「GQ」2022年10月号が届きました。

雑誌は買わない主義なのですが、Yiboくんの掲載写真が一部公開され、それを見てしまったので、思わずポチってしまいました。

 

映画『无名(無名)』公開を記念して、程耳監督と梁朝伟(トニー・レオン)とのスリーショット。

 

キャリアを積んだ殿方と並んでも遜色のないYiboくん。

こういうショットを見るたびに、彼には役者としての底知れない、無限の可能性があると感じます。

 

トニー・レオンといえば、香港ノワール『新・男たちの挽歌』やレスリー・チャンと共演した『ブエノスアイレス』がなつかしい。

 

『さらば、わが愛/覇王別姫』のレスリー・チャンのうつくしいポスターが、渋谷駅周辺あちらこちらに貼られていたことなど、鮮明に思い出しました。

いつ頃のことかと調べてみたら、1990年代で、そんなに昔のことだったのかと驚きました。

 

トニー・レオン、武侠映画の『英雄/HERO』も好演で、すてきでした。

こちらは最近の作品と思ったのですが、2002年。よく考えれば、まるで仕事のように映画をあれこれ見ていた時代は、数十年も前のことでした。

 

さて、「GQ」。272頁もあります。

ファッションだけでなく、映画や音楽といった文化的な記事もあれば、旅行やスポーツ、グルメといった趣味の記事もあり、かなり読みごたえがありそうです。

 

Zhan Zhan のTOD’Sの広告もありました。顎をちょっと突き出したポーズ。

Yiboくんに何か指示する時、彼はこんなふうに顎で示すことがあって、親密な間柄でしか出ない動作と感じたものです。

 

こうした広告などのうつくしい写真だけの頁もたくさんありますが、やっぱり漢字がみっしり。

あたりまえですけれど…。

 

後半の100頁は映画『無名』と程耳監督に関する記事です。

これをスイスイ読むことができたら、どんなにたのしいでしょう!

私の語学力では辞書頼り。

誤訳もあるかもしれませんが、とにかく、Yiboくんのインタビューを読みました。

 

「王一博 歩履不停(Wang Yibo 歩み続ける)」と、タイトルがついています。

 

映画『無名』のキャスティングで、程耳監督が数人の若手俳優の写真から、すぐにYiboくんを選び出したとのこと。

その理由は…。(程耳監督のインタビューを読解できるまで待ちましょう。いつになりますやら…)

 

とにかく、Yiboくんが『無名』の最初のキャストだったそうです。

 

スパイの孤独感を実感するため、外界を遮断してホテルに缶詰になった話は聞いていましたが、そのこと以上に大変なことが、さまざまあったようでした。

 

スタッフに難しいだろうと心配されていた上海語は、努力と成果を褒められていました。

Yiboくんは、それほど大変ではなかったようで、日頃から外国語の歌を習う機会があり、上海語で録音された脚本を、「歌詞を暗記している感じで、結構早くおぼえられた」と、答えています。

 

それよりは、程耳監督の撮影スタイルや役柄をつかむことが大変だったようです。

 

「立ち稽古はせず、最初は役者が自主的に演じ、その後、モニターの前でこのシーンはこうしたほうがいいとか、ここは細かいところに気をつけたほうがいいとか、監督と話をしながら、少しずつ調整してゆきました。

監督から、テイクごとに、良いところと悪いところを教えてもらい、安定した動きで、よけいな動きをしないように、と教わりました。

とてもわかりやすい指示で、すぐに理解することができました。私は他の役者に比べて演技経験が少ないので、監督は私の指導に時間をかけてくれました」

 

残酷なシーンや戦闘シーンにはリアルな臨場感をもとめられ、スパイという特殊な役柄になりきって演じ、精神的に、おそらく私が想像する以上に、とてもタイトだったと思います。

 

けれど、同時に、自分とはかけ離れた役を演じきることで得たことも多かったのではないでしょうか。

「撮影で貴重な体験は?」との問に、彼は「勉強になることばかりだった」と、答えています。

 

とくにトニー・レオンとの共演は、すばらしい経験となったようでした。

 

「撮影していない時は、撮影現場に行って、レオンさんの演技を見ていたのですが、レオンさんは顔の表情や身体の動かし方など、とても上手にコントロールしていて、とても安定していて、正確でした」

 

格闘シーンでは、相手がトニー・レオンというプレッシャーもあって、最初は自在に動けなかったようです。

 

「程耳監督から、プレッシャーを感じないように、コントロールしないようにと言われ、本物らしく演じることができました」

 

スタントマンを使わず、自身で演じた落下のシーンでは、

「手を伸ばせばすぐにレオンさんの顔に触れることができるほど、距離が近かった。とても幸せな気分です」

 

おそらく、演技だけではなく、トニー・レオンという大先輩を通して、今まで見てきた世界とは違うものも見ることができたのではないかと思います。

なんといっても世界的な俳優。レジオンドヌール勲章受章者ですものね。

 

以前、剣岳の山頂からの景色を映像で見ました。

雲海が広がっていて、雲しか見えないのですが、雲海の果てに、富士山の山頂が見えました。

この映像を見て、高い山には、同じくらい高い山しか見えないものがあると、痛感しました。

 

そのような高い高い山に登れなくても、登った人の話を聞くことはできます。

よく、人は自分が経験したことの中でしか、想像できないと言いますが、見聞きすることも、幾分かは経験になり、また、実際に見てみたい、体験してみたいという気持にもつながると思います。

 

食事のシーンが多いらしく、海老の踊り食いもあり、これには閉口したようで、Yiboくんのようす、なんとなく想像できますね。

恋愛感情に関しては、現実で似たような感情を見つけるように言われたりもしたとか。

 

「撮影後に映像を見て、自分の演技のよいところと悪いところを把握し、自分の五感や動きを理解しました。

動いてよいところ、動いてはいけないところ、安定させるべきところ、そうした感覚をつかむ、よい習慣が身につきました」

 

程耳監督は、事前にタランティーノ作品や『ゴッドファーザー』など、参考になる映画をたくさん送ってくれたそうです。

そして、映画をどのように見るべきか、どのように学ぶべきかも、監督から教わったと、Yiboくんは言っています。

 

『無名』と『長空之王』。

極限に近い状況での撮影という二作の映画に続けて出演したことが、この一年のYiboくんのめざましい成長につながっていると、あらためて感じるインタビューでした。

 

「撮影現場で程耳監督に言われたいちばん大切な言葉は何ですか?」と問われ、「稳定(安定)」と答えたYiboくん。

今年の街舞で見せていた顔に重なりました。穏やかな表情は、倖せな日常の反映だけではなかったのですね。

 

私のPCのデスクトップは、あいかわらず白牡丹のYiboくんですが、PCの中では、日々、とどまることなく歩み続け、成長する彼を追っています。