ぎゅっと目を瞑る。




店員さんの反応は意外なものだった。



『あ、壊れちゃったんですね。大丈夫ですよ。』

一言も怒られなかった。店員さんはあれこれ蒸し返すこともなく、ただそれだけの対応だった。
あまりの呆気ない結末にポカンとしていたが、そんな暇は無い。

私たちには「やるべきこと」が残されている。

『ごめんなさい!!』

とっさに口からほぼ条件反射のように『ごめんなさい』が飛び出した。

私たち姉妹の『ごめんなさい』がシンクロして、100均店内に大きく響き渡った。

店員さんはニコリと微笑んで『大丈夫ですよ。』と一言。
その一言に全てが詰まっているのを私は理解した。

ガチガチに硬直していた体が、少しずつほぐれていく。

それとともに、「罪悪感」という目に見えない縄の締め付けから少しずつ解放されて暖かな血潮が身体中を再び流れ始めるのを感じた。


この年のサンタさんは私たち姉妹に「正直であることの大切さ」という最高のプレゼントを残し、トナカイと共に夜空へ去っていったのだった。

もしあの時嘘をついて隠し通していれば、毎年クリスマスになると、壊したサンタのことを思い出し、永遠に『犯罪』という名の十字架を背負うことになっていた。


しかし、あの時のあの店員さんの神対応のおかげで、私は毎年気持ちよくクリスマスを迎えることができる。
そして『正直であることの大切さ』を初心に戻って年一回は必ず思い出させてくれる。
このエピソードとともに。