牡羊座11度(牡羊座10度0分〜10度59分)

(日本語訳)

牡羊座11度 国の代表者(元首、大統領、主席、総統)


これは、没個性的な面の気高(けだか)い自己の象徴であり、仲間たちの中で果たすべき自分が選んだある役割に、個人が完全かつ純粋に献身していることに表れている。

ここで暗黙の了解となっているのは、認知の広がりが最大となる(=最大限多くの人に認知される)ような役割を選ぶことであり、それによって役割の担い手は、自分ひとりでは到底維持できないような現実を作ることができる。他のすべての考慮事項が、個人の保証というひとつの主要な行為に従属する。

キーワードは「理想化」である。

プラスの場合、永遠の価値を持つ創造的な代表者になろうとする者に求められる自己犠牲(の精神)がある。

マイナスの場合、
しばしば善意ではあるが、たいていは破壊的な自己主張(をする)、あるいは見栄っ張りである
原文
ARIES 11  The president of the country
This is a symbol of high ego on the impersonal side, evident in the complete and naïve dedication of the individual to some part he chooses to play among his fellows. Implicit here is the selection of such a role as will have a maximum breadth of recognition, so that the player may be established in a reality which he would be quite unable to sustain by himself. There is a subordination of all other considerations to one primary act of individual assurance. The keyword is IDEALIZATION. When positive, the degree is the self-sacrifice required of anybody who would become the creative representative of eternal value, and when negative, an often well-meaning but usually destructive assertiveness or vain pretense.)

(出典:Marc Edmund Jones “ SABIAN SYMBOLS IN ASTROLOGY)

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国の支配者


この度数の人は、環境との関係で、勝つか負けるかという極端性が出やすいでしょう。周囲の人に有無を言わせず従ってもらうことを要求しますから、柔軟な関係性は築きにくいでしょう。プライドが傷つくことを恐れます。


 牡羊座の始まりである1度では、この世界に存在するために自分を押し出したのですが、この11度では、こんどは社会という人間集団の環境の中へ自分を押し出す行為が始まります。牡羊座のサインそのものが、いままで自分が不在だった領域へ自分を押し込んで存在させるという意図を持つからです。
 もともと第1、第3、第5という奇数のグループは、そのサインの中でも先鋭的に行動する傾向があるので、挑戦的に環境に飛び込もうとします。
 社会集団を初めて相手にした時、このグループの人々は相手と仲よく妥協するなどという態度を身につけていないので、狩るか、狩られるかの二極化された事態になりやすいのです。それは「支配者」になるか、支配される側になるかということです。
 この度数を持つ個人が「支配者」か「被支配者」かのどちらに転ぶかはわかりませんが、道を歩く犬どうしが力関係を決めるように、積極的に押す姿勢を貫くことができれば、小集団の中であれ、「支配者」として振舞うことができるでしょう。ひとたび休めば、すぐに怒られる立場になるので、ここに中庸はありません。そのために、かなり緊張性の高い生き方をしている、この度数の人々をよく見かけます。
 この度数の行動の前提にあるのは、牡羊座の第2グループで手に入れた自分なりの世界の読み方です。この読み方に基づき、新しい哲学に支えられて集団社会に関与しようとする時、自分の考え方を人々に押しつけられるか、それともできないで敗北するかという二者択一になりやすいのです。おそらく本当の意味での心の交流はなく、常に自分を高い立場に置き、他者を見下ろすような姿勢になりやすいでしょう。
 しかし、その根底にあるのは他者に対する恐怖感です。もし同じ立場に立った時には、自分の思想やアイデンティティーは壊されてしまい、自分は何者でもなくなってしまうのではないかという危惧が強く働くのです。そこで権威を身につけ、「支配者」になることで他者との落差を作り出し、恐れを隠しているわけで、ある意味、非常に子供っぽい心理の持ち主でもあるのです。

​ 進行天体がこの位置にある時


 自分の意志を、積極的に外に押し出して、他者に対して力を持とうとする時期です。自分がいかに力があるかを実感したくて、横暴になることもあります。一度それがうまく果たされると自信につながり、今後は比較的平和な態度になることが多いはずです。しかし基本的には、まだ自分が何者か、どういうことが得意なのかもわからないので、責任ある態度は取りにくいでしょう。


(出典:『愛蔵版サビアン占星術』松村潔)

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