眠らぬ街のシンデレラ 廣瀬遼一編 「変わっていく環境」 | 蜜柑のブログ

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私が密かにハマってるアプリのまとめ。

自分が選択したそのままを載せてるので

ご了承ください。

(あとで確認次第、修正する予定です)

 ※申請した後にメッセ
 送ってもらってもOKです。

無言申請は無効になります。

私の休みに合わせて、遼一さんも

時間を空けてくれた週末。

カタログから選んだブライダルショップに

予約を取り、いくつか式場を

見せてもらうことになった。

悠里「提携してるドレスショップも
   紹介してくれるそうです!」

遼一「へえ、楽しみだねぇ」

悠里「あ・・・そういえば、協会の挙式で
   いいですか?」

遼一「言ったでしょ。お前が喜ぶのが
   一番だって」

「それにしても、ドレスか・・・
 出来れば脱ぎ着しやすいのが
 いいよな」

それ普通に声に出して言うかね。

悠里「大丈夫ですよ」

意味分かって大丈夫って言ってんのか?

「ひとりで着ることはないですから。
 ちゃんとお手伝いしてくれる人が・・・」

遼一「いや、俺が脱がせられないと
   困るでしょ」

やっぱり。

「着るのはもちろん手伝うけど、それで
 挙式に間に合わないと困るしねぇ」

悠里「どこで脱がせるつもりですか・・・?!」

「っていうか、なんで脱がせる前提
 なんですか!」

遼一「純白のドレスを乱すのって
   背徳感あるよな」

悠里「話を聞いてください!」

遼一「でも脱がしにくいほうが焦らされてる
   感じがして燃えるか」

悠里「ダメだ、全然聞いてくれてない・・・!」

散々からかわれながらも

ブライダルショップへ向かっていると

思うと心が弾むのだった。








いろいろと見て回り

ひとまず今日の見学を終えて

近くのカフェでひと息つく。

遼一「ずいぶん写真撮ってたねえ」

悠里「はい。せっかくなら細かいところも
   比べて検討しようと思って」

「取材の時と同じくらい夢中で
 撮ったかも」

遼一「ハハッ、すごい熱量だったもんな」





・・・・・
 

 

 

 



デジカメで撮った写真を

プレビュー機能で見ながら

もらってきたカタログを広げる。

悠里「ここは、家にあるカタログと
   ちょっと違いましたね」

遼一「俺が集めたやつは、いろんな式場を
   紹介するやつだったからな」

「やっぱりその場所専用のカタログだと」

「もっと詳しいこと書いてるでしょ」

悠里「はい。行ってみてよかったです」

「でも・・・こっちとこれなら、ここの
 ほうが景色がよかったなあ」

「あ、だけどこれとこれだと
 こっちのほうが・・・」

遼一「あっちこっち大変だねえ」

笑いながらも微笑ましそうに

私を眺め、遼一さんがコーヒーの

カップに口をつける。

「ま、そう急がなくてもいいでしょ」

「まだ見たい式場はいくつかあるんだろ?」

悠里「はい!気になるドレスショップも
   あるんです」

「そういえば遼一さん、次のオフって
 いつですか?」

遼一「ん?別にお前に合わせるけど」

「他のブライダルショップが気になるなら
 先に予約を入れて・・・」

悠里「あ、違うんです。遼一さんの実家に
   伺いたいなって」

遼一「うちに?なんで?」

明らかに嫌がってる小説家。

悠里「結婚の報告というか・・・
   改めてごあいさつに」

遼一「悠里の両親にだけでいいでしょ」

「うちとはもう何度か会ってるし」

悠里「そういうわけにはいきませんよ。
   こういうことはちゃんとしないと」

「式の日取りとか招待客のことも
 話さないといけないし」

遼一「そうねえ・・・」





・・・・





「式の日取りとか招待客のことも
 話さないといけないし」

「そうねえ・・・」

悠里「大臣・・・おとうさんはお忙しい
   方だから」

「先に言っておかないと予定も
 立ちませんよね?」

遼一「ああ・・・」

突然口数が少なくなった遼一さんを

そっと観察する。

(お義父さんの話題を出したら、きっと
 こうなるだろうなとは思ったけど)

(両親へのあいさつの話を切り出したときも)

(うちの親のことしか言ってなかったもんなあ・・・)

ずっと確執があった遼一さんと

お義父さんは、以前の副大臣の件で

少しだけ歩み寄れた。

数年ぶりに遼一さんは実家に顔を出し

お義父さんともちゃんと会話

できたのだった。

(でもだからと言って、完全に和解した
 わけじゃないんだよね)

(まだ微妙な空気感というか・・・
 お互い距離を測りかねてるような)

遼一「うちより悠里の方の都合を
   聞いといた方がいいんじゃないの?」

「遠方だし、行くとしたらお互いの
 都合を合わせなきゃならないだろ」

悠里「そうですね・・・うち九州ですからね」

 

「でも」

「だったらやっぱり、遼一さんの家への
 あいさつが先のほうがいいですよ」

都内だし、私たちも九州よりは

ずっと行きやすい。

遼一「そうねえ・・・まあ仕方ないか」

気が進まないのか

遼一さんはコーヒーを口につけたあと

少しだけ苦そうな顔をした。




・・・・

 




家に帰ってきて食事を済ませ

寝るまでまったり過ごすことにした。

ソファに並んで座りながらテレビを

見ていると、『書店員が勧めるベスト3』の

テロップが流れる。

悠里「あ、決まったんですね、これ」

遼一「今年はなんの作品かねえ」

司会者『まずは第3位!以前世間を
    騒がせた、小泉雄大先生の・・・』

悠里「えっ!」

遼一「へえ」

テレビには『小泉雄大』と著書が

書かれた新作小説と小泉先生の

写真が映し出される。

悠里「小泉先生・・・選ばれたんですね」

遼一「ああ」

遼一さんの横顔に

あのときのことが蘇る・・・






小泉「俺は好きな小説を書くんだ!
   お前なんか意識せずに!」

遼一「小泉先生、悔しいなら
   作品で勝負を」

小泉「・・・!」

遼一「俺はいつでも受けて立ちますよ」

「ライバルがいないと、勝負ってのは
 おもしろくない」

小泉「ライバル・・・」




(・・・あの時は本当に許せないと
 思ったけど)

(でも・・・小泉先生も
 追い詰められていたんだろうな)

そしてあのとき遼一さんが言った通り

小泉先生は再び戻って来た。

自分の作品で勝負するため。

遼一さんのライバルになるために。

司会者『なんと今回の小泉先生の作品は
    ホラー!』

『“ポスト廣瀬”と言われていた頃は
 恋愛小説を主に書かれていましたが』

遼一「ホラーか。これが、小泉が本当に
   書きたいものだったんだろうな」





・・・・・





「ホラーか。これが、小泉が本当に
   書きたいものだったんだろうな」

悠里「そうなんですね・・・」

「でも『ポスト廣瀬』って言われて
 恋愛小説しか書かせてもらえなくて」

「つらかったでしょうね。
 書きたいものが書けないなんて」

遼一「お前ね、あいつに何されたか
   忘れた訳じゃないだろうな」

悠里「もちろん覚えてますよ。でも
   結果的には大丈夫でしたから」

遼一「まあそうだけどな・・・」

「・・・あのときは、怖い思いさせて
 悪かった」

悠里「遼一さん・・・」



選択)

A もう忘れました

B ありがとう→選択

C 信じてた




「助けに来てくれて、
 ありがとうございます」

遼一「俺のせいなんだから、お前が
   礼言うことなんてないでしょ」

悠里「遼一さんのせいじゃないです。
   私がうかつだったせいで」

「小泉先生に盗作する機会を
 与えたのは、私自身ですから」

「むしろ私の方が、遼一さんに迷惑を
 かけちゃって」

遼一「済んだことだろ」

悠里「でもよかったです、小泉先生も
   前に進んでるんですね」

遼一「そうだな」

きっと、会ってもまだお互い笑顔には

なれないだろう。

でもなぜかほんの少しだけ

気持ちが軽くなるような気がした。





信頼度100でした。


・・・・




翌日、皐月さんたちに連絡をして

集まってもらい、

改めて結婚の報告をした。

遼一「となるわけで、正式に俺の嫁になるから」

「君たちは今後」

「今まで以上に悠里にはちょっかいを
 かけないように」

と、ここで宣言する小説家。

ゆづき「何が『君たち』だ」

残念だな、冗談言い合う仲間が減って。

千早「安心して。僕は人妻でも構わないから」

うおっ、千早さんが言うとリアルやわ。

皐月「そうだな。人妻の悠里さんも
   それはそれで・・・」

遼一枠に皐月さんまで入って来た。

遼一「千早さんは通常営業でも
   皐月さんまで何言ってんの」

ノエル「おめでとう、遼一。悠里」

唯一まともなノエル。

悠里「ありがとうございます」

遼一「ありがとさん。この中で一番
   まともなのはノエルだったか」

ゆづき「何言ってんだよ、ノエルだって
    男だぞ」

「人妻の悠里、そそられるだろ!なあ?」

お前と一緒にすな。

悠里「大きい声で何言ってるんですか!」

ノエル「・・・・・」

あっ、えっ・・・。何想像してんのノエル。









悠里「ノエルさんも・・・!」

遼一「はあ・・まともなのは響だけか?」

現役大学生がまだ出てきてない。

響「・・・・・」

おいおいおいおい、ちょっと待てww







未来「ざんねーん」

とか言ってるから全員アウト。

「響くんも人妻の悠里ちゃんを想像して
 照れちゃってまーす」

悠里「待って・・・!みなさん
   人妻の私を想像するって?!」

千早「だからほら、裸エプロ・・・」

笑顔で言うな!








遼一「はいはい、そこまで」

「うちの嫁でいかがわいい想像
 しないでくれる?」

抱き寄せられて、恥ずかしくも嬉しい。

(みんなのこういうの、冗談だって
 わかってるから楽しいな)

いや冗談じゃないって。

(本当にお祝いしてくれてるのが
 ちゃんと伝わってくる)

主人公大丈夫か?

皐月「それにしても、遼一が一番乗りとは」

ゆづき「結婚なんて一生しねーとか
    言ってたくせにな」

遼一「そんな頃もあったねえ」