「ロング・グッドバイ」 | せともん屋のおっさんの日記

「ロング・グッドバイ」

「ロング・グッドバイ」   レイモンド・チャンドラー   早川書房   ☆☆


村上春樹さんの新訳で読みました。


チャンドラーが本書を発行したのが、1953年。第2時世界大戦が終わって、アメリカではアカ狩りの最中。

日本で翻訳が出されたのが、1958年。清水俊二さんの手により、題名は 「長いお別れ」。

そして2007年に、村上訳が出されました。


村上春樹さん曰く、

『僕は翻訳というものは家屋にたとえるなら、二十五年でそろそろ補修にかかり、五十年で大きく改築する、

あるいは新築する、というのがおおよその目安ではないかと常々考えている。」


時代応じた翻訳といったところでしょうか。

シェイクスピアだって、坪内逍遥にはじまり、福田恆在、そして小田島雄志と、

時代とともに新たな翻訳が生まれています。


『さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ』


主人公は、フィリップ・マーロウ。タフで心優しき探偵さん。

そういえば、『男はタフでなければ生きて行けない。優しくなければ生きている資格がない』 という

映画のキャッチコピーがありましたが、それはフィリップ・マーロウ シリーズの 

「プレイバック」 の中からとられています。


ちなみにその映画は、「野生の証明」 で、1978年の作品、高倉健、薬師丸ひろ子の主演です。

夏八木勲さんがこっこよかったのが印象に残っています。


『ギムレットを飲むには少し早すぎるね』


本書は、清水俊二さんの訳でも読んだことはなく、初めてですが、

ストーリー展開が面白く最後まで振り回されます。

登場人物もそれぞれに魅力的で、しかも文章もハードで、楽しませてくれます。


『放蕩は男を老けさせるが、女を若く保たせる』


ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)/レイモンド・チャンドラー

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