皮膚と肉と夢と | 紫源二の啓示版

 皮膚と肉と夢と


 
  
あの人を見ていた
 
ぼくの尊敬する人
 
身体がボロボロだ
 
それなのに全身全霊で闘っている
 
 
そこまでしなくてもいいのではないか
 
 
もっと楽した方がいいのではないか
 
 
そのようにアドバイスしたこともあるけど
 
  
きっと酬いられるだろう
 
 
カミは見ている
 
 
 
努力するにも選ぶ権利がある
 
でも本当は選べない
 
どこに向かっているのか
 
本当のところはわからない
 
 
それが偶然に船に乗り合わせた航海で
 
甲板で走り回ってるのと同じだ
 
 
太平洋か
 
大西洋か
 
わからない
 
 
その海の真ん中で
 
たった一人で
 
 
おおきな航空母艦に
 
たった一人で乗っている
 
 
食料も10年分
 
水も10年分ある
 
 
ベッドも風呂もトイレもある
 
 
放浪する必要なんかない
 
船自体が漂流しているのだから
 
 
もうだれかに向かって表現する必要もない
 
 
たったひとりで瞑想していれば
 
それが自分にとってのアートだから
 
 
夢の中で出会った見ず知らずのオバサン
 
どんな会話をしたのかも忘れてしまった
 
 
イルカの顔はなぜ笑っているのだろう
 
 
あなたの快楽のことなんて知らないが
 
僕は僕の快楽のことは知っている
 
だれもあんたの快楽なんて垣間見ようなんて思わない
 
僕は僕の快楽で忙しいのだから
 
 
それが地下鉄だろうと洞穴だろうと知ったこっちゃない
 
どっちだって同じだろ
 
そこが君のねぐらだとしても
 
鋼鉄のベッドよりはましだと思わないかい
 
 
こんなに柔らかいのに
 
 
皮膚と肉と夢と