先日、句友が横浜を訪ねてくださり、柄にもなく幹事をしました。

ランチは定番の中華街、重慶茶樓。

1月と2月は、デザートに湯圓(Tāng Yuán)があるのです。

 

何回でもいただきたい重慶茶樓の湯圓!

と~ってもおいしい。

句友の皆様にも、ぜひ召しあがっていただきたくて。

 

ならば、と、句会の季題も「元宵節(げんしょうせつ)」にしました。

 

元宵節は、お正月の望の日(旧暦1月15日。満月の日)を祝う中華圏のお祭り。

アジアの国の多くが現在も旧暦を使い、春節に新年を迎えます。

 

元宵節は日本の小正月(新暦1月15日)にあたります。

日本では明治時代に西洋の新暦を採用したため、新暦の日付に旧暦の風習を嵌め込むという不自然な暦となってしまいました。

 

俳句の季語を見ればよくわかりますが、すべてを新暦の日に置き換えたわけではなく、旧暦の日付のまま新暦に取り入れたものもあります。

 

本年2023年の春節は新暦1月20日。元宵節は2月5日でした。

「元宵節」は、季語「上元(じょうげん)」の傍題季語。

「上元」は旧暦1月15日の名称。

旧暦7月15日の「中元」、旧暦10月15日の「下元」と、1年を3つに分けた雑節「三元」のひとつです。

 

日本大歳時記(第一刷)は、長崎県の崇福寺(そうふくじ)の元宵祭を、「崇福寺の各御堂一杯に朱蝋燭が林立する様は美事である」と記しています。

仏教が中国に伝わり、元宵節に各寺院で仏具の灯明を灯していたものが、時代とともに宗教的な意味合いが薄れ、提灯を灯すようになったそうです。

 

中国の飾り提灯の歴史は唐時代に遡り、春節に飾られる紅灯籠や、花を模した骨組みのない針刺無骨花燈、魚を模した魚灯籠など、見ているだけで、わくわくしてくる華やかさ。

 

『陳情令』の潭州の街の飾り提灯、そして風流な懐桑が「絶世の麗人」「凛とした貴公子」と謳った藍湛、ほんとうにきれいでしたね。

 

元宵節には元宵(Yuán Xiāo)を食べる習慣があります。

といっても、私はこのことを彼らを知って初めて知りました。

重慶茶樓でもそうですが、湯圓をいただくものと思っていました。

 

今年の重慶茶樓の湯圓の説明にも、「春節を祝い元宵節にいただく、縁起の良い温かなデザート」と、書かれています。

 

実は、元宵と湯圓は似て非なるもの、なのだそうで、この違いについて、とてもわかりやすい説明がありました。

 

 CRI online

 元宵節のお団子「元宵」と「湯圓」どう違う? 専門家に聞きました

 

では、なぜ、重慶茶樓では湯圓?

「四川では元宵も湯圓と称し、春節に食す」のだとか。

地方によってさまざまなのは、いずこも同じですね。

 

難しいことは別にして、この重慶茶樓の湯圓、とても、とてもおいしいのです。

 

句友たちは見るのもいただくのも初めてでしたが、ほんとうに跳び上がったのかと一瞬目を疑ったくらいの派手なリアクションで、大興奮でした。

他のお料理も紹興酒も、お口に合ったようでよかったです。

 

 

* * *  みどりのカメくんをお連れしました  * * *

 

ぷるぷるモチモチのお団子の中には、ほんの少し黒ごま餡が入っています。

これも香ばしくて、おいしい。

シロップは、元町ラ・テイエールのフレーバーティーシロップ。

 

モダンな重慶飯店らしい、とってもおしゃれなお味。

リピートしたくなる私のキモチ、句友たちにもご納得いただきました。

 

2月もあと10日ほどですが、もう1回行きたいと思っています。

さて、どなたをお誘いいたしましょう?

親しい友は皆、すでにお誘いしてしまいました。

 

日本では、小正月に小豆粥をいただきますね。

旧暦の行事を新暦に取り入れたため、小正月は新暦1月15日。

この日を示す季語は、

 小正月 : 望正月・望年・若年・若正月・二番正月・小年・花正月・女正月

 小豆粥 : 十五日粥・望の粥・(粥柱・粥杖)

 左義長 : どんど・吉書揚・飾焚く・若火・爆竹

 上元 : 元宵祭・元宵節・元宵・上元会・元夕・祈福祭・蝋燭替 

その他、各地方のお祭りに由来するものが多くあります。

 

などとまとめ、湯圓をいただく会から、どうにか俳句会らしい着地となりました。

 

ところで、元宵と湯圓の件で覗いたCRI onlineに、「注目の映画新作 2023年1月Vol.1」(2023.1.7)という記事があり、「国産編」として『満江紅(Full River Red)』を、「洋画編」として『無名(Hidden Blade)』を紹介していました。

 

『無名』は昨日2月17日に、アメリカ・カナダでの上映が始まったそうですが、「洋画編」ということは、初めからインターナショナルな作品という位置づけだったのでしょうか。

 

トニー・レオンは「世界のTony Leung」ですし、ヨーロッパで評価の高い程耳監督作ですから、それもふしぎではありません。

そして、遠くない未来、世界の Wang Yibo の第一歩として、今日この日を思い出すことになるのかもしれません。

 

思い起こせば、『アナザー・カントリー』(1984年)のジャッド役でコリン・ファースが好きになり、『眺めのいい部屋』(1986年)のシシル役でダニエル・デイ=ルイスが好きになった時、彼らが世界的なスター俳優になるとは思ってもいませんでした。

 

余談ですが、ダニエル・デイ=ルイス出演作品で私がいちばん好きなのは『マイ・ビューティフル・ランドレット』。

コリン・ファース出演作品では『ひと月の夏』と『シングルマン』が甲乙つけがたいです。

『シングルマン』はトム・フォードの映画初監督作品で、ファッションはもちろん、セットも調度品も建築物も、とてもすてき。

 

ご覧になった方はおわかりですが、『マイ・ビューティフル・ランドレット』のダニエル・デイ=ルイスの役も、『シングルマン』のコリン・ファースの役もゲイ。

『アナザー・カントリー』の主人公も、『ひと月の夏』の登場人物でケネス・ブラナーが演じた考古学者もゲイです。

すべて偶然で、他意はありません。

私はとくにBLが好きというわけではないので、たまたまそういう映画が並んだだけです。

もちろん、嫌いでもありません。作品しだいです。

 

当時はBLという括りも、ゲイ映画というレッテルもなく、どれもただ「映画」として紹介されていました。

しいて区別をつけるとしたら、「イギリス映画」。

 

区別は差別に通じるので、こうしたゆったりとした把握がよいですね。

よい作品は、よい作品。好きな作品は、好きな作品。それでじゅうぶんです。

 

Yiboくんの映画次回作も程耳監督作品とのこと。

「人魚」の芸術作品なのだとか。

泉鏡花の『海神別荘』を思い浮かべ、玉三郎さんの舞台を思い出しました。

 

難解なくらいの芸術作品、ぜひ見たいです。

だって、Yiboくん、何でも表現できますもの。