眠らぬ街のシデレラ 廣瀬遼一編 ② | 蜜柑のブログ

蜜柑のブログ

私が密かにハマってるアプリのまとめ。

自分が選択したそのままを載せてるので

ご了承ください。

(あとで確認次第、修正する予定です)

 ※申請した後にメッセ
 送ってもらってもOKです。

無言申請は無効になります。

「どうした?気になるのあったか?」

「あ、えーと・・・・」

店員「こちらなんか人気ですよ」

「ふたつ合わせるとひとつのデザインに
 なるんです」

悠里「わあ、可愛い・・・」

「でも遼一さん、私、お義母さんから
 いただいたのがありますよ」

遼一「あれは派手過ぎて、政治記者のお前は
   つけられないでしょ」

悠里「確かに・・・・シンプルなデザインが   
   いいですね」

遼一「俺もあんまり派手だと仕事の邪魔に
   なるし、そのほうがありがたいな」

店員「シンプルなものですと・・・」

店員さんがショーケースから出してくれる

指輪から、遼一さんへと視線を移す。

(執筆中もつけてくれるんだ・・・
 嬉しいな)

(遼一さんとおそろいの指輪が)

(左手の薬指にもある・・・って想像する
 だけで、幸せかも)

その後無事に、お互いが気に入る指輪を

予約し・・・





幸せな気持ちのまま帰宅すると

遼一さんが書斎へと入っていく。

戻って来たその手には、一枚の紙が

握られていた。

遼一「俺もまだ記入してないから
   一緒に書こうぜ」

なんかカワエエなここ。

悠里「・・・・!」

『婚姻届』と書かれた紙を、遼一さんが

テーブルに広げた。

悠里「い、いつの間に・・・!」

遼一「昨日打ち合わせに行ったとき」

「区役所の近くまで行ったから
 ついでに貰って来た」

婚姻届を凝視する私を笑いながら

遼一さんが頭を撫でる。

遼一「何よ」

悠里「こっ、こういうのはもらいに行くぞ!
   っていう心構えをしてから」

もう主人公の凝り固まったイメージ
誰か壊してくれw


遼一「お前はどんだけ心構えするつもりなの」

「いいからほら、気楽にササっと
 書きなさい」





・・・・・・・




「いいからほら、気楽にササっと
 書きなさい」




選択)

A 気楽になんて無理→選択

B 遼一さんから書いて

C 覚悟を決めて書く





「気楽になんて無理ですよ・・・!
 一生に一度のものですよ?!」

まあ、一度になるか二度になるかは
わからんが。


遼一「まあ、お前ならそう言うと
   思ってたわ」

「んじゃ、俺が先にお手本を見せましょうかね」

ペンを取り、遼一さんが『夫になる人』の欄に

サラサラと記入していく。

(それにしても、結婚指輪に婚姻届・・・
 なんだか、だんだん実感わいてきた)

緊張しながら、私も『妻になる人』の欄に

自分の名前や住所などを書き終える。





悠里「ふう・・・!一仕事終えた・・・!」

書いただけだろ。

遼一「お疲れさん」

悠里「あとは証人の欄ですね。私、お父さんから
   もらっておきます」

「挙式の前に一度実家に行こうと
 思ってたから」

遼一「わかった。うちは・・・」

別に会社の同僚でもいいんだぞ。

悠里「・・・お義父さん、サインして
   くれませんかね?」

遼一「どうかねえ」

「仕事も忙しいだろうし、なかなか
 タイミングも合わないだろうな」

「別にお袋でもいいし、大丈夫じゃない?」

悠里「そう・・・ですよね・・・」

(もちろん、お義母さんが書いて
 くれるならありがたいけど)

(・・遼一さんはやっぱり、お義父さんに
 頼むのが嫌なのかな)

和解したとはいえ、きっとお互い

まだ完全ではない。

遼一さんとお義父さんとの間に

見えない壁を感じて、

モヤモヤしてしまう私だった。






信頼度、100でした。ちょっとムズくないか?


・・・・・






数日後、お義母さんから連絡をもらい

仕事が終わったあと遼一さんの実家に

寄った。





恵子「お仕事で疲れてるのにごめんなさいね」

悠里「とんでもないです。でも
   お話って・・・」

恵子「遼一から聞いたわ。神前式にしたって」

悠里「はい。私がそうしかったんです」

「神前式には」

「家と家を繋げる、とか、絆っていう
 意味があるって知ったんです」

「そういうのを大事にしたいなと思って」

恵子「そう・・・悠里さんがそう決めて   
   くれたのなら、嬉しいわ」

「廣瀬家は代々神前式と言ったでしょう」

「実はね、打掛も代々着ているものがあるの」

はい出てきました打掛。

私が来る前に出しておいてくれたのか

リビングの片隅に見事な打掛が

飾られている。

「もし嫌でなければ、着てもらえないかな
 と思って」

うん、ここまで言われると着ざるを得ない。

悠里「すごく素敵な打掛・・・!私が
   着させてもらってもいいんですか?」

恵子「もちろん。遼一のお嫁さんに
   なる人だもの」

「指輪といい打掛といい、あれこれ
 押し付けちゃってごめんなさいね」

悠里「とんでもないです。嬉しいです!」

「あ、でも指輪は・・・豪華すぎて
 普段付けられそうになくて」

それ、言うの?

恵子「いいのよ、もらってくれた
   だけで」

「確かにあれ、普段からつけるような
 デザインじゃないものね」

大人だ。

悠里「ここぞってときにつけさせて 
   ください」

恵子「ええ。ふたりの結婚指輪は
   もう決めたの?」




・・・・




「ふたりの結婚指輪はもう決めたの?」

悠里「はい。この前遼一さんと一緒に
   見に行って」

「あ・・・それでそのとき、婚姻届も
 書いたんですけど」

遼一さんはお義父さんではなく

お義母さんに証人欄にサインして

もらうつもりだと告げると

お義母さんは困ったように苦笑した。

恵子「本当にもう、あの子は・・・
   いつまでも反抗期のままなんだから」

悠里「反抗期?」

恵子「似てると思わない?父親が嫌いだ
   苦手だって逃げ回ってるの」

「まあ、それを言ったらあの人も
 似たようなものだけど」

悠里「やっぱり、お義父さんも遼一さんを
   避けてるんですか・・・?」

恵子「避けてるというか、話が合わないとは
   思ってるみたい」

「何しろ正反対の性格だから」

「でも正反対だからこそ、一緒にいると
 楽しいのにねぇ」

(確かに、お義母さんの性格は)

(どっちかっていうと遼一さんに
 似てる・・・)

(お義母さんと愛し合って結婚したんだし)

(何かきっかけさえあれば遼一さんも・・・)

悠里「ふふ・・・それにしても」

「遼一さんのことを『反抗期』なんて
 言えるの、お義母さんくらいですね」

恵子「もうねえ意地を張ってるのを
   見るのがもどかしくて」

「それがもう10年くらい続いているだから。
 そろそろ歩み寄ればいいのに」

「あの人だってせっかくのおめでたい
 ことなんだし」

「手放しに祝ってあげればいいのにね」

悠里「式に来ていただけるだけでも
   ありがたいです」

「この間はうちの親にも会って
 いただいたし・・・」

「お義父さん、お忙しいのに」

恵子「当然じゃない。それも拒否するなら
   私が引っ張ってでも連れていくわ」




・・・・




頼もしいお義母さんの言葉と同時に

家の電話が鳴った。

恵子「あら、ちょっといいかしr」

悠里「はい、どうぞ」

近くにあった子機を手に取り

お義母さんが電話に出る。

「もしもし廣瀬です。あら、あなた?」

「ええ。今ちょうど悠里さんが来てて」

「・・・え?」

こちらを見て笑顔だったお義母さんの

表情が、はっきりと曇る。

「・・・わかったわ。悠里さんに代わります」

「悠里さん・・・あの人からなんだけど
 出てもらっていい?」

悠里「はい・・・」

(なんだろう・・・?何かあったのかな)





「はい、悠里です」

『悠里さん、急にすまないね』

『実は結婚式当日に』

『地方へ行かなければならない仕事が
 入ってしまったんだ』

ああ、仕事優先なのは仕方ない。

悠里「え・・・!」

『申し訳ない。どうしても変更が
 できなくてね』

「そう・・・ですか・・・」

「でも大変なお仕事だというのは、
 私も遼一さんもわかってますから・・・」

『ああ。そう言ってもらええると
 助かるよ』

突然のことに半ば呆然としたまま

電話を切る。

恵子「ごめんなさいね・・・せっかく
   早めに連絡してくれたのに」

「すごく淡々としてたでしょう?」

「でもね、本当は誰よりも楽しみにしてたの」

「わざと仕事を入れた訳じゃない
 ことだけは、わかってあげて」

悠里「もちろんです。そんな風に
   思ったりしません」

「でも・・・すごく残念だなって」

恵子「そうね・・・きっとあの人も
   出たかったでしょうね」

(大臣の代わりはいない・・・
 仕事なら仕方ない)

(でも・・・遼一さんのお父さんに
 だって、代わりはいないのに)

打掛はあとで取りに来ると

お義母さんに断り、遼一さんの実家を出る。

お義父さんが式に来れない――
 

 

 



その事実を遼一さんにどう切り出そうかと

考えながら・・・