牡羊座4度(牡牛座3度0分〜3度59分)

(日本語訳)

牡羊座4度 人里離れた散歩道を散歩する二人の恋人


これは、意識的な経験からの最初の無垢なまとまりの象徴であり、すぐに責任を感じる必要のないような個人の潜在能力の(損なわれていない)確かさの象徴である。
ここで暗黙の了解となっているのは、現実とは、自己を刺激して、わずかなきっかけがあればいつでも持続的かつ継続的に自己の利益のために動く以外には、意味も力も持ち得ないという事実である。キーワードは “enjoyment(楽しむこと or 良いものを持っていること)” である。
プラスの場合、自己をその世界にまったく純粋に同化させ、ある適切な目的に向かってすべての努力を完全に傾ける
マイナスの場合、純粋なわがまま(気まぐれな思いつきや願望を満足させることに抵抗できないこと)のために自己の本当の強み(有益なもの)を無差別に失う
原文
ARIES 4  Two lovers strolling through a secluded walk 
This is a symbol of the first innocent rounding out of conscious experience, and of an unspoiled assurance of personal potentialities for which no immediate sense of responsibility is necessary. Implicit here is the fact that reality is ever without meaning or power except as it stimulates the self to move in its own interest persistently and continuously whenever the least opportunity offers. The keyword is ENJOYMENT. When positive the degree is an utterly naïve assimilation of self into its world and a complete flow of all effort towards some proper end, and when negative, the indiscriminate loss of the self's real assets in pure self-indulgence.

(出典:Marc Edmund Jones “ SABIAN SYMBOLS IN ASTROLOGY)

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隔離された歩道を歩く二人の恋人


密な対人関係の中で、感情を深めていく体験をし、それが人生観を作る上で大切なものとなる人です。親密な関係の相手以外の人を容易に受け付けないところがありますが、それはまだ対人関係に慣れていないことが原因です。


 感情が男女的な二分化をしていない、子供状態にある意識の人は、牡羊座3度の時のように集団意識にたやすく同化します。とすれば、人間の個人としての個性化への道は自己が分裂することによって始まり、それはまず感情や情操が男女に分かれることなのではないでしょうか。意識が男女に分かれると、人は特定の異性に関心を抱くようになります。環境や境遇に縛られることで自分を個人化しようとする衝動へその人を突き動かすからです。悟りが得られないのは世俗の欲があるからと言われますが、反対に言えば、欲があれば、個人として地に足がついた人生の道が開けてくるのです。
 この度数では、まだまだ自我の弱い、普遍化された個性にとどまる牡羊座の魂を、ただの人にしてしまうプロセスが進行し、そのたとえとして、ひっそりとした場所で恋愛に熱中する行為が語られます。
 牡羊座の始まりから1度ずつ、肉体化してゆくプロセスが進行しているのです。3番目の度数は活動性のスタートですが、4番目は立場の固定ということに関係します。つまり、牡羊座3度から4度への推移は、集団的な同化から自我を持った個人の生き方へとフォーカスが絞られてゆくことで、この時、雑多な影響力にさらされることなく、「恋人」と二人、ひっそりとした場で交流することで人間的な感情が純粋に培養されるのです。
 3度の集団意識の鏡のように大きな力に振り回されることを捨て、個人として満足のゆく人生を形成するには個人的な行為に没入する必要があるからです。世の中がどうなろうとも、異性とのつきあいが優先されるならば、個人としての生き方という防衛力を身につけることができるのです。
 ちなみに、タロットカードでは6番目の「恋人」のカードに運命の選択という課題が現れます。一人の恋人を選ぶことは、他の可能性を捨てることだからです。とはいえ、この度数に描かれたシンボルはあくまで象徴ですから、恋人を得るという直接的な意味を表さないのは明らかです。特定の人と深い関係を持つことが、とりもなおさず、その人の人生の個体的な生き方への選択となるのです。ここでその真の交流が邪魔されれば、その人は牡羊座3度の集団意識のあやつり人形から抜け出すことができません。
 3度にはまだ本当の意味で対人関係は存在せず、4度で初めて親密な交流が始まるのです。牡羊座の抽象された存在性は、他者と親密に結びつくことで、個人としての生き方に根つけしてゆくことができると言えるのです。

 鏡関係にある天秤座4度は “キャンプファイヤーを囲むグループ” ですが、暗闇の中、「キャンプファイヤー」の火を囲んでの親密な交流は、牡羊座4度の秘密の場所での恋愛の情感と似たところがあります。天秤座においてはその数が多くなるのです。
 同じ活動宮の蟹座の4度は “ネズミと議論する猫” 。立場の優劣の差異を捨て、相手の意見を聞くことで、本当の交流を発見します。
 また、山羊座の4度は “大きなカヌーへ乗り込む一団” で、ここでは「キャンプファイヤー」と同じように、同乗者への信頼感が危険な海を旅するためには不可欠です。
 絆による心の深化。これが活動宮4度の共通した性質かもしれません。

進行天体がこの位置にある時


 ひっそりとした秘密の交流の相手は人とは限りません。それは趣味であったり、なにか取り組みたいテーマであったりもします。他の雑多な影響に振り回され、ばらばらな行動を取るよりも、心を一つのことに釘付けにし、その行為を通じて人生の方向性を明確にすることが大切です。なにか感動できること、心の奥底から夢中になれると直感的に確信できるもの、それを見つけだしたら、他の雑多な影響力を遮断して静かな場で取り組んでみるべきでしょう。他の人に邪魔されたり、干渉されたり、何かアドバイスされたりすると、不快な気持ちを抱くことも多いはずです。したがってとりあえずは自分の行為については秘密にしておくとよいでしょう。


(出典:『愛蔵版 サビアン占星術』松村潔)


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出典はこちら↓


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