大きく頷いたその瞬間、私たちの視界を
覆っていた森がひらけ・・・、
悠里「・・・・!!」
岩肌が剥き出しになった崖の上に
辿り着いたことがわかった。
その荒々しい景色の中、視線を動かした
その時・・・・、
ボナ「っ・・・はっ・・・!」
悠里「・・・ナポレオン」
剣を構え肩で息をするナポレオンの姿が
視界に飛び込んでくる。
(・・・逢えたっ)
そしてその視線の先には、同じ様に剣を構え
息を乱す赤い軍服に身を包んだ男性が
立っていた。
ウェリ「・・・・は・・・・っ!」
(あの人が、ウェリントン公爵・・・)
ふたりは私たちの姿に気づくことなく睨み合う。
「・・・どうした、ナポレオン。
お前の腕はこんなものではないだろう?」
ボナ「・・・俺は、お前を殺すつもりはない」
ウェリ「なんだその綺麗事は。実に似合わんな・・・」
「大軍を動かし、あれだけの人間を死に追いやった
奴が今更何を言う」
「俺ひとりの命を奪うことなど、造作もないはずだが」
(・・・・正気じゃ、ない)
普通に話しているけれど、ウェリントン公爵の
瞳はまるで機械人形のように色がない。
悠里「・・・止めに行かないと」
一発で斬られる。
ジャン「待て。不用意に近づくな・・・・」
「ナポレオンの隙に繋がるぞ・・・」
ジャンヌさんはそっと囁き、音もなく馬から
降りると、私のことも地面に降ろしてくれる。
(・・・近くに行きたい。けど・・・)
ぐっと手を握りしめ、衝動に耐えた。
ボナ「・・・ウェリントン、何故お前は
この世に蘇った・・・?」
「・・・そして、何故俺の前に姿を現した・・・?」
ウェリ「決まっているだろう。――お前が
“まだしぶとく生きているから”だ」
悠里「・・・・っ」
・・・・
ウェリントン公爵の持つ剣の切っ先が
挑発するようにゆらゆらと揺れる。
ウェリ「あの時、俺は確かにお前を流刑にしたはずだ・・・」
「なのに、何故19世紀フランスで生きている?!」
「しかも過去を忘れて穏やかに笑い、・・・挙句
女ひとりを守っているだと?・・・笑わせる」
ボナ「誰が吹き込んだかは知らないが、だから
悠里を襲ったのか?」
ウェリ「悠里・・・ああ。あの娘のことか」
「そうだ。お前の大切な者を傷つければ、嫌でも
俺に向き合うと思ってなぁ」
ボナ「・・・なるほど、な」
ウェリ「だが、もはや時間の無駄だ。俺が無理矢理
にでもお前の怒りの導火線に火をつければ
いいだけのこと」
「憎き宿敵ナポレオン・ボナパルト。
俺は貴様を殺さなければ、死んでも死に切れん・・・」
「だから俺もまた同様に蘇った。
それだけのこと・・・・っ!」
ボナ「・・・・っ」
向けられた剣をナポレオンの剣が次々と
受け止め、弾き返していく。
(・・・ナポレオンは傷つける気がないんだ)
ウェリ「なんだその及び腰は・・・!」
「そんなに向き合いたくないのであれば――」
ウェリントン公爵の件がナポレオンの脇腹を斬り付ける。
ボナ「・・・ぐっ!」
悠里「・・・・・!!」
ふらついた隙に、ウェリントン公爵の剣が
ゆっくり持ち上げられる。
「この手で始末してやる。これで―― “Fin”だ」
ボナ「・・・・っ」
刃が月灯りを受けて、ぎらりと光る。
(・・・・・駄目!)
私は無我夢中になって地面に落ちていた
小石を拾い、全力で投げた。
悠里「ナポレオン・・・!」
肩にぶつかった小石のせいでウェリントン公爵が
視線を一瞬外した隙に――
ボナ「・・・・!」
剣の柄でナポレオンが身体を倒し
喉元に剣の切っ先を突き付ける。
ウェリ「・・・・っ!」
そしてナポレオンがこっちに視線を向けた。
ボナ「・・・・悠里、ジャンヌ」
・・・・
月灯りの下、大好きなエメラルド色の瞳が私を捉える。
悠里「・・・・ナポレオン」
ウェリ「・・・あの娘!いつの間にここに・・・っ」
(・・・っ)
数メートル離れていてもわかる獰猛な瞳で睨まれ、
びくっと身体を震わせるとジャンヌさんが
私の前に立ち塞がった。
おー、さすが。
ジャン「・・・この女に手出しはさせん」
悠里「・・・・ジャンヌさん」
ウェリ「ジャンヌ・・・?まさか・・・っ」
ジャン「名を知っている様で光栄だ。
・・・軍人同士の戦いに水を差すことはしない」
「だが、こちらに一瞬でも刃を向けてみろ。
・・・二度と、口をきけぬようにしてやる」
いつもは温度も何の感情も持たない声音に危うい熱が滲む。
選択)
ナポレオンを見つめる→選択
ジャンヌにお礼を言う
ふたりを交互に見つめる
えー、ちょっとこれはどれになるんだろ。
主要キャを見つめとくか。
ナポレオンに視線が向けられていることに
気づいて、“大丈夫だよ”という気持ちを
込めて見つめ返した。
ウェリ「・・・ナポレオンにジャンヌ・ダルク。
なんだこの世界は・・・実に狂っているな」
お前もな。
喉に剣の切っ先を突き付けられながら
気が狂ったようにウェリントン公爵が嘲笑う。
ボナ「狂っているのは、お前だ。ウェリントン」
ウェリ「・・・・なんだと?」
ボナ「今のお前は、かつての敵国の名将
ウェリントンではない。・・・我を
失ったバケモノだ」
ウェリ「・・・・なに、を」
ボナ「・・・俺とお前は、幾度も対峙したな。
だからこそ知っている」
「お前が俺ひとりを殺すことを目的に
戦っていなかったことを」
ウェリ「・・・そんなわけはないだろう」
ボナ「敵だからこそ観察し対策を打ち、
戦略を練る。お前の気持ちを常に測っていた」
「俺に嘘は通用しないと思うが」
あの日、茜色に染まる景色を見つめながら
ナポレオンは話してくれた。
(時代が違えば、手を組めていたかもしれない)
(・・・ウェリントン公爵は、兵士を大切に
することを考えて戦っていたって)
ウェリントン公爵の唇が微かに震えはじめる。
ボナ「・・・戦いが終わった後の光景を、
忘れてはいないだろう?」
愛され度+4愛する度+4
・・・・
ボナ「硝煙の中、無数の亡骸が倒れ、草花は
全て燃え、残るのは荒れ果てた地だけ」
「生き残った兵が帰還しようとする中
お前はその場をなかなか動こうとしなかったな」
「転がる亡骸を見て、まるで途方に暮れるように
その場に立ち尽くすお前を俺は知っている・・・」
ウェリ「やめ・・・・ろ」
ボナ「・・・ウェリントン」
ウェリ「やめろやめろやめろ・・・!」
まるで受け入れたくないとでも言いたげに
ウェリントン公爵が頭を振る。
ボナ「聞け・・・・!」
ナポレオンの怒号が、暗い夜に響き渡る。
「お前が何故、我を失ってしまったのかは
わからない。だが・・・」
「どうか軍人としての誇り高き精神まで
失ってくれるな・・・」
「人間の身体でなくなったとしても、
失ってくれるな・・・」
(・・・ナポレオン)
ジャン「・・・・・」
息遣いさえも聞こえそうな静寂の中
ウェリントン公爵が絞るように声を出した。
その瞳に、微かな熱が宿る。
ウェリ「・・・何故、今、そんなことを言う・・・」
「・・・・・お前を恨んでいないと俺は、
もう立っていることすらままならないのに・・・」
ボナ「・・・どういう、意味だ」
ウェリ「“常勝のナポレオン”を討てば、
不毛な戦いに終わりが訪れると思っていた」
「だが・・・それはただの幻想だった」
ボナ「・・・・」
ウェリントン公爵の瞳が、揺れる。
ウェリ「晩年まで俺は、苦しみ続けた。望んでも
望んでも平和で完璧な世の中を作る
ことは出来なかったからだ」
「・・・・なぁ、ナポレオン」
ボナ「・・・なんだ」
絶望の淵で叫んでいる様な声が夜に響いた。
「どこで俺は、間違えた・・・?」
「俺はどんな策を講じればよかった・・・?」
ウェリントン公爵が縋るように尋ねる。
「俺たちは、何のために戦っていた・・・?」
その問いかけは、あまりに切なく・・・・重い。
(・・・ナポレオンと、同じ瞳をしてる)
ボナ「いつもいつも、考えていた・・・・
『この戦いが終われば、平和が手に入る』」
「いつもいつも、願っていた・・・
『この戦いが、最後の戦いであってほしい』と」
「けど、そんなのただの綺麗ごとに過ぎない」
悠里「・・・・綺麗ごと?」
ボナ「ああ・・・・」
「戦いの最中で、たくさんの命を犠牲にしたのは
事実だからな」
(この人も、・・・・重い十字架を背負って
生き続けた人なんだ)
・・・・・
生きる時代は、誰にも選ぶことができない。
時代という不条理に翻弄されて、
戦い続けてきた彼が背負う宿命は、あまりに重い。
ボナ「・・・さあな。俺にもわからない」
ウェリ「・・・なん、だと」
ボナ「俺もお前と同じだ。ずっとずっと自分が
してきたことの意味を考えて来た」
「どこで俺は、間違えた・・・?」
「俺はどんな策を講じればよかった・・・?」
ナポレオンが切なく眉を寄せる。
「俺たちは、何のために戦っていた・・・?」
ウェリ「・・・・っ」
ボナ「考えても考えても、意味なんて
わからないままだ」
「ただ出来ることは――死んでいった者たちの
ために、“決して後悔しない”と誓うことだけだった」
あの夜、ふたりきりの屋根裏で星を見上げながら
聞いた声が蘇る。
悠里「・・・ナポレオンは、軍人として戦った
ことを後悔してる?」
ボナ「いや・・・・していない」
「俺は、一度だって軍人になったことは
後悔していない」
「――後悔するってことは、あの頃の自分を
否定するってことは」
「自分がしてきた事の全てから目を背けることだ」
「だから俺は後悔していない。・・・・
後悔は、絶対に、しない」
ウェリ「何の答えにもなっていない・・・っ」
「・・・・・俺は、意味を求めている!
自分が生きてきた意味が知りたい!」
ウェリントン公爵の瞳に、涙が滲む。
ボナ「・・・ウェリントン。夢物語だとお前は
笑うかもしれんが・・・」
「ついひと月前に、俺は俺たちが生きてきた
時代よりもはるか未来からやってきたという
女に出逢ってな」
え、言っちゃっていいの?
悠里「・・・・!!」
ウェリ「・・・・なにを、可笑しなことを」
ボナ「・・・まあ、最後まで聞け」
「その女が生きた時代では・・・街に24時間
灯りが点き、戦いがないそうだ。信じられないだろ?」
ナポレオンの瞳に、獰猛さが消え・・・
いつもの優しい色が宿る。
「その女が、俺にこう言ったんだ――」
「戦いがこれから先もなくなるとは断言できない。
だが・・・」
「俺たちが戦った先の時代で、自分は生きてきた」
「俺たちが戦った未来の上に、きっと平和は
あるんだと思いたいと」
(それ・・・・・)
悠里「ナポレオンが、ナポレオンたちが
戦った先の時代で、私は生きて来たよ」
「ナポレオンたちが戦った未来の上に
きっと平和があるんだよ」
ボナ「・・・・っ」
悠里「綺麗ごとかもしれないけど、そう思ったって
いいでしょ・・・?」
ボナ「――俺にはなかった考えだ。――・・・だが」
「悪くない」
ナポレオンがウェリントン公爵の喉元に
突き付けていた剣をすっと下ろす。
「・・・綺麗ごとかもしれない。だが――
俺は“そうであったらいい”と思った」
「・・・その言葉に、縋っても良いのでは
ないかと、思ったんだ」
(・・・そんなことを、考えてくれてたの?)
ジャン「・・・・・・」
ウェリントン公爵の瞳から零れ落ちた
涙が、地面を濡らしていく。
ボナ「過去の記憶も、涙も、罪も、喜びも
決して消えることはない」
「はっきりした意味などわからない。
だからこそ全部抱えたまま、生きていく」
「――あがきながら、もがきながら
生きていく。それじゃ・・・だめか?」
ウェリ「・・・っ」
ウェリントン公爵は涙をぽろぽろとこぼしながら
立ち上がると頭を抑えて慟哭した。
「――・・・俺はそんな理想論を受け入れられない。
受け入れたくない・・・!」
「俺たちの最期に似合いなのは希望でも
ない、光でもない」
叫んだ瞬間、ナポレオンのシャツを
ぐっと掴み・・・、
ボナ「・・・・!?」
ウェリ「――悲惨な、終焉だ」
そのまま崖の下に引きずり込んだ・・・――
えっ、えー・・・・。マジか。
悠里「ナポレオン・・・・!!」
・・・・・・
ああ、まだ終わってなかったミッションや。
衣装を買えと、この急展開な時に。
プレミアムは王冠付き豪華ドレスです。
ダイヤ900個で購入の一択。
へえこの急展開で待ってるプレミアストって
どんな感じやろか。気になる。
ノーマルは帽子付きシックなドレス。
こちらはコイン220000枚か
ダイヤ450枚で購入可能。
なんかどんどん高くなってね?
まあ、こちらは買える。
とりあえず進もうか。