厳冬の夜に思い出す秋の夕暮れ
オルガンの音がよく似合っていた
吹きさらしの窓枠に映っていた
秋の夕暮れ
寒い風がオレンジ色のガラスを叩くから
急いで暮れていく鰯雲を目で追うと
目に見えない時代の不安がそこにあって
やがて硝煙の匂いが漂いはじめ
それが肉の焼けた臭いにまで
きっと、なるだろうとおもう
それが未開の原始人の儀式だと言われても
だれが本気にするだろう
道を歩いているのに
目の前が見えないなんて
だれにも信じられないだろう
ぼくを見る人は皆、眉をひそめるが
当の本人が目先の不幸を知らずに
落とし穴に堕ちるかもしれないのに
誰も気づかないだけなのだ
こんなにも早く
歴史は繰り返すのか?
地球の自転の半径が
意外にも狭まっているから?
そんなことガリレオでさえ知らなかった
それなのに
夕方、風呂に浸かっているぼくにはわかるから不思議だ
遠くに光る木星の光がやたらに神秘的に輝くとき
沈む上弦の月を追いかけるように
雨雲が天空の半分を覆い
暗黒を見つめる目が
雨粒を瞳に感じると
生暖かい布団に潜り込もうと思いつく
そこで見る夢が
もしかしたら未来を暗示するかもしれないと思い
戯れに路傍の雑草を吹く風を思い出し
またしてもあのコンクリートのザラザラした感触から逃れようと
急いで塩辛いスープでも飲みたくなって
部屋に帰るのだけれど
やはり、誰もいない
そんな夕暮れ
またぬるい湯に浸かり
頭の中まで気が抜けたようになったら
急いで濡れたまま風呂から出て
裸のまま布団の中に潜り込む
ふるえながら見る夢は暗示に富んでいて
ユダヤの預言者のようにも高貴に感じるが
偉大な神のお告げは
じつはいつも決まって世の終末なのだ
ところがこの世が終わったためしはない
どんなにこの世を呪うほど
世界に苦しみが満ち溢れていたとしても