いつのまにやら
庭の林檎の実は赤みを帯びて
あんなに暑い太陽に照らされて
にぎやかだったガーデンに
そよそよと吹いているつめたい風は
もう秋の香りを運んできていて
Japanese House MUSUHIでの
かけがえのないひと夏の暮らしも
ひとまずは
終わりの始まりを迎えようとしています。
8月下旬、
北米での一大イベントだった
皆既日食に合わせて
引き寄せられてきたかのように
あたらしく3人の愉快な日本人住人が増えてからというもの
一日一日が深みを増し
猛スピードで日々を駆け抜けてきました。
9月9日、“くくりの日”は
私たちの結婚2周年記念日でもあったのですが
“MUSUHI no UTAGE 結の宴”と題し
カナダに来た当初からあたためてきた
一年越しの想いをのせて
初めての味噌づくりを開催しました。
と、いいましても
カナダでは日本のように
味噌の材料となる糀は
手軽には手に入らないので
まずは、味噌づくりの前準備として
日本からやって来た友に
教えてもらいながら
初めての“抱き糀” を実践!
妊婦さんのごとく
お腹に48時間以上糀を抱き続け
愛とやさしさをこめて
体温で発酵をうながす “抱き糀”は
糀のあたたかさと
芳しい香りにつつまれて眠るのが
クセになる、
そして出産後は
なんだか一抹のさびしさを覚える、
今日本でもどんどんと輪を広げている
糀づくりの手法の一つです。
ちなみに英語では
わかりやすいように
“HUG 糀” と紹介してみました。
・
2017年 白山開山 1300年。
二年前に式を挙げた
加賀一宮、白山ひめ神社の
御祭神である白山菊理媛尊を祝福する
“くくりの日”に合わせた
9月9日の宴の大きなテーマは
二元の統合。
結び。
くくりの祈り。
今夏は雨がまったく降らず
例年にみないほどの
たくさんの大きな山火事に見舞われた
カナダのBC州でしたが
その一方では
世界各地での大雨や洪水のニュースを
多く目にすることがありました。
現象としてあらわれる地球上での
火と水のエネルギーの
バランスが崩れているー。
それはつまり
ひとりひとりの宇宙のなかでの
火(男性性)と水(女性性)の
エネルギーのバランスが
崩れながらも
今まさに
統合の道に
すすもうとしているということ。
太極図と呼ばれる
男性なら
自らの内なる女性性、
女性なら
自らの内なる男性性、というように
それぞれがそれぞれの内にある
異なる“点”と向き合い
それぞれのなかでの
バランスがとれたときに
初めて “個” として自立し
“個”として自立してこそ
他の自立した “個”との
統合がすすんでいくー。
という意味なのだと
ある夜の瞑想中に
こころに降ってきました。
MUSUHIの水源である滝までハイキングし
神道の祈りの作法を紹介しながら
滝の水で
左手、右手、口、左手、柄杓と
順に清め
その場で裸足になって
みんなで滝の前に円座しました。
円座になって
それぞれの左手と右手を宙で重ね
靈氣でつながり
瞑想をしていると
私の右手(水)が
まるで雷に打たれているかのように
激しく振動し始めたのです。
左手に火 をイメージし
右手に水 をイメージし
こころしずかに
手を合わせる。
“火水(かみ)”の
くくりの祈り。
余談ですが、
ヨガなどでは
肉體の左半身が女性性、
右半身が男性性とされているそうで
その論と一見逆のようにとれる
左=火足りて(ひたりて)
右=水極まりて(みずきわまりて)
という
日本語の古い語源からみる考え方は
左手(火)と右手(水)が
女性的な左半身と男性的な右半身に
“点”として存在していることで
すでに肉體の陰陽のバランスが
とられているようで
なるほどおもしろいなぁと思います。
この場に集まった
全員での祈りを終え
目を開けて後ろを振り返ると
いつのまにか一匹の白い犬が
傍らに現れていました。
菊理媛尊の遣いともされているそうです。
実は、この白いお犬さまは
初めましてではなく…
前回、
偶然同じタイミングで近所の人たちが
このお犬さまを連れてやって来て
そもそも人があまり来ない場所なので
なんだか不思議なご縁を感じています。
祈りの瞑想の後、
大切な友人りえこちゃんが初めて作って
今日この日に持って来てくれた
特別なメディスンドラムを使い
私たちがステイしていた
パーマカルチャーファームのオーナーであり
大好きな友であり
大きな師であるDidiが
力強いネイティヴアメリカンの歌を
空高く響かせてくれました。
(2分ある動画ですが、アップロードの都合上1分ずつになってます)
「私はメディスンウーマンで、
この星が喜ぶことをしているの」
そう言いながら
いつも土まみれの裸足で膝をつき
土に触れ 水をやり
走りまわって
植物のお世話をし続けている
彼女の歌う姿には
誇り高く大地を守ってきた
ネイティヴアメリカンの古い魂が
重なってみえる氣がするのです。
・
来た道をもどり
みんなでMUSUHIに帰ると
約一ヶ月ぶりに念願の雨が降ってきたのは
お昼ごはんに炊いたお米を
塩と水でむすんで
“お結び”した
お昼すぎのことでした。
地元で人気のオーガニック豆腐店、
Silver King Soya Foodsの
おいしいおからをミックスして仕込み
糀は、お米ではなく
Barley (大麦)を使用。
日本人もカナディアンも混ざり合って
Queens Bayで初めて仕込んだ
・
滝での祈りの瞑想会
初めての抱き糀
初めての英語圏での味噌ワークショップ…
と
準備も告知も ままならぬまま
初めてだらけの挑戦でしたが
参加してくださったみなさんの
帰り際の楽しそうな笑顔が
なにより嬉しいプレゼントでした。
・
実は
Queens Bay は
とても女性エネルギーが強い場所なのよ、
ここに来て間もない7月の初めに
Didiから聞かされていました。
今回、祈りの瞑想をするにあたって
近くの湖にしようか、滝にしようか
少し悩んでいたのですが
滝での祈りを終えて
Didiにあの滝の名前を初めてたずねてみて
滝にみちびかれた意味がわかりました。
「Bride Veil Waterfall。
ベールをかぶった花嫁の滝ー。
その名が象徴するものは
長いあいだ表に立つことのなかった
長いあいだ隠されてきた
内なる女神たちの真の力ー。
ひとりひとりに与えられた
わたし以外の誰かがつくりあげた
恐れや嘘に満ちた世に
わたしの内なる宇宙に宿る
母なる無限の愛から
まるで花嫁のベールが
連日の山火事の白い煙が
遠くにのぞむ雄大な山々と青空、