緑ゆたかな夏めく季節となりました。
大陸では『维和防暴队/維和防暴隊』、日本では来月公開の『长空之王/ボーン・トゥ・フライ』と、主演映画の話題はどんどん進んでいます。
『ボーン・トゥ・フライ』は、NHK教育テレビ「中国語ナビ」でも紹介されるとのこと。
「中国語ナビ」(6)数字 / 王一博・主演最新作
初回放送日:2024年5月15日
『ボーン・トゥ・フライ』公式HP
そして、「映画前売り券付きブロマイド」(Yiboくん ver. 絵柄ランダム2種)も発売!
ムビチケは『無名』の時に後出しを経験したので、今回は様子を見ていました。
こちらを購入しようかしら。
「コンビニのマルチコピー機でお受け取り」は、超アナログ人間には難関なのですけれど。
* * *
さて、ゴールデンウィーク最終日に、ひさしぶりのライヴ遠征(一泊旅行)に行ってまいりました。
ライヴといっても、映画『无名/無名』の鑑賞です。
もちろん、ご本人は不在。
舞台挨拶があるわけでもなく、そんなことで遠征? と。
酔狂と思われてもしかたありませんね。
思い起こせば、昨年のクリスマスシーズン。
ムビチケの存在すら知らなかった私は、『無名』のムビチケ…最初に発売された特典付き…を買うことができませんでした。
これはファンの皆様ならご存じですが、ネットでは発売同時に売り切れ。
劇場窓口でも売り切れのところが続出でした。
幸いなことに、20年近くのおつきあいになる一緒にライヴ遠征をしていたお友だちが、地元の映画館に出向き、購入してくれました。
「せっかくだから、ひさしぶりに遠征しようかしら…」と、そのお友だち、Sさんの地元に出かけることに。
私自身は平日でも出かけられる身、当然、人の出が多いゴールデンウィークは避けたい。
でも、シニアわんこがいるので、家人が休みを取ることができる日ということで、連休を1日延ばしてもらいました。
移動手段のチケットも発売日に買いに走りました。
この時には『無名』の上映時刻も回数もわかっていなかったので、とにかく、朝いちばんの回の上映でも間に合うように出発することにしました。
上映館のどのシアター室になるかも不明で、いちばん小さな部屋ならば数十席と聞き、見逃すリスクは避けたいと。
朝は苦手なものですから、上映時刻が発表になり、そこまで急がなくてもよいとわかって、便を遅らせようと思いました。
けれど、遠征の鉄則その1、「眠い目をこすりつつも余裕をもって現地に赴く」を思い出し、頑張ってその便で発つことに。
現地では、とても心強い、“遠征” の達人である Sさんのアテンド。
ホテルまで迎えにきてくれて、開館まもない映画館に直行。
上映時間の2時間も前に入りました。
というのも、Sさんが「人がいないうちに写真撮影をしましょう」と。
テーブルにも独占 NG の注意書きがありましたが、Yiboくんの写真が貼られたこのブース、Sさんが訪れた初日は順番待ちだったそうです。
ただでさえ、写真嫌いの私。
うつくしい Yiboくんは眺めているほうがよく、一緒に写り込むなど、もってのほか。
なのに、Sさんがとても手際がよくて、自分の代わりに写真に入れようと、ぼーちゃん人形を取り出しているところを、さっと撮ってくれました。
たしかに、うれしい記念写真~☆
でも、やはり、私はこちらのほうが落ちつきます。
この劇場にはコラボドリンクがありました。
その名も “信頼と裏切りのスパイノワールジンジャー”。
ジンジャーエールに近いお味で、おいしくいただきました。
なるほど、この時間帯はお客様も皆無。
『無名』Yiboくんを貸し切り状態で眺めながら、ひさしぶりにお目にかかった Sさんと、しばしの歓談。
とても贅沢な時間を過ごしました。
1時間ほどして、何人か入っていらしたので、Sさんに導かれるまま、お席を移動しました。
こちらのブースは、美術館などでプロジェクションマッピングするような空間で、白壁に映像を映せるようになっています。
片隅に一組のテーブルと椅子があり、そちらでお喋りの続きを。
しばらくすると、上映予定の映画の予告映像が映し出されました。
さすが、Sさん! その中にはもちろん『無名』もありました。
壁にダイレクトに映される画面は、また趣がちがいます。
Sさんのおかげで、貴重な経験をすることができました。
この日、私たちは第1回上映と第3回上映の2回、『無名』を見ました。
私の地元のミニシアターと異なり、スクリーンも音響もデジタルでクリア。
しかも、とても見やすい、私好みのお席を、Sさんがしっかり予約しておいてくれました。
上映後には、入場者プレゼントとして、大判のポストカードをいただきました。
デザインは3種類あり、私がいただいたのは、こちらの二葉。
私は既に、英語字幕の韓国版 Blu-ray で1回、地元の劇場で1回、計2回見ていましたが、幾つか「?」がありました。
それらの疑問が、こちらでの1回目の鑑賞、通算3回目にしてすべて解けました。
こちらでの2回目の鑑賞は、そうした謎が解けた目で、確認するように細かく、Yiboくんやトニーさんの演技を見ました。
いちばん見方が変わったのは、トラックの上での Yiboくんの指ピストルのシーン。
より深く理解できました。
Yiboくんの演技が絶賛された意味も、これまで以上にわかりました。
ここのふたりの演技、表情の複雑な細やかさを、私はほんとうには見ていなかった。
Yiboくんが語ったトニーさんの表情筋の使い方のすばらしさも、とてもよくわかりました。
そして、このあとのストーリー展開でのふたりの演技、それに対する私の感想も深まりました。
Blu-ray で見た時にも、指ピストルのシーンで終わらず、その後の展開があることが、この映画の作品価値を高めていると思いましたけれど、もっと、もっと、深いものを感じることができました。
私が Yiboくんのように即学ができ、クレバーならば、初見で感じることができたでしょうね。
ずいぶんと時間がかかってしまいました。
番宣などで役柄を問われると、Yiboくんはあまり細かく答えませんね。
そのことを、語彙力がないとか、表現力がないと、揶揄する方もいらっしゃいます。
でも、彼は「作品を見て、それぞれが感じてほしい」と、よく言っています。
それだけのものを演じた自信があるからでしょう。
全身全霊で演じたものを、ふさわしい真摯で受け取る観客。
作者が身を削って創り出す “芸術” を愛する者として、私はつねに、そうした鑑賞者でありたい。
ですから、時間はかかりましたが、理解することができて、すっきり。
こうした満足は、狭量な自己満足かもしれませんけれど、心を潤し、ゆたかにしてくれるので、結果的には寛容な気持にしてくれます。
思いきって、遠征に出てよかった!
この映画の鑑賞は、程耳監督に対峙することと、ずっと思ってきました。
過去と現在を行き来しながら、小さなピースがつながって、一つひとつの謎の答えが浮きあがってくる。
スリリングなスパイ・ノアールを、よりスリリングに演出する。
そうした作品構成が、とてもすばらしかったです。
程耳監督が金鶏賞で、最優秀監督賞(最佳导演)とともに、最優秀編集賞(最佳剪辑)も受賞されたこと、あらためて納得しました。
心地よい緊張感で作り手と対峙させてくれる。
これが芸術鑑賞の愉しみと、しみじみ感じました。
これほど深く取り組みたいと思った映画作品は、タルコフスキー以来かもしれません。
次回作『人魚』も、とても期待しています。
映画『無名』についての私の感想は、最後に記します。
まずは、“遠征” の記録を。
食事の記録のみになってしまいましたが、ただ、ひたすら『無名』の余韻を漂っておりましたので、おゆるしください。
* * *
夕食は、Sさんが、ゆっくりと過ごすことができるビストロ風のフレンチレストランを予約しておいてくれました。
ここから旅の終わりまで、『無名』の余韻を壊さない、いえ、ずっと余韻を心地よく漂ったたまま過ごすことができたのは、Sさんの心遣いのおかげです。
さすが推し活の達人、何から何まで感服のアテンドでした。
第1回と第3回の上映の間に、遅めのランチでパスタをいただいていたので、いちばん品数の少ないコースの軽めのディナーにしました。(お昼のパスタもおいしく、お店も静かでくつろげました)
アペリティフのおつまみは、トマトと生ハム。
アルコールは苦手なふたりでしたので、マダムおススメのオレンジ炭酸ジュースを。
前菜は、スモークサーモンをチョイス。
スープは、カリフラワーのクリームスープ。メインは軽めに、真鯛のポアレ。
今回は、ちゃんと自分ですべて写真を撮りましたが、グルメブログでもないのに全部載せても…ですので、他のお写真は自分のアルバムにおさめておきます。
そして、デザートのクレームブリュレ。
お皿に描かれた “うさぎさん” にびっくりして、写真のピントも “うさぎさん” に。
だって、Sさんも、お隣のフランス人カップルも、お皿にはクマさんが描かれていたのですもの!
にっこり微笑むうさぎを見下ろすぼーちゃんに、思わず Sさんと笑ってしまいました。
ゴールデンウィーク中は、ずっとめぐまれたお天気でしたが、この日は 90%という雨の予報。
それでも、晴れ女のパワーを信じて、大きめの折りたたみ傘ではなく、超軽量の晴雨兼用折りたたみ傘を持参しました。
日中は降られることもなく、レストランを出る頃にパラパラと雨が。
でも、Sさんは素晴らしい。
作中、雨のシーンが多かったから、「雨も、また、よし」と。
晴れ女のパワーなどと言っていて、誠に羞恥です。
翌日に行きたいところを尋ねられるも、最近、すっかり欲のなくなってしまった私。
こどもの頃は母のお供で、学生時代は専攻の勉強の一環で、しばしば訪れている地。
当時は観光客も少なく、一般公開されていた場所もずっと多かったので、訪れたいところと言われても、何も浮かばないのです。
今、あらためて訪ねたり、見学したりすれば、過去とは異なる新しい発見や感動があると思います。
ただ、この旅の目的を考えれば、そうした心の動きの余地も、すべて『無名』にあてたい。
引き続き、Sさんにすべてお任せすることにしました。
そうしたら、朝のおめざは、なんと、ナポレオンパイ。
一夜明けても、『無名』の余韻が続いていました。
冬ならば、ブルーベリーもあるようでした。
こちらの贅沢ないちごも季節限定。
とてもおいしかったです。
静かな店内で、積もるお話。
ひさしぶりにお目にかかる友との会話は、尽きることがありません。
話題はあちらこちらに自由に飛んで、愉しいお時間を過ごしました。
『無名』の余韻をなぞる旅。
でしたら、最後も中華で締めましょう、と、Sさんのご案内で小籠包のお店に。
たまには、ぼーちゃんの後ろ姿も。
なつかしいお味の愛玉子(オーギョーチ)
これぞ、“遠征” ですね。
目的を外さない、『無名』の余韻を堪能する、濃密な旅になりました。
Sさんに感謝!
帰宅して、新茶でいただいたおみやげの和菓子。
連れまわしたぼーちゃんは、きれいに消毒しました。
くるんでいたパンダのブレードのタオルハンカチもお洗濯に。
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これから、映画『無名』についての感想を…と思いましたら、初めての文字数制限。
「私の感想」は、次のブログに記します。