月に一度のカットに行きました。
場所は大阪の谷町。
地蔵坂にひっそりと佇むサロンで、
美容師さん2人が、静かに経営されてます。
私が住んでいるところからは、
電車で片道1.5時間かかる。
でも、私はここがいいのです。
ここでカットしてもらうことを、
とても大切に想っています。
******************************
初めてサロンに行った日は、
緊張で吐きそうだった。
当時、どの美容室でもしっくりこなくて、
鏡に映る自分が、全然好きじゃなくて。
だから、思い切って単価も上げて、
海外のコレクションでも活躍されたという、
その美容師さんを指名したのです。
しかし、ガチガチの鎧を纏っていた私は、
道すがら、なんだか震えが止まらない。
一瞥で、バカにされたらどうしよう。
「あなたは、切れません」
とか言われたら、どうしよう。
なんて、思ってたな~。
席に案内されて、他の美容室と同じく、
「どうされますか?」と聞かれる。
「ストレートの前下りボブで」
アジアンビューティぽく。
しかし、相手は無言。
「どんな風に見られたいですか?」
「意思強く見られたいです!」
「・・・(無言)」
「・・・(無言)」
この後もやりとりが続くのだけど、
何を言っても、口にした瞬間から、
間違っていることが分かる。
すごく変な顔をされている。
いたたまれなくなって、もう帰りたい。
それでも一生懸命話していたけれど、
最後は途中で、遮られてしまった。
「今日、どうして来たんですか?」
・
・
・
ハ ァ !?
瞬時に、猛烈な怒りが沸く。
そんなの、綺麗になりたいからに
決まってるでしょう!
だけど、海外の一流モデルを
見てきたあなたに、
そんなの言えるわけがないでしょう!
頑張ったのに。
頑張って、ここまで来たのに!!
・・・しかし、これを口に出す勇気もなく、
私は消え入りそうな声で
「なんか、似合う髪型が分からなくて、
どこに行ってもしっくりこなくて・・」
と答えました。
その様子をじっと見ていたその人は、
ようやく口を開きました。
あなたが持って生まれた顔立ちは、
きれいとか、かっこいいではなく、
" かわいい" なんです。
それなのにあなたは、
『強い美人』を目指してる。
苦しくないですか?
ハイ、私、
ここで陥落。
突然、涙が溢れ出す。
その後の会話は覚えていない。
動揺したままシャンプー台につく。
そしたら今度は、そのシャンプーがすごくて!
優しくいたわるような、
包み込むような手。
身体の奥底から、喜びと悲しみが
一緒になって溢れ出すのが分かる。
自分の、ど真ん中を見てもらえた喜びと、
それを、ずっと押し殺してきた悲しみ。
感情の抑制が効かなくて、
まさかこんなとこで涙も止まらなくて、
終始、大混乱。
あんなことは、生まれて初めてだった。