ないが、プールや土壌などは外注なのだからスケジュールは前倒し出来ないのか?
区の担当:土壌調査は7/11の週から順次実施。スケジュールについては、受入側の学校と業者との調整の結果で最短の日にちで行っている。

細川:子どもの被ばく量は大人よりも数倍になるということが陳情の本文で書かれているが、こういったデータはあるのか?
区の担当:人のデータはない。疫学調査上の話では、子どもの方が大人よりも影響を受けやすいという見解がある。

細川:漠然とした不安を抱える区民が多い。何故かと言えば、この数値内であれば安全だ、というものさしがないからである。
先日の要望書にも書いたが、区の安全基準を設けることは出来ないのか?
区の担当:区独自の安全基準を設けるのは難しい。しかし、安全基準があった方がよいのはご指摘の通り。特別区長会から東京都へ安全基準の設定につき、要望を出している。東京都からも国に対して安全基準の設定の要望を既に上げている。
その答えが出るのを待っている段階である。

その他の委員からは、以下の質問あり。
委員:内部被爆については?
区の担当:大気と食品の合計値がICRPの基準。内部被爆は実際問題測るのが困難。当面は大気も食品も基準を超えていないという認識。
今後は、大気の調査等を継続的に行い、大きく数値が変わった時に再度対応を協議。
給食につき、学校現場で大きな混乱は今のところない。
贖罪は各学校が納入業者に確認して慎重に対応している。

委員:安全基準を超えた場合は?
区の担当:報道や独自測定などでそういった数値が出た場合、プール授業や給食等を一時中断することになるだろう。

委員:プールの授業への参加、給食を食べるかどうかは選択させるのか?
区の担当:大切な教育活動の一環である。安全という説明をしていく。どうしてもの場合は各校で個別に対応。

委員:プール指導の際、はじめに保護者の承認は取っている?
区の担当:取っている。

委員:隣接区の対応は?
区の担当:独自測定は18区で実施。安全基準値は豊島区と同じ数値を使用。


以上がやり取りの抜粋です(質問、答弁共に要約しております)

私の総括です。
豊島区は23区内でも放射線量測定に関しては判断が早かったと思います。
この件につき、豊島区の数値では健康上問題がないという立場に立ちつつも、不安を覚える区民の為に必要な情報を出しているという対応。
区で出来るのはこの位までで、後は状況の変化に応じて対応を考えるということになるでしょう。

私自身の考えは、事故直後からのBlogで何度も発信しておりますが、都内では極端な数値になっていないので冷静な対応が必要であるというもの。
新宿区百人町で事故前から計測している大気中の放射線量の推移は、一時的に大きく上がったものの、その後は下がっており、平常時の計測値の範囲内に収まっております(例えば山口県の通常の数値よりも低い水準です)
豊島区内には事故前のデータがないので平常時との比較は難しいですが、東京都が都内100か所で調べた結果や都市核独自の測定結果を見る限りは、いわゆる"ホットスポット"になっている場所は確認できません。
広範な測定を行っているのは大気中の放射線量に関してですが、土壌やプールもこれに準じて考えることが出来るでしょう。
区内では引き続き範囲を拡げて大気中、水、土壌、砂場の放射線量測定を行い、データを蓄積いたします。
極端な数値が出たり、福島原発で新たな事態が発生するなどがない限り、今の対応を継続すればよいと考えております。