近ごろ、ちまたでは
サウナがブーム
のようですね。
私と家人はここのところ……というか
昨年6月のオープン以来、
二人だけで営んでいる
客室3室のささやかなホテル
「青い星通信社」の館内で
ほぼずっと過ごしておりまして、
車で7〜8分の距離にある
自宅(町営住宅)にはほとんど帰っておりません。
ホテル内にはテレビジョンというものは
一切置いてございませんので、
ワレワレは昨年6月以降、
テレビというものを見ていない
ということになります。
でもね、別にテレビを見てないからといって
テレビ番組を見ていないわけじゃないです。
いまはTVerというものもありますしね。
かえっていままでよりも
見てるかもしんない。
でもそうやって毎夜のように
TVerのコンテンツを確認していて
ちょっと驚かされるのは、
昨クールぐらいからかな、
急速にサウナ関連の番組が
増えてきたことですね。
サウナに絡めたドラマであったり、
サウナ紹介の情報番組であったり。
みんな、そんなにサウナ好きか?
……うん、好きなんだろうな、みんな。
でなきゃ、こんなに
ウゴのタケノコみたいに
関連番組が増えるはずがないもんね。
そしてそんなサウナブームは
細々とながら、
私たちが暮らす北海道北部にも
波及してきているようです。
ということで、今日お話しするのは、
そんな道北のとあるサウナで起こった
ささやかな事件のあらまし。
この話の主人公は
私たちが暮らしている
道北の過疎の町、美深町に
生まれ育った一人の男性。
そうだなあ、顔立ちがちょっとばかし
ドジャースからツインズ(だっけ?)に
トレードされた
前田健太に似ている(かもしれない)から、
ここでは仮に、
彼のことを“マエケン”
と呼ぶことにしましょう。
そのマエケン君はサウナ好きらしく、
ある日、近くの町のサウナに
一人で行ったらしい。
扉を開いて
熱気立ち込める
サウナ室に入っていくと、
中には先客が一人。
けっこうコワモテといいますか
いかつい印象の人だったようです。
とはいってもその時点では
マエケンはさして気にとめるでもなく、
室内のベンチに腰を下ろしたと。
まあ、こっから先はね、
私のようにサウナに興味のない人間には
よくわからない境地なんだけど、
ともかくサウナーのマエケンは、
そこで暑さにじっと耐えるという
至福の時間を過ごしたわけですね。
そしてそんな法悦のひとときを
心ゆくまで楽しんで
(時間にして十数分というところでしょうか)、
さすがにのぼせてきたから
この辺りが潮かなと
マエケンはベンチから立ち上がろうと
したのだそうです。
と、その瞬間!
それまでひと言も発することなく
ただマエケンの背後にじっと座っていた
先客の男性がいきなり、
立ち上がろうとするマエケンの両肩を
むんずとつかむと、
ひと言、こう叫んだのだそうです。
「もういいっしょ!」
……うーん、
含蓄の深い言葉だなあ。
「もういいっしょ」。
なんだか、こう、
切迫感ともいうべきものが伝わって来る。
辛抱たまらんというか、
それまで抑えてきたものが
もう堰きとめられなくなって、
その男性の喉から
溢れ出したんでしょうねえ、
「もういいっしょ!」。
上の写真は、(FBでも紹介しましたが)
「青い星通信社」の北棟と南棟を結ぶ
渡り廊下の昨日の様子です。
一昨日の夜から昨日の朝にかけて、
美深町では
ちょっとした吹雪
になりまして、
一夜にして1メートル以上もの雪が
ガラス窓に吹き溜まってしまったのです。
おかげで昨日の昼間は雪かきに追われ、
今日は筋肉痛ぎみです。
この北の地ではこんな日も
まだまだあります。
「雪はもういいっしょ」と
叫びたくなることも
やっぱりあるのですが、
でも考えようによっては
3月にこんな情景に驚かされるのも、
この土地に暮らすことで得られる
特権なのかもしれません。
いまは残り少なくなりつつある
雪の季節を楽しみたいと思います。
ちなみに肩をつかまれた瞬間は
何が起こったのかまったくわからず、
頭の中が真っ白になったマエケンですが、
どうにか男性の手をかいくぐり、
無事に帰還を果たしたのだそうです。