ジョージアの豊かなワイン文化では、多様なブドウ品種が栽培されていますが、白ワイン用のブドウとして特に注目されるのがムツヴァネとルカツィテリです。ムツヴァネには約6種類存在し、それぞれが独自の特徴と味わいを持っています。今回私がご紹介するのは、その中でも「ムツヴァネ・カフリ」という特別な品種です。ムツヴァネ・カフリは、ジョージアの伝統的なワイン製造において重要な役割を果たしており、その独特な風味と醸造法は、ワイン愛好家にとって魅力的な探求の対象となっています。この記事では、ムツヴァネ・カフリの特性とその醸造プロセスの詳細について説明します。

     ムツヴァネ・カフリ

  • 原産地: ジョージア南東部のカヘティ地方、特にアクメタ、ツィナンダリ、マナヴィ、グルジャニ、ヴァジスバニ、カルデナヒ。

  • 外見: 5枚葉は濃い緑色で扇形。中型の房はかなり密で、時には1つの肩にかかり、実も中くらいの大きさです。

  • 生育期間: 発芽が4月下旬、成熟期は9月の最後の2週間で、ルカツィテリよりも早く成熟します。

  • 特性: 収量が多く、糖度が上がりやすいが、うどんこ病に弱く、冬の霜に比較的弱いです。環境に敏感で栽培には注意が必要です。

  • アロマ: 強烈なハイトーンのグレープフルーツの特徴があり、発酵中にすぐに識別可能です。フレッシュな白桃、花、柑橘類、トロピカルなアロマと軽いミネラルのニュアンスを放ちます。

  • : 若く、辛口の白ワインはしばしば緑がかった麦わら色をしています。クヴェヴリで醸造されたワインはかなり色が濃く、アプリコットや石果の特徴が強く表れます。

  • 味わい: ルカツィテリと比較して、より垂直(風味の層が深い)な味わいです。ワインの構造はタンニンで補強され、マロラクティック発酵によって柔らかくなります。

    醸造プロセス

  • マロラクティック発酵: ヨーロッパスタイルで醸造する場合、通常はマロラクティック発酵をブロックし、柑橘類と塩味の特徴を際立たせます。クヴェヴリでの醸造では、マロラクティック発酵を進行させ、ワインを柔らかくし、構造をタンニンで補強します。

  • 茎の取り扱い: 伝統的には茎を使った発酵は行われませんでしたが、現在では変化が見られます。熟したルカツィテリの茎を加える技法や、ムツヴァネの茎を太陽の下に放置して葉緑素を焼き払い、ピラジンなどの緑色のキャラクターを除去した後、発酵中のクヴェヴリに加える方法があります。

  • クヴェヴリでの醸造: クヴェヴリで醸造されたムツヴァネ・カフリは色が濃く、アプリコットや石果の特徴がより強く表れます。この方法は、ワインに特有の風味と複雑さを与えます。

  • 酸化の管理: ムツヴァネ・カフリはアロマティックな品種で、酸化しやすいため、クヴェヴリで醸造しない限り、繊細な嫌気的取り扱いを必要とします。この取り扱いは、ワインのアロマを保護し、鮮やかさを維持します。

    ムツヴァネ・カフリの醸造プロセスは、そのアロマティックな特性と複雑さを最大限に引き出すことに焦点を当てています。この品種は、他の品種と組み合わせることで、酸化を抑えつつ、ワインに独特の高いトーンと複雑さを加えることができます。