夜中、木の下で | 紫源二の啓示版

夜中、木の下で


 
 
 
夜中、大木の下で

風に枝が揺れるのを見つめる

黒い枝

黒い空

ぼくは幽霊



雨がぽつぽつ降ってきて

行くところがない


行くところがない


誰もぼくのことを知らない

ぼくもぼくのことを知らない

もっと若いとき

ぼくは今よりぼくのことを知っていた

だんだんわからなくなってきた


だんだんわからなくなってきた


風が吹いて木の枝を揺らす

まるで黒い腕のようだ

夜の闇が

ぼくを呼んでいる


一緒に不可知の世界に行こうよ

言葉の通じない

明日のない世界


いいよ、行っても

この世に天才なんていないし

自分ひとりだけで充分だ

誰もいらない

必要ない

あの闇以外なにも

この闇以外なにも