雨になる前に出かけましょう | 紫源二の啓示版

雨になる前に出かけましょう

[2008年06月04日(水)]

 
 
そんなに太ったお腹

気にしてるの?

それに

二重あご

いいの、それで

食べられるだけ食べて

自然農法で作った玄米のお粥
 
それに新鮮な無農薬の野菜のスープ
 
何十種類ものハーブで香りをつけたの

明日はドライブに連れてって

あの海の見える丘の上

カモメが風に舞っているから

あそこで少しゆっくりしましょう

あなたが作った彫刻

あたしが売りに行くわ

だから

運転してくれる?

あのスカイブルーの軽トラック

荷台にあなたの作品載せて

風を切って走るの

街まで遠いけど

着いたら雨になるかもしれないわ

だってさっきラジオで言ってたもの

台風が来てるんだって

あたし好きよ、台風

あなたは?

雨になる前に行きましょう

だって荷台に掛けるシートなんてないでしょ?

あたしがおにぎり握るから

それとお茶をペットボトルに入れて

街であなたの彫刻が売れてお金ができたら

そのまま駅まで行ってくれる?

夜行列車の切符買うのよ

どう? いい?

トラックも売って

ヨーロッパの南端に行きましょうよ

だってあそこら辺は暖かくて

海もあるでしょ?

そうしたら

あなたの芸術の試行錯誤

もっとし易くなるかもね


次の朝
 
二人は軽トラックに乗って

窓を全開にして

走った
 
生暖かい風が海から吹いていた
 
荷台には彼が作った彫刻がゴロゴロ音を立てていた



売れるかどうか誰もわからない

田舎の街で唯一のギャラリー

そこの女主人が買ってくれるかどうか

二人にもわからない

でも、もし売れなかったら

次の街まで走るつもりらしい

ガソリンが続く限り

どこまでも

どこまでも