牡羊座1度(牡羊座0度0分〜0度59分)

(日本語訳)




これは完全に無条件の潜在性の象徴であり、人生の現実的な側面で把握できるものである。

ここには、魂が根源的な非存在から出現し、本質的に女性的な受容性が、より男性的な、あるいは個人的で自己探求的なイニシアチブを呼び起こす要素がある。そこには、自己の感情的側面と目的的側面の相互依存が暗黙のうちに強調されている。

キーワードは “realization(実現、気付き)” である。

プラスの場合、あらゆる状況下で誰もが利用できる経験が無制限にある。

マイナスの場合、自分自身を私的な執着から切り離せないために、人生の居場所を見つけられないことがある。



原文

ARIES 1  A woman rises out of water, a seal rises and embraces her. 
This is a symbol of completely unconditioned potentiality, as this may be grasped on the practical side of life. Here are elements of soul emerging from primordial nonexistence, and of an essentially feminine receptivity calling up a more masculine or personal and self-seeking initiative. There is an implicit emphasis on the mutual interdependence of the emotional and purposeful aspects of self. The keyword is REALIZATION. When positive, the degree is an illimitability of experience of which anyone can take advantage under any or all circumstances, and when negative, a failure to find a place in life because the self cannot separate itself from its own private obsessions.

(出典:Marc Edmund Jones “ SABIAN SYMBOLS IN ASTROLOGY)


女性が水からあがり、アザラシも上がり彼女を抱く

こ​の度数で、人生の挑戦が始まります。自分の存在を強く押し出す必要がありますが、具体的なやり方がわからず、うろたえたり迷うこともありそうです。どこか漠然としていますが、子供のように純粋な人です


 牡羊座の1度は春分点を表していて、ここを太陽が通過する日が春分の日です。この度数の人は、まったくの「無」の世界から生まれ落ちたばかりの状態です。
 12サインは続きものの物語のように構成されていて、過去のサインの体験をもとに人のキャラクターや価値観、人生の目的などが作られます。各天体はそれぞれの速度で12サインを循環しますが、同じ場所をなぞっているわけではありません。前回そのサインを通過した時よりももう一段進化したプロセスをたどる、あるいは退行の方向に向かうというように、螺旋(らせん)状に動いているのです。ですから、この牡羊座のスタート地点においても、惑星が春分点を通過すると、過去の12サインの体験の記憶は消去されてしまいます。
 春分点は、これまでになかった新しい力が外宇宙から持ち込まれるポイント。そこで人の意識の活動はその新しい層に移り、古い12サインの記憶は、古い層におしやられてしまうのです。

 このシンボルに描かれた女性は、柔らかで受容的な意識の象徴です。海から上がる姿は、無意識の海から人間として生まれてきたことを表しますが、羊水の中から出てきたばかりのような状況では、目覚めた意識は力強く自分を主張できません。ここでは陸地と海の間、すなわち目覚めと眠りの間に立っているので、海の生き物である「アザラシ」が、背後から彼女を海の中に退行的に引きずり込む可能性もあります。

 春分点で持ち込まれた外宇宙の力は、地球環境にとってかつて持ち込まれたことのない新しい要素です。この度数の人は、この未知の力を日常生活の中に定着させねばなりません。牡羊座の人は真にオリジナルな生き方をしますが、それは春分点で未知の力を持ち込んだがゆえなのです。そのため、これまでの知識も経験も役には立たず、行動しながら自分の生き方を新たに創造しなくてはなりません。
  「アザラシ」は、この太陽系の外から持ち込まれた未知の力の象徴とも言えるでしょう。

 鏡関係の天秤座1度は〝突きとおす針により完壁にされた蝶〟で、これは多くの人の目が注がれるプレッシャーの中で、一つの人格の標本のように生き始めることを意味します。天秤座1度では人の視線の圧力にさらされ、牡羊座1度では羊水から出て空間の圧力にさらされます。牡羊座1度では自分を無意識の海から引き離し、はっきりと目覚めるための闘いや葛藤があります。未知の世界に対する恐れはありますが、それでも勇気を持って生まれ出なくてはならないのです。

 他の活動宮の1度を見てみましょう。蟹座1度は “船に掲示される巻かれ広げられる旗” 。「船」という、多くの人々が居住して移動する場をはっきりと意識することを意味するシンボルです。 蟹座では多くの人と調和的な活動をすることが主眼です。
 山羊座の1度は “認識を求めるインディアンの首長” で、部族をまとめるために一人の統率者が名乗りを上げる姿を描いています。
 牡羊座、蟹座、天秤座、山羊座のそれぞれ1度は、新しい活動をスタートする印。牡羊座においては、まず生命の存在としてスタートする姿をサビアンシンボルは描いているのです。

​ 進行天体がこの位置にある時


 それまでの経験を無にして、新しい人生がスタートします。すべてをかなぐり捨て、心機一転新しい人生に挑戦したくなる人もいるし、自覚がなくとも必然的に自分をそのような境遇に追いやる場合もあります。魚座の終わりと、牡羊座の始めの間には大きな断層がありますが、このほとんど時間的に間隔のない断層を通過する時に、その人は一瞬、深い無意識の中に没入します。パソコンのデータをすべてリセットしたかのように新鮮な気分になり、新しい人生への挑戦が始まります。魚座と牡羊座は質感がかなり違います。曖昧で漠然とした姿勢の中に飲み込まれるような気分から、自分の足を引っ張る影響力をすべて無視して、個人として行動したくなるという変化が訪れます。


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(日本語訳)




出典はこちら↓


https://www.amazon.co.jp/愛蔵版-サビアン占星術-エルブックス・シリーズ-松村潔/dp/4651201091