蟹座9度(蟹座8度0分〜8度59分)

(日本語訳)
蟹座9度 水中で魚に手を伸ばす小さな裸のお嬢さん

これは、魂があらゆる新しい経験に熱意をもって臨み、それによってその神聖な地位を実証し、触れるものすべてに永続的な意義をもたらすという、魂の永遠の穢れのない新鮮さの象徴である。

ここには、人間が自分のものにしようと決めたあらゆる領域で支配の手綱を握ることを可能にする絶対的な抑制のなさと、どんな可能性のある存在であっても事実上それを逃すことを不可能にする、抑えきれない純粋な好奇心がある。

キーワードは「inclination(傾向、性癖、好み、本性、気質)」である。

プラスの場合、人に好意(好感)を与えるような、たまらなく魅力的な自己表現能力がある。

マイナスの場合、軽率な行動が絶えず、評価できる業績を達成するための障害となる。
原文
CANCER 9  A tiny nude miss reaching in the water for a fish
This is a symbol of the eternal and unsullied freshness of soul as it enters every new experience with an unabated enthusiasm and thereby both substantiates its divine estate and brings enduring significance to whatever it may touch. Here is the absolute lack of inhibition which enables man to grasp the reins of control in every realm he decides to make his own, and the unquenched and simple curiosity which virtually makes it impossible for any potentiality of being ever to escape him. The keyword is INCLINATION. When positive, the degree is ingratiating and irresistible capacity for self-expression, and when negative, continual indiscretion as a bar to any appreciable achievement.

(出典:Marc Edmund Jones “ SABIAN SYMBOLS IN ASTROLOGY)

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蟹座9度 水の中の魚へと手を伸ばす小さな裸の少女


この度数の人は、親しい人の心を理解するために、精一杯の努力をします。相手に同化する力が強く、繊細な心を持っています。しかし自分が感じたことを言葉にすることは、なかなかできません。人の相談に乗ると入り込み過ぎになります。


 蟹座8度では、動物的な本能と人間的な成長意欲がうまく関係づけられ、双方が協力し合う関係ができあがりました。蟹座9度では、「小さな裸の少女」は自然界の中に存在する生命を理解しようと手を伸ばします。自分自身も「水の中」へ入って行くという意味で、よそよそしく外から覗いているわけではないのです。
 この度数の人は当然のことながら他の人の感情を理解しようという努力を惜しまない人になっていきます。これは蟹座の中の非常に肯定的な資質の一つであり、相手の心の中に同化して相手を理解するという姿勢が生まれます。
 蟹座9度は、第2グループの4番目の度数ですから、蟹座らしい感受性の基盤になる部分が形成されて行くことを表しています。「小さな裸の少女」は小さな「魚」と同じように傷つきやすいので、ここにはじゃまが入ってきてはなりません。それは親密で内的な交流であるからで、気持ちを言葉にして表現するのはあまり得意ではないでしょう。

 鏡関係の山羊座9度は “ハープを運ぶ天使” です。「ハープを運ぶ天使」は不可視の存在です。それは時間の流れの中で、人の生活に喜びをもたらすような働きです。7度では不吉な予言をする力であったものが、8度では社会生活での楽しさを盛り上げるような現世肯定的な力に変換され、9度では自然と人間の間に相互交流が起こり、のんびリリラックスしたその人の生活スタイルが生まれます。それは時間の使い方のゆったりとしたリズムを表しています。ある種の宇宙的気配とでもいうような、環境を動かしている力、すなわち「予言者」が捕まえていたような目に見えない支配力が、その人を目的の場所にゆったりと運んでゆくことになます。現代人は急ぐ人が多いのですが、山羊座9度の持ち主はひどくのんびりした人が多くなります。バーゲンではたいてい目的の品物を手に入れることはできません。しかし長期的な目的においては、着実に予定調和的に進んでゆく人が多いのです。蟹座の「少女」が「魚」を見ていたように、山羊座の人は不可視の「ハープ」を「天使」が奏でる音を聞いているのです。
 天秤座9度は “アートギャラリーに掛けられた三人の巨匠” です。前の天秤座8度で「家」を荒廃させ、内面の創造的な火を回復させた人は、よき先人の生き方を学ぶことで生き方の理想的なバランス点を模索しようとします。天秤座は、願望の実現した結果に振り回されやすいサインです。しかしこの結果に振り回されてしまうと、「因果」の原因の側である創造的な力を喪失しやすくなり、また7度のように、目前の「ヒヨコ」の保護のために自由な精神である「鷹」を敵対視するような生き方になってしまいます。「三人の巨匠」は、こうした問題を身をもって克服した先人であり、願望とその結果という因果法則をうまく乗りこなしている人々なのです。それは「ハープを運ぶ天使」を手に入れた人々だとも言えるでしょう。天秤座は対人のサインなので、基準をこのように人に置くのですが、しかし牡羊座は違います。
 牡羊座9度は “水晶を凝視する人” で、前の8度で風になびくリボンで察知した世界の風を、こんどは「水晶球」でより意識的に観察しようとします。牡羊座はまだ人々の住む環境の中に十分に入りきってはいないサインなので、蟹座の「少女」が水に入って「魚」を事に取入ろうとしたようには、興味ある対象の中に参加せず、水は凍った球体のままです。そもそも9度の「9」の数字は同調やを意味する数字で、自分とは違うものに心を通わせることを意味します。つまり、それぞれの活動宮の性質に応じた、対象への同調のしかたがあるということなのです。


 進行天体がこの位置にある時


 内面的な共感力を使って、物事を内側から理解するということに興味が強く働く時期です。このような時には真に親密な人との関係が発生することが多くなります。しかしこの関係は公開しないほうがよいでしょう。というのも、他人は無神経にかき回したり誤解したりすることが多くなるからです。

(出典:『愛蔵版 サビアン占星術』松村潔)

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