サラさんからメールが届いたのは告知ページの作成が一段落した頃だった。
その頃には、ヘッダーも決まり、フックの言葉も決まり、全体的な流れが決まっていた。
最初がうまく決まれば、あとはたいていその連鎖でうまくいく。
物事はたいていそのようにできている。
タケルくん、こんばんは。
今日はありがとう。楽しかった。
(あのことは気にしていないので大丈夫。)
言っていた「個人カルテ」を送るね。
支払いもヨロシク。笑
サラ
メールには振込口座と金額も載っていた。
僕はネット銀行から指定の口座に振込を済ませると、添付資料を開いてみた。
太陽星座、月星座、金星、水星、火星、木星、土星。
それらのページのあとに「星のアドバイス」と題した総括的な文章が書かれていた。
冒頭の説明文を読んでみると、どうやら生まれた瞬間にどの星座にどの惑星が重なっていたかで、
その人の大まかな傾向が決まるとのことだった。
冒頭にはこんなことが書かれていた。
「はじめに」
こんにちは、サラです。
このたびは個人カルテ@占星術にお申し込みいただきありがとうございました。
このカルテは生まれた瞬間に10個の惑星がどこにあったかでその人の性質や才能や強み、
天職や適性などをお伝えするものになります。
惑星にはそれぞれ下記のような意味があります(占星術ではそう考えます)。
【太陽】
いわゆる占いで使う星座がコレです。人生の目的を表します。
「月」のように何もしなくても出てくる性質ではなく、
どちらかというと社会の中で磨いていかなければいけない性質を表しますので、
若いういちは発揮されづらい傾向にあります。
【月】
いわゆる「月星座」と言われるもので、
ふだん占いを意識しない方にとっては馴染みがないかもしれませんが、
月星座は人の内面を表す大切な星のひとつです。
月星座は「個人の基礎的な人格」と言われることもあり、
小さな頃(0〜7歳)に繰り返しなされた感情の傾向や性質を表します。
家での姿や快・不快はこの月星座によって大きく異なってきます。
【水星】
コミュニケーションの傾向や知識を獲得するときのスタイルが、
この「水星」のサイン(星座)に凝縮されてきます。
たとえば水星が「おとめ座」にあれば、清楚な雰囲気をもっていて、
丁寧なコミュニケーションを好むことになったりします。
【金星】
個人の喜びや快楽を表します。
感受性しかり、芸術に対する楽しみ方しかり、
同時に物質や金銭に対する傾向も表したりします。
【木星】
これはその人が「拡大・発展しやすい分野や性質」を表します。
同時にその特性から「適性」や「適職」を見ることができる星です。
いわゆる星占いでは「1年の運勢」は木星を使って読んだりもします。
【火星】
情熱や行動力、怒りの源泉を表します。
諸刃の剣(つるぎ)的に「何かを突破する力」であると同時に、
「人を傷つける力」にもなったりもします。
【土星】
苦手意識を表す星です。
忍耐、努力、制限と訳されることも多い星ですが、
土星はきちんと「ご褒美」を用意してくれているメンター的な惑星です。
よく木星と対極にして語られますが、土星はとても素敵な惑星です。
それらの説明文を読んだあと、僕は自分のカルテを読み進めていった。
それは全部で十数ページあった。
月星座が表す内面の性質も、水星が示すコミュニケーションの傾向も、
金星が担当する喜びのポイントというのも、どれもしっくり来た。
巻末に付けられたサラさんからの「星のアドバイス」には、
総合的な星の話や課題や適職や天職についても言及されていた。
(それは何度も読みたくなるような文章だった。)
僕はもう一度それらをすべて読み直してからサラさんに返信を書いた。
サラさん
今日はこちらこそありがとう。
振込は先ほど済ませたので、明日には確認できると思う。
カルテ見ました。
どうしてあんなに僕のことがわかってしまうのか不思議でならない、
というのが正直なところです。
もう少し、いろいろと教わりたいんだけど、
また会って話せたりしないかな?
タケル
追伸:
LINEのID送ります。良ければコチラに連絡ください。
xxxxxxxxx
それから僕は、もう一度カルテを読み直した。
星は意外と便利な道具かもしれないと思った。
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