蟹座4度(蟹座3度0分〜3度59分)

(日本語訳)
蟹座4度 ネズミと議論している猫

これは、人間が個人的な体験に入る前段階として、心や認識の準備をしっかりすることが必要であること、そして現実への参加に関して、完結する段階よりも準備の段階を楽しむ傾向があることの象徴である。

ここには、それ自身が持つ価値に対する、内面的な或いは知的で実践的な確証だけでなく、生来の欲望に対する外部の承認や社会的な支持を得ようとする人間の本性から来る果てしない努力もある。

キーワードは「justification(正当性)」である。

プラスの場合は、自己の動機を受け入れ、その目的に協力するよう他人を説得する才能がある。

マイナスの場合は、物事の本質に対して際限なく口論する。
原文
CANCER 4  A cat arguing with a mouse 
This is a symbol of man's necessary establishment of a set in mind or realization as a preliminary to any entrance into personal experience, and of his tendency to enjoy the preparatory more than the consummatory phases of his participation in reality. Here also is the eternal effort of human nature to get outer acceptance or social sanction for its inborn desires, as well as inner or intelligent and practical confirmations for the values it has made its own. The keyword is JUSTIFICATION. When positive, the degree is a gift for persuading others to accept the motives of self and to co-operate with its ends, and when negative, interminable quarreling with the nature of things.

(出典:Marc Edmund Jones “ SABIAN SYMBOLS IN ASTROLOGY)

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蟹座4度 ネズミと議論する猫

自分の自我が弱まっていて、周囲の人に対して優位に立つことはできません。しかしこの弱気な姿勢こそが、より大きな視野を手に入れるには必要のなことなのです。弱気だからこそチャンスが広がる人です。


 本来、猫はネズミに対しては強気なはずです。しかしここでは「猫」が低姿勢になり、「ネズミ」と議論しようとしています。
 牡羊座から双子座にかけて、人は個人としての自我を形成してきました。それはまだ他者をさほど意識しないので、いわば一方的な個人的都合だけで形成されてきた自我です。それをここでは「猫」と考えましょう。
 蟹座はより大きな集団的な価値観に個人が帰依することを意味するので、双子座までに作ってきた、この個人的な自我は捨てなくてはなりません。しかし、ここではまだ思いきりよく捨ててはおらず、まだ「議論する」余地がある程度は残っているのです。
 双子座で作り上げてきた、個人の立場の上下意識は、この4度で転倒し、これまで正しいと思っていたことにも疑問を感じるようになってきました。この度数を持つ人は他の人と関わるとき、まずは下手に出ることが多いでしょう。自分はこれこれができないので情けないとか、弱気な面を見せることで人と関わろうとします。この低姿勢があるかぎり、めったなことでは人は拒否反応を起こしません。「ネズミ」は集団原理を意味しているシンボルですが、個人の自我の象徴である「猫」は、集団原理としての「ネズミ」と議論することで、ゆっくりと個人意識を捨てて、集団性の論理の中に参加しようとしているので、これは一つの歩み寄りとすり合わせの段階でもあるのです。
 この議論で「猫」が勝ってしまうと、蟹座の目的は不完全になります。「猫」はここではできるかぎり負けなくてはならないのです。
 3度の「毛皮の男」が「猫」になり、「一面の雪」が「ネズミの集団」へと変化したと考えてもいいでしょう。

 他の活動宮4度を参考にしてみると、「ネズミと議論する猫」は、喧嘩腰になったり、力関係をひけらかすこともなく、むしろ「猫」は相手の心を知るために、自分の立場を捨てようとしていることが推理できます。3度の「広い空間を手さぐりで歩く男」は、自分が置かれている状況がいまひとつはっきりとは把握できません。そこで、周囲の人と会話する中で、蟹座サインとしての、共感や同意という行為に自分を心理的になじませようとします。親密感が大切です


 進行天体がこの位置にある時


 弱気になることが多く、自分の置かれた立場などを理解するために、親しい人とたくさんの会話をしたくなります。自分を他の人と差別化しようとしないので、仲間は作りやすく、誰とでもなじめるかもしれません。トゲのない人になる時期なので、好まれますが、しかし反面、他人から説教めいた突っ込みを入れられやすいので、悩みも大きくなります。

(出典:『愛蔵版 サビアン占星術』松村潔)

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