◆ふたご座
さあ、次は「ふたご座」さんの世界ね。
「おひつじ座」の世界で自分を確立して、
「おうし座」でそれを味わったら、次はコミュニケーションを取りはじめるの。
自我を得て、自分を満たしたら、次は何かを学んだり、発信したり、
コミュニケーションを図りたくなるものでしょう?
ひと言で言えば、それが「ふたご座」さんの世界ね。
それが所以(ゆえん)で、ふたご座さんは「コミュニケーションの星座」とも言われるの。
頭の回転が速くて、ウィットに富んだ会話ができて、知的でクールなのね。
彼らのことを「二面性がある」って言っている人もいるけれど、
それのどこがいけないの?ってわたしなんかは思っちゃう。
陰と陽が常にセットであるように、相反する自分が同時に存在するのって、とてもナチュラルなことだと思わない?
そうやって2つ以上の自分とか、2つ以上のグループを行き来しながら、
情報を伝達していく役割を担ったのが「ふたご座」さんということになるわね。
飽き性な部分もあるけれど、風のように縦横無尽に駆け回って、
その柔軟さでいろいろなものを貪欲に吸収していく、とても素敵な星座さんね。
◆かに座
次は、「かに座」さんの世界ね。
「ふたご座」さんの世界で、外の世界に出てコミュニケーションを図ったけれど、
人って外に出れば出るほど、あるいは遠くに行けば行くほど、「ホーム」の大切さを知るものなの。
一人暮らしの経験がある人ならわかると思うけど、
あれだけ外の世界を欲していたにも関わらず、
外に出てみたら「実家」の大切さに気づいたりして、久々に帰ったときに、
やたらに親孝行をしたり、家族と会話をしたりするのと同じね。
そうやって人は、自分が「帰ってくる場所」の大切さに気づくわけ。
「家」や「身の回りの人」を、あらためて大切にする世界。
それが「かに座」さんの世界なの。
「かに座」の人は、その堅い甲羅で「家の中の人」や「家族」や「身内」を大切に守るんだけど、
実は「かに座」さんの中にも「ふたご座的な二面性」があって、外と内に対する態度が徹底的に違ったりするの。
自分の甲羅の内側の人たちには惜しみなく愛情を注ぐけど、外の人には意外と冷たかったりしてね。
同時に「ふたご座」の世界で多少なりともコミュニケーションで傷ついた経験があるから、
「かに座」さんはその堅い甲羅で、
自分の深い感情を守ることも同時におこなうのよ。
ときどき感情が溢れて収集がつかなくなることもあるけれど、
それが「かに座」さんのかわいいところなの。
感受性が豊かで、純粋で、ほんわかしているようでしっかり者で、
行動力があって、人を自然に安心させてしまう星座さんね。
☆
「ここまではオーケーかしら?」とサラさんは言った。
「なかなか面白いね」と僕は言った。
「でしょ?」と言ってサラさんは笑った。
僕は肯いて、また手元に意識を集中した。
◆しし座
次はいよいよ「しし座」、タケルくんの星座ね。
「かに座」でいったん「ホーム」を固めたあとは、
「しし座」で思い切り外に向かって自分を押し出していくことになるの。
ときどき、「しし座」さんのスタイルを傲慢とか自分勝手とかいう人もいるけれど、
そういうことを言う人は、どこかで「しし座」さんのワガママさや自己陶酔性に憧れていたりすると思うの。
だって、あんなにドラマチックに自分を表現できる星座さんって他にいないからね。
同時に「しし座」さんは、絶対的な肯定の星座でもあってね、
誰でも肯定するかわりに、自分も肯定してほしいし、
みんなの自由を尊重するかわりに、自分の自由も尊重してほしいのよ。
だから、「しし座」さんの周りにいると、不思議と肯定された気がして、妙に安心したりしてね。
ちなみに「自由」とか「公平」という部分では、
反対に位置する「みずがめ座」さんと似ているけれど、「しし座」の視点の軸はあくまで自分にあるのね。
子供らしいけど凛としていて、クールで、身体のラインが綺麗な人が多いのも「しし座」さんの特徴ね。
ちなみに「しし座」さんは理想とプライドが高いのに、
心の繊細さは12星座で1、2を争うくらいの星座なの。
タケルくんは思い当たるフシがあったりする?
☆
サラさんは僕をじっと見つめた。
僕は「続けてください」とだけ言った。
「そういう反応がまさにしし座的よね」と言って、彼女はまた笑った。
◆おとめ座
「おとめ座」さんはね、
「しし座」の「自己陶酔」にも似た「自己表現」の反省を踏まえて、
「しし座」が散らかしたものを、丁寧に集めて、整理整頓をしていく場所なの。
「しし座」が「創造性」の星座なら、「おとめ座」さんは「完璧性」の星座さんね。
彼らは、「しし座」が闇雲に作り上げたものを「整えている」うちに、
「分析」が上手になったり、誰かの面倒を見たり、人に教えたりすることに上達したのね。
彼らがなんでそんなことをするのか?と言えば、実は次の「てんびん座」の世界で、
「おひつじ座」からはじまった物語を社会に適応させていくためでもあるの。
「おひつじ座」の世界から積み上げてきたものを、
社会に上手に提出できる形にするために、
「おとめ座」の人たちは、これまでの物語をまとめて、整理して管理していくわけね。
彼らは実務者No.1の星座でもあるから、会社や組織に「おとめ座」さんがいると、とても心強いと思うわ。
「おとめ座」さんの面白いところって、見た目によらず茶目っ気があって、
いたずら好きで、独特のユーモアのセンスがあるところかしらね。
「しし座」ほどの爆発力はないけれど、安定感と柔軟性があるのが、
「おとめ座」さんの魅力とも言えるかもしれないわ。
神経質で、少し悩みやすいところもあるけれど、
気が利いて、働き者で、世話好きで、とても素敵な星座さんよね。
サラさんが言ったことをまとめてから「なるほどね」と僕は言った。
「サラさんの話を聞いていると、星座って、
一つ前の星座を否定するというか、反省を活かすというか、
そんな形で性質が決まっている気がするんだけど、実際そういう傾向はあったりするの?」
「ご明答!」と彼女はさっきより大きな声で言った。
僕は驚いて一瞬息が止まった。
「わたしがはじめに言った12星座の物語性というのはそういうことよ。
それぞれの星座はね、一つ前の星座の反省を活かして、
新たな性質を立ち上げている部分があるの。
そして、一つ前の性質を否定していると同時に、
実は一つ前の星座さんのことが、どこかで羨ましくもあるの。
嫌いだけど、好き。好きだけど、嫌い。みたいなね」とサラさんは言った。
「なんだか面白くなってきたよ」と僕は言った。素直にそう思った。
「続きを教えて」
「オーケー。じゃあ次は、てんびん座さんね」とサラさんは言った。
↓
◆最近の投稿一覧。
↓